井山七冠に1mmでも近づくぞ!【series3】十段戦取材で、めくるめく囲碁ワールドに潜入!

   

東大阪出身の棋士、井山裕太七冠(以後井山七冠)に1mmでも近づきたい!と下心満載でお送りする特集記事。第3回は、棋戦の取材を敢行しました。

緊張の棋戦・十段戦。詳しくは後ほど。

今回のタイミングに合わせ「一番近い日程なら『十段戦』をおすすめします」と井山七冠が好きすぎて同人誌を出した佐治るみ子さんにアドバイスをもらった我々。
十段戦とは、棋聖戦や本因坊戦と並ぶ「七大棋戦」のひとつ。何を言ってるのかわからない人は、series1の記事を読もう。
十段は七冠タイトルの一つ。そのため以下”井山十段”と呼びます。今回の「第56期十段戦五番勝負」では3連覇がかかっており、万が一タイトルを失うようなことになると”七冠”ではなくなるという、重要な戦い。
挑戦するのは村川大介八段。5局のうち3局先に勝利した方が優勝です。
その大事な第1局が行われるのは、…なんと、小阪の大阪商業大学(以下大商大)!

じゃじゃーん。今回は佐治さんとミホロボットが行ってきました。

実は大商大は、8年前から十段戦第1局の会場となっています。
ボードゲームやギャンブルなどの余暇産業研究施設「アミューズメント産業研究所」を有する大商大。夏にはアマチュア外国人向けの囲碁合宿にも場所を提供したりと、棋戦の会場になるには最適です。
と、いろいろもっともらしいことを言いながら、「谷岡一郎学長が大の囲碁好き」という逸話が、一番の理由じゃないかと週ひがは踏んでいます。

毎年大阪商業大学TTSセンターで行われている「Osaka Go Camp」。

ラグビーの取材なら慣れっこの記者・ミホロボですが、棋戦取材はもちろん初めて。「で、棋戦ってどんな感じで進行されるのよ?」ということで十段戦の流れをレポートしていきます!

第1局が行われるのは3月6日(火)のド平日。
しかし、大きなタイトル戦では前日に「前夜祭」なるものがあるのです。

前夜祭は、女流名人戦との合同開催。多くの関係者が出席しました。

今回の前夜祭はバイキング形式。飲食を楽しみながら、関係者のあいさつや対局者の決意表明、対局の見どころ解説などが1時間30分に渡って繰り広げられます。単なる会食ではなく壇上で色々な人が入れ替わり話すので、エンターテイメントショーを見ているような気持ちに。

和気あいあいと進行される、立会人ら関係者による見どころ解説。「君も前に出てきて話してよ」とアドリブ満載。仲良しすぎ!とつっこみたくなる掛け合いが繰り広げられます。

対局者の決意表明がある、ということは井山十段ももちろん登場します。

いた!しかも野田市長の隣の席だ!

東大阪出身の井山十段は、野田市長と東大阪トークで盛り上がっているのでしょうか。なんとかして接触を試みようと市長に近づいていくと…。
市長「週ひがさん来てたの?」
ミホロボ「あっ市長!こんばんは。井山さんとお話されていたんですか?良かったら一緒にお写真を…」

市長をダシに、井山十段に近づくことに成功。貴重なショット。

こんなにも早く1mmでも、いや半径1m以内に近づく日がくるとは。
緊張のあまり、井山十段に「どこ中ですか?」としょうもない質問をするミホロボットに対し、「孔舎衙(くさか)です」と爽やかな返事を返してくれた井山十段。
「私小阪なんですが、よく間違われますよね、こさ中とくさ中」とまたまたしょうもないことを言うと、爽やかに笑ってくれました。東大阪あるあるにも対応できる囲碁棋士、貴重です。

んで、隣を見ると。井山十段を目の前にし、佐治さんがめちゃくちゃ動揺している。

井山十段に自己紹介をしたカメラ係の佐治さんでしたが、あまりにも早い感動の初対面に感極まっています。
「井山十段が、わたしのこと知ってるって…イラストを井山十段宛に送っていたの、見ててくださってたみたいで…もう…わあああ…恥!!」
うん、うん、良かったね佐治さん。
物理的に近づいたわけで、序盤にして最終回感がありますが、今回の主題は棋戦。忘れかけていました。

名刺交換で感極まる佐治さん。

さて、翌日はいよいよ本番。大商大本館にて、午前9時半から対局開始です。
棋士が対局に集中できるよう、撮影は開始時と終局(勝負が決すること)時のみ可能です
開始時にシャッターを切ることができるのは、始めの一手ずつまで。一瞬なので、チャンスを逃すとかなり痛い。
立会人、記録係、報道陣らが先に入り、対局者を待ちます。

本館会議室。今回は畳ではなく、椅子に座って打ちます。

先に入室したのは挑戦者の村川八段。それまで話し声が聞こえていた室内ですが、一瞬で空気が変わります。

入室後、碁盤を拭き井山十段を待つ村川八段。

しばらくすると、続いて井山十段が入室。さらにピリッと張りつめた空気に。

座った。対局者2人が動く音のみが聞こえます。

先手は村川八段。ジッと碁盤を見つめ、数十秒経つと「パチッ」と打ちます。
続いて井山十段もしばらく碁盤に目線を落とし、数十秒経ってから「パチッ…」。

スッと伸びる手が美しい。想像もできないけれど、この数十秒には相当な意味がある。

一手ずつ打ち終わると、報道陣は一斉に退室。ここからは2人だけの世界が始まります。

棋戦によって対局時間は変わりますが、十段戦は1日制。午前に始まった対局は概ね夕方頃までかかります。
終局まで報道陣はやることないじゃん…と思われるかもしれませんが、実はこちらも熱いのです。報道陣が集まる控室を覗いてみましょう。

控室の様子。大きなスクリーンで観戦でき、ネット環境も充実。充電もできる。

報道陣のみならず、関係者全体の控室になっている様子。
始めは関係者同士のあいさつが行われたり、談笑していたりとなごやかな雰囲気でしたが、しばらくするとそれぞれのテーブルで碁盤に石を並べ始めます。

誰が記者で、誰が大先生かもわからぬ混ぜこぜ具合。

そう、行われているのは検討。対局の盤面を控室の盤面に落とし込み、「今打ったのはここにつながるのでは」「自分なら次はこう打つ」と、碁盤を囲んでワイワイ検討しているのです。
若手ばかりが集まる島があったり、谷岡学長が大先生に質問しまくる島があったり…3〜4つの島ができ、それぞれが見解を出し合っています。
series2でもお伝えしたように、実際の盤面を追いながら検討していくことも囲碁の楽しみのひとつ。初心者の記者にはまったくついていけませんが、控室が熱くなっているのはわかる。

長時間の対局に備え、お弁当やお茶菓子も充実。お弁当は「多分高いやつだな」とわかるほどの内容。お茶菓子はういろうや赤福といったヘビー級の和菓子が並び、「お皿を用意しましたので、ぜひみなさん召し上がってください」と声がかかります。

赤福にテンション爆上がり。しかし変に気を使ってしまい、ういろうに留まる。後悔。

お昼が近づくと、対局者のお昼ご飯の撮影も。いわゆる「勝負めし」です。
この日は大商大前の「楽てん」からの出前。井山十段はうどん、村川八段は蕎麦。

井山十段はそばよりうどん派なのかな。

お昼が過ぎると、午後からは大商大のホール「蒼天」で大盤解説会を開催。
プロの解説を聞けるとあって、囲碁愛好者がホールに集います。プロによる初手からの解説や、「次の一手を考えよう」というお楽しみコーナーまで。

地域の人から近畿圏内の愛好者が集う。

タイトル戦はもはやお祭り。対局を中心に関連イベントやお昼ご飯までがネタになる、一大フェスティバルなのです。

バタバタとあっちへ行き、こっちへ行きとしていると、もう夕方に。
「そろそろ決着がつくかも」と控室がザワザワしはじめます。どうやら井山十段が優勢のよう。

Twitterをチェックしながら見守るミホロボット。

いつ投了するかわからないので、報道陣は終わりが近づくと会場となっている部屋の前で待機します。
そして、ついに終局。井山十段が156手で中押し(相手を降参させる)勝ち。
すぐに局後の検討(感想戦)が始まります。同時に報道陣が入室。

この時ばかりはカメラの音も光も全開。

記者からの質問が受け付けられる場合もありますが、この日は主催・産経新聞の代表質問に留まります。いつもの週ひがのノリで、「今日は実家に帰るんですか?地元の好きなお店は?」とか聞かなくてよかった…。
18時過ぎ、最後にファンが待つホールで両者があいさつを行い、ようやく長い長い1日が終わりました。

ホールでのあいさつで、自身の手を振り返る井山十段。

実際の棋戦の雰囲気を味わい、井山十段の1m内にまで近づいた今回の取材。ますます、囲碁文化に興味が沸いてきました!
なお、井山十段は第2戦でも勝利を収め、第3局は4月12日(木)。このまま調子よく行くと、ストレートでタイトルを防衛する可能性もあります。

十段戦の応援もしつつ、我々はこれから(物理的以外の)別角度で、さらに井山十段に近づいていこうと思います。
目指せ、単独インタビュー!次回はどうやって近づこうかなぁ。乞うご期待!
十段戦YouTube動画はこちらから

【関連記事・動画はこちらから】
・井山七冠に1mmでも近づくぞ!【series1】囲碁の世界にハマり、井山裕太の同人誌を出した女(2018.2.4)記事動画
・井山七冠に1mmでも近づくぞ!【series2】「わからない」ことを楽しむ文化。紅白的囲碁観戦のススメ(2018.2.16)記事動画

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mihorobot東大阪探検隊・記者

投稿者プロフィール

生粋の八戸ノ里っ子。人気の八戸ノ里東小・小阪中学校校区に住んでいる。
取材へ行けば、同級生のお父さんがやってるお店だった・・・ということが多々あり。
尊敬する人は藤子・F・不二雄先生。

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