ライナーズの試合を、みんなで普通に観たい。花園で始まった観戦環境づくり

   

花園でラグビーを観る。

東大阪ではとても身近で、ちょっと特別で、でもやっぱり日常にあってほしい楽しみです。
では、その楽しみは誰にとっても同じように開かれているのか。
今シーズンの4月4日(土)花園近鉄ライナーズのホストゲームで、車椅子ユーザーなどの障害者と支援者らによる観戦イベントが実施されました。

243人が集まった、壮観の2019ルーム。

試合を楽しむこと。そして、誰もが普通にラグビー観戦を楽しめる環境について考えること。
花園に並んだたくさんの車椅子は、その両方を私たちに見せてくれました。

大型ビジョンの下で屋内の2019ルーム。雨でも大人数を収容でき、ゲームを間近で体感できる。

この取り組みを企画したのは、若江岩田を拠点に活動する「特定非営利活動法人ぱあとなぁ」。障害者自立支援センターとして、日々利用者の社会参加を支援しています。

ライナーズの試合会場では、場外イベント「花園ハッピーパーク」でスマートボールブースを出店しているおなじみの存在です。
大阪市の「特定非営利活動法人自立生活夢宙センター」とも連携し、イベント参加や交流を重ねながらネットワークを広げてきました。2025年には、レッドハリケーンズ大阪の試合で関西の自立センター10団体・152人が参加する観戦イベントを共同で実施。
そして今シーズン、初めて花園近鉄ライナーズとの観戦イベントが実現しました。

花園ハッピーパークでは、ホストゲーム時に毎回出店。

企画の中心となったのは、ぱあとなぁ代表の地村貴士さんと、夢宙センターの町田晃一さん。関西各地の支援センターへ呼びかけを行い、ライナーズも企画段階から全面的に協力。
観戦エリアの確保、当日の導線確認、受け入れ体制の検討など、スタジアムで安全・快適に観戦できるよう準備を重ねてきました。

地村さん自身も車椅子ユーザー。当事者としてより良いスタジアム環境づくりを目指す。

会場となったのは、東大阪市花園ラグビー場内の「2019ルーム」。当日は243人が参加し、そのうち車椅子ユーザーは67人でした。
当日はあいにくの雨。ウィルチェアスポーツコートで予定されていた車椅子ラグビーイベントは中止となりましたが、参加を予定していた人のほとんどが来場しました。

進行を務める町田さんは、ラグビー経験あり。

試合前にはライナーズの平野翔平選手と片岡涼亮選手も会場を訪れ、参加者と交流。試合中には大阪経済法科大学ラグビー部の吉田明監督と部員たちによるルール解説が行われ、会場は熱気に包まれました。

数字だけを見ても、この取り組みは大きな成果を残したと言えるでしょう。
しかし、関係者が目指しているのはイベントの成功そのものではありません。

片岡選手(右)ら選手が、参加者のもとへ歩き交流。

地村さんはこう話します。
「私たちは特別扱いされたいわけじゃないんです。普通にラグビーを見たいだけ。車椅子ユーザーも、健常者の人たちと同じように家族や友人と一緒に観戦したい。それって当たり前の感覚だと思うんです」

花園ラグビー場には車椅子観戦席が整備されています。しかし、現状では介助者とセットで利用することを前提としたスペースが中心です。
例えば6人家族のうち1人が車椅子ユーザーだった場合、車椅子1人+介助者1人の2人は車椅子席へ。残りは別の座席で、となります。
家族全員が同じ場所で観戦することは、実際には厳しい。
みんなで行ったんだからみんなで見たい。同じ立場になれば、誰しもがそう思うはず。
設備が整っていても、健常者にとって当たり前のことが、障害のある人にとっては当たり前ではない。そんな現実があります。

6月上旬に行われた振り返り会では、参加者アンケートの共有とイベント全体の総括が行われました。

会には花園近鉄ライナーズの駒喜多学部長や河村謙尚選手も参加。

参加者から寄せられた感想には、
「スタッフの方が窓を開けてくれて、芝の匂いと臨場感がすごかった」「部屋が使いやすかった」など、好意的な声が並びました。
一方で、トイレを探しに行く人や喫煙場所を利用したい人など、それぞれの行動を想定した導線設計が今後の課題です。

ラグビー界全体でも、「誰もが楽しめる観戦環境づくり」は少しずつ広がり始めています。リコーブラックラムズ東京では今シーズン「ユニバーサルデー」の取り組みが実施されていました。
だからこそ地村さんは、「来シーズンも引き続き取り組み、最終的にはどこのチームでも当たり前にやっている状態を目指したい」と話します。

観戦イベントは1日で終わりました。
けれど、この日花園に並んだたくさんの車椅子は、「誰もが一緒にラグビーを楽しめるスタジアムとは何か」という問いを私たちに残しました。

障害がある人もない人も、家族や仲間と同じ景色を見ながら応援できること。
それを特別なことではなく当たり前にするために、花園での挑戦はこれからも続いていきます。

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mihorobot東大阪探検隊・記者

投稿者プロフィール

生粋の八戸ノ里っ子。人気の八戸ノ里東小・小阪中学校校区に住んでいる。
取材へ行けば、同級生のお父さんがやってるお店だった・・・ということが多々あり。
尊敬する人は藤子・F・不二雄先生。

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