3月は年度末。週刊ひがしおおさかは決算期でもあり、バッタバタです。
みんなの会社もそうだと思うけど、使える経費は期内に収めたい。そんなことを考えていた時、知り合いに教えてもらったんです。
「東大阪の大学生が映画を作るために3月31日締め切りでクラウドファンディングをやってるらしいよ」
と。…それだ!
この企画を進めるのは、関西発クリエイティブチーム「team Allies」。クリエイティブって実はピンと来てないけど、なんか面白そう。なので無理を言ってリーダーで映画の監督の「清音 蒼(きよね あおい)」さんにお話を聞いちゃいました。場所はもちろん布施でのインタビュー取材の定番「スターバックス布施店」です。

清音さんは4月から4年生。パワポの資料でプレゼンしてくれました。
子どもの頃から映画が好きだったという清音さんは岡山県倉敷市出身。大学進学と同時に布施に移り住んだそう。50才になったばかりの編集長前田は、ちょっと親目線で「バイオレンスシティ布施に住むって心配だ」と感じてしまいます。

布施の中でもディープ度上位!愛染小路にはいいお店がいっぱい。
大学(具体名はナイショ)ではまちづくりを専攻。新型コロナ禍でリモートが続くなか「自分の求めていたものとは違う」と1年休学し、Alliesを立ち上げます。
やばい行動力。
制作する映画「20’s」のあらすじは
行政の改革により、関西のある街が壊されることが決まった。 社会との相容れなさを感じている慧、心を閉ざしたロボットのような少女凛音。彼らはその街の上で生きる 19 歳。情報社会に揉まれる中で“現実“を取り戻しながら、大人になるとはどういうことなのかを探し求める。20歳を迎えようとしている彼らは何を語るのか。2020年代を生きる若者たちが、関西の街で繰りなす青春群像劇。
というもの。この「関西のある街」が東大阪の布施から高井田という設定です。
20歳の主人公が生まれた街を舞台に自分たちで映画を作り、実家を継ぐことや将来への不安と向き合う。その過程で街への見方が変化していく。
ドキュメンタリーをフィクションで描くという手法とのこと。
作風的にも、もしまだラインシネマが現在なら、絶対に上映していたでしょう。
一方で、あらすじとはうらはらに。週刊ひがしおおさか的には、こういった「行政のまちづくり」には肯定的です。有休地も少ない自治体で、富を生み出すには再開発しかありません。大人のつまらない常識から見れば、古いものを壊さなければ投資は集められない。さらにそれが可能なのは、東大阪の中では今のところ布施と小阪だけという現実もあります。
子供たちの未来のためにと思うなら、東大阪に選択肢などそう多くはないのです。
少々ずるい言い方ですが。

昔はもう一本商店街があったが再開発で1996年にイオン(当時はビブレ)が開業した。
しかし、清音さんはそんな布施に愛着を持っていると言います。僕たちが若い時に感じた独特の鬱陶しさを「街の人とのつながり」と表現します。作品にも商店街や街の人に出演してもらうつもりだと言います。
30年前、僕たちが20歳の頃。バブルは弾けて設備投資が減速しました。景気は急激に落ち込み、最先端ではなくなった日本企業は新規採用を抑えて生き残ろうとします。結果、就職氷河期が到来し、結果僕たちは「失われた世代」と呼ばれるようになりました。

かつて布施の賑わいのバックボーンを担っていた高井田の工場たち。
一方で清音さんたちAlliesの皆さんは、布施を舞台にワークショップを行います。街を感じ、理解して映画を作り、子供から大人への転換点である自分たちにしか作れないものを映画「20’s」に込めようとしています。
まぶしい。何もかもがまぶしい。

Z世代特有の「ハックしてる」感があるサムネ。
本音は、僕たちと清音さんたちとでは社会に対するスタンスが違いすぎて「よくわからない」。
でももし、僕たちが30年前に自分の周りをポジティブに捉えられていたら。社会を憎むのではなく、自分が関わることでみんながより良くなるとあのとき感じられていたら。
バブルの後始末をさせられた世代である僕は、そんなパラレルワールドの端っこを見るために、少しだけ支援をしたいと思います。

金額は、ギリ広告が流せる金額というチキンっぷり。
自分たちの価値の外にある何かが生まれれば最高だ。こんなクソみたいな世の中を、少しでも明るく照らしてくれるなら、そんな実験をする若者がいるのなら。決算に影響の出ない範囲ではありますが。
まだ見ぬ世界への投資として。読者の皆さんもよろしければ。2023年3月31日締め切りです。
【映画制作】20歳の仲間たちと、昭和レトロな東大阪の街をフィルムに収めたい!!(CampFire)
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