売名行為、槍魔栗三助、現代用語の基礎体力。このキーワードにピンときた方、関西出身の40代ですよね?
1980年代後半から1990年代前半、日本は空前の演劇ブーム。関西でも先述の「売名行為」「劇団☆新感線」などの劇団が活発に活動し、「槍魔栗三助(現生瀬勝久)」「羽野晶紀」などが、深夜の関西ローカルコントTV番組「現代用語の基礎体力」「ムイミダス」で大活躍していた時代でした。
今回は、当時の熱い関西の演劇に魅せられて劇団を立ち上げ、18年間活動をしている東大阪出身の劇団「スクエア」を取材してきました。
記者が稽古場に訪れた日は、5月9日から公演する「アベノ座の怪人たち」のパンフレット用写真の撮影。見るからに個性的な役者さんと様々な衣装がひしめき合って、本当に怪人たちの巣窟のようです。
準備が終わった出演者からカメラの前へ。役をつくる役者たちに「もっといじけた感じで」「もうちょっと化粧濃いほうが」「少し申し訳なさそうにして」とリクエストを出すのは座長で演出の上田一軒さん。その横で問いかけに応えるは脚本の森澤匡晴さん。近畿大学演劇部出身のお二人は1996年にスクエアを立ち上げました。
「部活の卒業公演をこのコンビでやったら受けたんで、そのまま立ち上げたんです」
と森澤さん。1996年卒業ということは、記者と同い年。聞くとやっぱり高校生の頃に盛り上がっていた演劇に憧れて、大学進学後演劇部に入られたとのこと。
2人の下宿も弥刀や源氏ケ丘だったと、当時を振り返ります。
「東大阪ってリージョンセンターがあるでしょ。家のすぐ近くに稽古のできる貸スペースがあって、よく利用しました」と懐かしむ森澤さんに「近江堂のとこな」とコメディそのもののノリで返す上田さん。
卒業公演以来、ずっと作森澤さん演出上田さんで活動しているとのことで、
「演劇のことで、喧々諤々たまには喧嘩になることもあるのでは?」と、森澤さんに意地悪な質問をしても
「それが一度もないんですよ。いつも僕の本(脚本)を理解してくれるんです」と、ピッタリ息のあった名コンビです。
東大阪を核に2人を軸にしてメンバーが集まり、入れ替わり。2009年に4人になって活動していましたが、ここ1年ほどでメンバーが急増。増えた理由を聞くと「4人の劇のネタがなくなってきたんで」と、コメディ的要素をしっかり含み、記者を笑わせてくれます。
「スクエアの芝居の基本はキャラクター。私たちの周りに実在しそうな人物を誇張し、笑いを作り出します。『力一杯頑張るので、笑ってください!ね?よかったでしょ?』ってかんじですね」
と取材の最後に優しく、力強く応える姿は、まさに青春真っ只中。
アベノ座の怪人たちは8人の濃い怪人たちが登場するコメディ。あべのハルカス開業とともに再開される、近鉄アート館”復活”オープニングシリーズで、大阪を代表するコメディ劇団としての特別講演です。
5月9日(金)から5月11日(日)までの3日間で4公演が、あべのハルカス近鉄本館ウイング8Fの近鉄アート館で行われます。詳細は公式サイト(URL:http://square.serio.jp/abeno/)で確認下さい。
懐かしいなと思った人も、なんじゃこれはと感じた人も、東大阪が育んだ演劇の力を体験してみませんか?舞台と演劇へ、熱い思いを持った若者たちが目指した笑いが待っていること間違いなしです。
イベントデータ
イベント名:近鉄アート館”復活”オープニングシリーズ スクエア特別講演 アベノ座の怪人たち
開催期間:2014年5月9日(金)〜11日(日)
開催場所:近鉄アート館(〒545-8545 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス近鉄本店ウイング館8F)
企画・製作・主催:スクエア
公式サイト:http://square.serio.jp/abeno/
文:前田寛文 @MaechanYK
写真:@mihorobot
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