いくら東大阪が「ものづくりの街」でも、ねじって地味?でも、その一本にも歴史あり。ねじにスポットをあて、あなたの知らない超ニッチな情報をコレクションしてお伝え。略して「ねじコレ」!
第一回は、東大阪の「ワニ」。吉田駅から南へ徒歩10分、緑色のワニマークが目印のねじメーカー「株式会社三和鋲螺製作所」です。
■「三和のワニ」はフロンティアぞろい
1950年(昭和25年)設立の「三和鋲螺」。会社のロゴマークから「ワニの三和」とも呼ばれています。
「なんでワニになったのかはもう昔のことやから分からへんけど、覚えやすいやろ」と登場したのは会長の樫本隆之さん。おじさんが創業し、お父さんから受け継いだ3代目です。
多品種・小ロットの特殊ねじ受注生産を得意とし、常時製造している製品だけでも1000種以上。
ねじをいくつか見せてもらっていると…こんなの、どうやって作るんだろう?と思うような製品のオンパレード。想像していた真っ直ぐなねじとは、一味も二味も違います。
■「我が社の1本」はコレ!
多品種小ロットで、オンリーワンの製品を生み出し続ける「三和鋲螺」。そんな相当な数の特殊ネジを作り続けるこの企業に転機を与えた1本、それが測量鋲でした。
歩いている時、ふと立ち止まって道路を見ると、打ち付けられている赤や黄色のマークありますよね。あの中心に刺さっているのが測量鋲です。地形や建物などを測量をする際、距離をつかむための目安として役割を果たします。
大手が建築業界に参入し、金額面で太刀打ちできなくなってきた時期、なんとか経営を救おうと開発したのがこの測量鋲(そくりょうびょう)です。専門商社と共同開発した結果、全国的に売れました。それまで、測量にはペンキで印をつけており、日が経つと消えることも多かったそうです。
■仲間を守るワニは強い
安定的に利益を得ることに成功した三和鋲螺は、13~4年前から自動車業界へどんどん進んでいきます。ただ、新しい業界へ飛び込んだものの、ノウハウがない。そんな時、樫本会長は金型メーカーや工作機械メーカー、材料商社などと協力企業と「アライアンス」を築きました。聞き慣れない言葉ですが、本来は「同盟」や「提携」といった意味。
「アライアンスは、何の保証もない約束なんです。でも、それを守っていくことで、お客さんからも信頼してもらえる。今はコロコロ取引先を変える時代やけど、うちは逆(笑)」と樫本会長。
自社のことだけを考えるのではなく、困った時は助け合う運命共同体の関係。まったく未開拓だった自動車業界へ参入できたのも、このアライアンスの中で企業が手を取り合い、試行錯誤できたからなのです。
そして、昭和の頃までは建築用の製品が多く製造していましたが、現在では自動車関係が7割を超えるほどに。
ねじだけでなく企業間の関係の形もオーダーメイドに。相手のために体を張り、仲間を守って強くなるワニ「三和鋲螺」。
測量鋲、その素敵な1本が、ねじの絆を物語っていました。
■三和鋲螺製作所
住所:東大阪市吉田本町2-7-9(本社)
TEL:072-963-0381
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