近鉄、逆境に打ち勝ち秩父宮で13年ぶり感動の勝利!

   

やっと勝った!いつぶりかわからないくらいに、ライナーズは秩父宮では勝てませんでした。
なんとトップリーグ初年度以来13年ぶりの勝利を、クボタスピアーズから勝ち取ったのです。
しかし、今日の試合も順調なことばかりではありませんでした。アクシデントも不運も乗り越えての勝利。
“29-20″というスコアだけでは表せないほどの、数々のドラマとそこに至る偶然を、少し振り返ってみます。

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2016年10月1日11時30分、前日から今朝まで降った大粒の雨で濡れた秩父宮ラグビー場の芝の上。いつものように10重光のキックオフで試合がはじまります。

序盤はお互い、キックで探り合います。ライナーズには、10重光、11南藤、14宮田、15テイラーと、抱負なキッカーが応戦します。
お互いPGを決め、3-3で迎えた25分。ライナーズは敵陣左深くでのラインアウトから、右に展開。シンビンで1人少ない相手は素早いアタックに対応できません。最後は、13井波が冷静にディフェンスをかわしてトライをあげます。

冷静に「一人二人」と数えるようにかわす13井波。余裕が見える。

冷静に「一人二人」と数えるようにかわす13井波。余裕が見える。

いい形でトライを取り、俄然テンポがよくなる我らのライナーズ。直後の31分には、ハーフウェイライン付近でのターンオーバーから、8クックが左ライン際をパワーとスピードでゲイン。後手に回るクボタにディフェンスさせず、23吉川がトライ。ここはGも決まって15-3。

長身で速くて強い8クック。ライナーズはとんでもない新戦力を獲得した。

長身で速くて強い8クック。ライナーズはとんでもない新戦力を獲得した。

今季絶好調の吉川。サポートが光る。

今季絶好調の吉川。サポートが光る。

…勝てる。今季2勝目を意識し始めた頃、ライナーズに不運が続きます。

まず、抜群の速さを見せていた14宮田が負傷交代。さらに、大黒柱としてこの日も活躍していた15テイラー、8クックが相次いで足のけが。安心しきっていたスタンドのライナーズファンは、ザワザワと不安を口にし始めます。

爆発的なスピードとコース取りで、テーラーが持てば必ずゲイン。

爆発的なスピードとコース取りで、テーラーが持てば必ずゲイン。

現に前半34分ごろから、クボタが前に出るようになると常に自陣ゴールラインを背にしたプレーを余儀なくされます。
そして、後半に入ってからはクボタのラッシュに1分、8分と立て続けに2トライ2ゴールそして1PGを奪われて、15-20と逆転を許してしまいます。

完全にクボタのペース。そんな危機的状況のなかでも、ライナーズはしっかり巻き返します。
20分、敵陣22m内でフェイズを重ね2樫本がゴーポスト下にトライ。パワフルに走り込んで、すべてをなぎ倒しながら、勝利への執念を感じさせるアタックで22-20と再逆転。
さらに32分にも4本目のトライをあげて、29-20と突き放し勝利を収めました。
MOMは、逆転のトライをあげた樫本選手に送られました。

ファインガの機転に応えた重光。さすが。

ファインガの機転に応えた重光が、ダメ押しのトライ。さすが。

悪い流れを断ち切って、成長したライナーズを見せつけた勝利。この日メンバーに名を連ねた23人全員、その他チーム、ファンを含めた功績です。そんななかでも週ひがでは、特に4人のキープレイヤーに注目しました。

まず、キックオフからフルタイムまで終始相手を圧倒したスクラムで、絶大な自信を見せていた前田です。どんな状況のスクラムでも相手に勝ち、それをプライドにしてゲームの中心にいたのが彼でした。

左から、前田、樫本、豊田。ライナーズの1列はスーパーラグビー級?

左から、前田、樫本、豊田。ライナーズの1列はスーパーラグビー級?

テイラーが負傷したあと「中学のとき以来」と話すフルバックとしてトップリーグデビューを果たしたルーキー野口は、長くて正確なキックでエリアを奪います。
試合後クボタの立川キャプテンが「大切なところでのエリアマネジメントが出来なかった」と振り返った、その相手がベテランの重光と野口なのです。
攻撃の起点を作り、敵を背走させ、勝利を手繰り寄せました。

「楽しめました」と試合後話す、スーパールーキーがデビュー。

「楽しめました」と試合後話す、スーパールーキーがデビュー。

2本目の被トライは、ラインアウトのターンオーバーから奪われたものでした。その直後に投入されたのが、身長204cmの新外国人選手ストーバークです。
彼の登場以後、常にいいアタックをライナーズは展開できるようになりました。
野口の蹴る正確なタッチキックに応えるかのように、ラインアウトで仕事をし続けていました。

この高さは規格外!無邪気な笑顔も魅力。

この高さは規格外!無邪気な笑顔も魅力。

そして、4人目。本日の週ひがMVPでもあるアンソニー・ファインガは、ワールドクラスのプレーで、ピンチの芽を摘みチャンスを演出しました。
特に目を引いたのは前半34分、自陣22m内でのインターセプトです。クボタが勢いに乗り、今にもトライを奪いそうな時。狭いスペースで投じられた相手のパスを切り取るように奪い取り、点を与えませんでした。
圧巻は後半32分のライナーズ4本目のトライです。この時間、完全に蘇っていたライナーズは敵陣深くで連続攻撃を仕掛けます。
ゴール前ラックからのパスを、ファインガがゴールライン前でファンブル!したかに見えた次の瞬間、彼は素早く外へボールをタップし、重光へこれ以上ないパスを通したのです。

獲物を狩るように、次々に相手を仕留める12ファインガ。

獲物を狩るように、次々に相手を仕留める12ファインガ。

「いてほしいところに仲間がいてくれたので、楽にプレーできたよ」と試合後笑顔で応える、スーパースター。
「けが人が続出したのに勝てた理由は?」との問いにも
「リザーブの選手たちが活躍したからだよ」と、当然のように、爽やかに答えてくれました。

コミュニケーション能力がずば抜けて高い、スーパースター。

コミュニケーション能力がずば抜けて高い、スーパースター。

さまざまなピースが噛み合って、トップリーグ初年度以来となる秩父宮ラグビー場での勝利を手にしたライナーズ。
「前に勝ったときは、私がまだ現役でした」と笑う、坪井監督。一歩ずつ階段を登っていることを、表すエピソードです。
次節はついに花園ラグビー場、ホームスタジアムでファンたちが待っています。
5試合終わって、2勝3敗。こうなったら、残り全試合勝ち進め!
行けライナーズ!自らの進化を証明するために!!

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編集長 前田

編集長 前田東大阪探検隊隊長・編集長

投稿者プロフィール

特定非営利活動法人週刊ひがしおおさか代表編集長兼東大阪探検隊隊長。
ふとした思いつきからはじめたWEBサイトが、13年。
これからは地域に嵐を呼びます。覚悟しろ!

好きなモノ:花園近鉄ライナーズ、阪神タイガース、競馬、ゲーム、プラモデル、楽でお金になる仕事。
嫌いなモノ:愛、本物

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