東大阪の顔!第3回 PCサポート布施 安藤栄一

   

ネットやパソコンは「ものづくりのまち」と言われる東大阪でも、なくてはならないものになっている。仕事ではもちろんだが、趣味、友人とのつながりといった個人的な使用でも、携帯電話やSNSを活用する場面がますます多くなっている。が、誰しも「これ、どうしたらいいんだろう?」とか「もしかして故障かな?」と困ったことはないだろうか。今回の「東大阪の顔」は東大阪一の都会、布施にお住まいでお会社の名前にも「PCサポート布施」と入れられている、安藤栄一さんにお話をうかがった。

PCサポート布施 DATA
大阪府大阪市中央区伏見町4-4-9
オーエックス淀屋橋ビル3階
TEL 06-6728-3040

週刊ひがしおおさか前田(以下前田) はじめまして。ではありませんね(笑)

安藤栄一(以下安藤) そうですね。昨年の新年会でお会いして以来、いろいろお世話になってますね。

前田 いえ、特に東大阪ITシティ計画で活躍してもらってますので、こちらこそお世話になってます。時候のあいさつはそこそこにしまして、今日は社名に「布施」と付けてしまうくらい布施を愛している安藤さんのお話をうかがいたいと思います。お生まれはやはり布施でしょうか。

安藤 そうです。生まれも育ちも布施。今も布施在住です。

前田 私(昭和48年3月生)より、確か6歳年上でいらっしゃいますよね。

安藤 昭和42年2月生まれですからそうなりますね。

前田 安藤さんが子どもの頃の布施ですと、いわゆる「全盛期」ですよね。

安藤 はい。活気がありましたよ。大きな商店街が2つあって、人も多かったですし、物もたくさんありました。ゴチャゴチャしてるとこも好きで、ちょっと近寄りがたい場所もありましたが、その分元気でしたね。

前田 私は布施が世界で2番目に大きい都会だと思っていましたから(笑)

安藤 それいつもおっしゃいますよね(笑) でもそれくらい活気がありましたよ。あの頃の布施のような街は、今の大阪にはもう無いですよね。

前田 十三がちょっと近いですかね。

安藤 うーん。やっぱりあの頃の布施とは違う気がしますね。布施駅がまだ地上にあった頃をよく覚えています。改札は元禄寿司の前にあったんですよ。

前田 それは知りませんでした。

安藤 あと、柳通りが踏切でとにかく渋滞してました。

前田 聞いたことがあります。東大阪市の最初の目標が「布施駅の高架化」だったとか。

安藤 布施を高架にするには、俊徳道もしなきゃいけなかったんですよ。距離が短いから急勾配になるということで。それと同時に八戸ノ里までも高架化したんじゃなかったかな。


安藤さんが愛する布施駅をバックに一枚撮影をお願いした

前田 布施に対する愛情はしっかり伝わって来ました(笑) もう少し広げまして、東大阪に対する愛着はいかがでしょうか。

安藤 あります。ものづくりの街ですから。

前田 やっぱりそこですよね。

安藤 職人が作るいいものをITで発信するのも私たちの使命だと思っています。

前田 次にお仕事についてお話をうかがいます。確か、本をお書きになられたんですよね。

安藤 阪急コミュニケーションズさんから「クレーム対応の技と心得 お客様との妥協点は必ずある」というタイトルで、3月1日に発売されました。

前田 私、本を書かれている方とお話するのは3度目です。一回目は大学の恩師、2回目はふなつ一輝先生。そして安藤さんです。タイトルから察すると、企業に対するクレーム対策についての本でしょうか。

安藤 はい。起業する前は大手電機メーカーで15年間サポートセンター業務をしていました。その経験からクレーム発生のメカニズム、対応の極意とテクニックなどを紹介しています。前田さんは「読者プレゼントに本をくれ」と言いそうなので、何冊か持ってきてますよ。

前田 お察し頂きましてありがとうございます(笑) しかし「苦情・クレームはビジネスチャンスです!」とは、またインパクトありますね。

安藤 クレームは貴重なお客様の声です。

前田 なるほど。本の内容について気になった方は、読者プレゼントに応募していただくか、ヒバリヤ書店さんや栗林書房さんをはじめとした地元の書店さんで購入して頂きますと、週刊ひがしおおさか的にもうれしいですね(笑)
大手電機メーカーでのサポートセンター業務と申しますと、毎日電話を受けられる、と考えてよろしいのでしょうか。

安藤 はい。はじめ数人からはじまった部所で、最終的に100人以上を統括していました。

前田 すごいですね。バブル後にそこまで拡大する事業はそうそうありません。メーカーにお勤めになられたということは、学生時代は理系だったんでしょうか。

安藤 生野工業高校機械科卒ですので、理系です。

前田 あ、うちの父も生野工業です。

安藤 つながりますね(笑)

前田 そんなものづくりを志す青年が、どのようにしてサポートの道に入っていくのでしょう。

安藤 高校卒業後、大手の孫請けをしてるソフトウェアメーカーに入社して設計をしていました。ところが、携わっていたプロジェクト自体が失敗して、部署ごとなくなってしまったんです。

前田 開発はある種の賭けのようなところもありますもんね。

安藤 はい。上司には「何でもするなら会社に残ってもいいぞ」とも言われました。当時は先の収入が見えない怖さもあって、会社に残る選択をしました。すると上司からコードレスフォン数台を渡されて「来週からパソコンのサポートセンターを立ち上げる」と。

前田 急展開ですね。研修もなくですか。

安藤 そうです。金曜日に言われて月曜日から電話を受けていましたから(笑)

前田 すごいですね。それがクレーム対応の達人のスタート地点なんですね。
しかし理系の道で来られて、いきなり一日電話を受ける仕事となると、大変苦労されたかと思います。

安藤 最初は腐りましたね。開発は未来に対する仕事なのにサポートは過去に対する仕事で、方向が全然違います。加えてWindow3.1の時代です。今以上に知 らない方からの電話が多く、「分かりやすく言え」や「人代われ」などお客様からお叱りを受けることもありました。会社に行きたくないとも思いました。

前田 そんな中でも15年、そしてサポートで起業されるまで続けてこられた要因はなんでしょうか。

安藤 多くはなかったですが「ありがとう」と言われるとやはりうれしかったですね。開発出身なので失敗することが当たり前だったのも大きかったです。あと、「ダメならいつでもやめてやる」と思っていましたし(笑)

前田 そこは重要ですよね(笑)  しかし「いつでも」と思いながらも組織が大きくなっていく。その過程すべて統括されておられると、大変なことも多かったのではないでしょうか。

安藤 新しいスタッフを入れると当然なのですが、私達が常識としていることを知りません。事業拡張のためスタッフを増やすたびにクレームの数も増えました。でも 商品知識は誰でも勉強すれば身につきます。大切なのはお客様への対応です。電話中にお客様に対して感情的になるスタッフもいましたが、そうならないよう に、私が講師をして社内の水準を高めることに気を遣いました。

前田 お客様は何も分からずに電話してこられるのですから、話も伝わりにくいですしね。講師としてどんな話をされていたのですか。

安藤 「常識のみで回答してはダメだ」ということです。「なぜお客様はこの問い合わせをしてきたのか」を考えて、お客様に質問する。そうすればお客様の意図が分かります。ここに「クレームはチャンス」のヒントがあります。

前田 本の内容に少し触れていただきましてありがとうございます(笑)  そんな安藤さんも2010年9月に起業されます。大手メーカーで大人数を抱えるリーダーが、どのような思いで独立されたのでしょうか。

安藤 15年にわたってサポートセンターをやってきまして、「近年カスタマーサポートがないがしろになっている」と感じていました。意外かもしれませんが、この業界もアジアにアウトソーシングされています。最近はサポートセンターに電話すると中国につながることも少なくありません。

前田 そう言えば、たまにサポートセンターの方に言葉がうまく通じないことがあります。

安藤 言葉だけの問題なら、中国でも教えれば問題ないと思います。でもそれ以外に何か問題があるんじゃないか?そう思って来たんです。

前田 そんな思いから退職されて、2010年9月に起業されたと。現在は「PCサポート布施」でサポートやコンサルティングをされているということですね。そして、様々な場所で講演もされています。クレーム処理関連のセミナーの情報を見ると、ほぼ安藤さんのお名前が入っていますよね。日本を代表するク レーム対応の達人です。

安藤 ありがとうございます。

前田 今後はどのような事業展開をお考えでしょうか。

安藤 独居老人をITの力で無くしたいと考えています。この世界に斬り込みたいですね。

前田 独居老人と申しますと。

安藤 1人で暮らしている高齢者の方です。私、子どもの頃から体が弱くて、よく風邪を引いて学校を休んでいました。親が共働きで、兄弟が学校に行きますと家の中 で1人です。そんな状況で40度近い熱が出ると「もうこのまま死んでしまうのかな」なんて思ってしまうこともありました。そんな孤独感をすべての人から取り 除きたいですね。

前田 壮大な計画ですね。

安藤 いや、Twitterなどで日頃からつながっていれば「最近あの人つぶやいてないな。大丈夫かな?」と周囲にも気遣ってもらえますし、スマートフォンも普及してITアレルギーも改善されつつあります。根は深く時間はかかりますが、必ず実現できると思っています。

前田 NPO法人ITブレーン東大阪の理事をされているのもそんな思いからでしょうか。

安藤 はい。少しでも高齢者の方と接したいと思いまして。ITに触れてもらう機会を増やしていきたいですね。

前田 本日はありがとうございました。一緒にITで東大阪を盛り上げていきましょう。

 

お話を伺う中で、安藤さんはしきりに「現状をこう変えたい」と話しておられました。サポートを「過去に対する仕事」と表現されていましたが、過去から学びそれを大きな推進力にしてきた。そんな自信が温かみのある瞳の奥から感じられるひとときでした。

※安藤栄一さんより週刊ひがしおおさか読者プレゼントとして、本編にも登場しました「クレーム対応の技と心得 お客様との妥協点は必ずある 」をいただいております。シリーズ終了後
・メールアドレスを入力してコメント記入いただいた方(非公開)
・Twitterにてこちらのツイートを公式RTしていただいた方
の中から抽選でプレゼントしたいと思いますので、たくさんのコメントをお待ちしています。

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取材・写真・文:前田寛文@MaechanYK

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