週ひが就活座談会後編 〜クリームパンを買うだけの人は幸せになれるのか?〜

   

5大学を有する東大阪市では、今の時期リクルートスーツを来た若者たちが数多く見られます。そう、「就活」を行っているのです。今年は6月解禁ということで、週ひが編集部内でも話題に。でも世代や立場によって就活のイメージは全然違いますよね。

今回は「就活」の現場を知りかつ東大阪をキーワードに持つ方をゲストにお招きし、「東大阪就活座談会」と題して今の就活を大解剖しました。前後編の大作です。

お集まりいただいたのは、東大阪出身でサンコーインダストリー株式会社代表取締役奥山淑英さん、近畿大学出身で株式会社バナナキャリア元取締役にして摂南大学キャリア教育担当の水野武さん。さらに数年前まで(あえて何年前かは明言しません)就活をしていた弊社スタッフmihorobotこと野口が参戦。進行は週刊ひがしおおさか代表前田です。

週ひが就活座談会前編 〜「就活」がイベント化するってどうなのよ〜

バナナキャリア元代表取締役で、摂南大学キャリア教育担当の水野さん。1973年生まれ。

バナナキャリア元取締役で、摂南大学キャリア教育担当の水野さん。1973年生まれ。

ー 引き続き、学生サイドの話をしてみましょう。先に話題にも上がりましたがSPI。要は筆記試験ですよね。受験勉強でやって来たような。学生さんは、中学レベルの筆記試験を行うことへの違和感など感じないんでしょうか。

野口 うーん。SPIをすることがなぜ就活なのか?と疑問を持つ以前に、とりあえずしなければという観念にとらわれています。「できることはなんでもやろう」みたいな。

水野 クリエイティブじゃないことですが、現実としてSPIをクリアしないと面接に進めないのが今の就活なんですよね。

奥山 うちはSPIを適性を見るためだけに使ってますよ。商社なので、ちょっといい加減だけど明るいタイプは営業、地味だけどコツコツするタイプは事務の二択なので、あまり重視していないです。

ー お聞きしてると、SPIにしても、学生の就活への意識は「しなければならない」と追われている感じはありますね。

水野 さっきクリエイティブじゃないと言いましたが、本来は自分の売りを作ったり考えたりすることが武器になるんですよ。

野口 実際の就活中はそんなところまで思いが行きませんでした。先生にはやれと言われるんですが、SPIやエントリーシート、証明写真、リクルートスーツ、メイク。さらにOB訪問など、繕い出したらキリがないというか、それで疲れちゃいました。

ー なんかRPGで防具ばかり買ってる勇者みたいですね。

水野 あと、学生は消費者意識のまま就活に挑んでいるというのは感じます。自分の都合で「ここに入ったらどんな成長ができるんですか?」という具合に。そもそも人材を買うのは企業なんだから、お客さん対お客さんで話が噛み合うわけではないんです。

ー 確かに、弊社も学生さんと連携事業をやると「自分はこれしかできないからこれしかやらない」という方に多く出会います。やってみりゃいいじゃんって思いますね。

奥山 逆に、面接の時に「結婚・出産しても働けますか?」という学生もいますが、未来のことの前に、目の前のことをやれ、となるわけですね。

ー 企業側と言うか、大人はみんなそう思っちゃいますね(笑)「まず目の前にある課題を解決しようよ」と。

奥山 就職面接の時に「僕何も出来ませんけど、何でもします」という人がいたんです。これはありだと思ったことがありました。企業は、アホでもいいから素直に受け止められる子がほしいんですよ。

ー 学生論のようになってきましたが、それとは別にやれと言われてやる素直さって大事ですよね。

水野 企業が本当に欲しい人とは、「クリームパン買ってこいと言ったら買いに行って、そのうちに言わなくても買いに行くようになって、ついに牛乳とパンが机に置かれているようになる人。」とある企業の採用担当者が言っていたんです(笑)「こんなできるヤツに、こんなことさせてる場合じゃない!」と思わせたら勝ちなんです。

ー これって仕事の本質かもしれないですね。

奥山 そういう人のほうが育てたくなる。僕は学生の頃「整備士になりたい」と思っていたことがあるんです。その時父親に「お前の人生だからお前で決めろ」と言われたんですね。今の学生は「あれしろこれしろ」と言われすぎる節はある。そうすると、選択肢の幅はすごく狭くなっていっていく気はしますね。

「就活」をテーマに3時間ほど。みんなの思いは「好きに生きていいんだぜ」です。

「就活」をテーマに3時間ほど。みんなの思いは「好きに生きていいんだぜ」です。

ー 就活では「こうしろって言われたからこうしなきゃ」と同じ方向を向いて、みんな持っている防具とアイテムは同じになる。そこで就活強者と弱者がでてきてしまう。

野口 結局はコミュニケーション能力なのかなぁ。

ー そうですね。コミュニケーション力の高い者が就活では有利になっていると言われます。

奥山 うーん、定義されてないコミュニケーション力って何なんでしょうね。今って、親の力を使ってはいけないみたいになってますけど、コネは使ってオッケーだと思うんですよ。コミュニケーションに自身のない人は、使いまくっていいんじゃないですかね、コネ。

水野 僕は、コミュニケーションが苦手な人向けに「根暗オッケーナビ」を作りたいですね。就活では負けてしまうような根暗な人ばかりがエントリーするの(笑)

野口 なるほど、それはいいかも!根が暗いか明るいかは、仕事のクオリティとあまり関係ないですよね。

ー さて、コミュニケーションをテーマに盛り上がってきました。そういった社会に出て必要なスキルを大学は、最近流行りのキャリア教育で身につけさせようとしているのかなと感じています。実際のキャリア教育ってどういったものですか?

野口 たぶん、私が学生の頃からよく耳にするようになった言葉ですよね。先生からは「社会で活躍できる人材の育成」と言われました。学んでいる学生としては、「範囲が非常に広いな」と感じました。

水野 僕はその範囲を、もっと広げたいと思っているんです。本当のキャリア教育に必要なのは、就職する力ではなくて、就職しなくても生きていける力なんですよね。どうやって生きていけばいいのかを考える機会になってほしいですね。

奥山 キャリア教育の一環として就活の講演会をしても、学生は、みんなどこかで答えを求めているんですよ。「みんな、適当に好きなことをしろよ!」と言いづらい(笑)。

ー 答えをもらうより、自分で答えを作ったほうが楽しいですよね、絶対。

水野 とにかく自分で考えて、考えたことを全力でやるべきなんです。主体的に行動すれば、選択肢は増えるはずなんです。それを、学生さんには言ってあげたいですね。

奥山 そう。本当は、好きに生きろと言いたいんです。人のせいにさえしなかったら、何をしてもいいんだから。大人は学生が抱えていることを、できるだけ分かってあげたいんだよと、教えてあげたいですね。

ー 選択肢が多い社会をできるだけ企業・大学・学生みんなで作っていきたいですね。本日は、ありがとうございました!

解禁日が変わったり、こっそり先行する企業があったり、暑くてもスーツを着なきゃいけなかったりと、いろいろ大変なことが多い「就活」ですが、好きに生きていいんだよとおっちゃんはみんな思っています。自分なりの答えに向かって、いっぱい大人を頼って欲しい。そんな土壌を週ひがも学生さんたちに提供したいですね。

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編集長 前田

編集長 前田東大阪探検隊隊長・編集長

投稿者プロフィール

特定非営利活動法人週刊ひがしおおさか代表編集長兼東大阪探検隊隊長。
ふとした思いつきからはじめたWEBサイトが、13年。
これからは地域に嵐を呼びます。覚悟しろ!

好きなモノ:花園近鉄ライナーズ、阪神タイガース、競馬、ゲーム、プラモデル、楽でお金になる仕事。
嫌いなモノ:愛、本物

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