大林監督が布施ラインシネマへ大林宣彦監督作品「この空の花 ―長岡花火物語」

布施ラインシネマでは、12年6月23日から7月6日まで大林宣彦監督作品「この空の花 ―長岡花火物語」を上映する。6月の上映は関西では同館だけとあって関係者らの注目を集めている。

大林監督は「転校生」や「時をかける少女」を手がけた名監督で、「青春デンデケデケデケ」で第16回日本アカデミー賞優秀監督賞も受賞。更に04年春には紫綬褒章、09年秋に旭日小綬章を受章している。平和への祈りを込めて打ち上げられる長岡の花火を見たことからこの作品の製作を決意したという同監督は、完成披露試写会の席上で「戦争を知らない世代にも平和を作る時間を体感してほしかった」。また、「東日本大震災が起きた時、これを機にいろいろと考えていきたいという思いから、この映画にはエンドマークを付けていない。本当の復興は子どもたちが未来に希望を持つことだと思う」と制作の動機などを語っている。そんな著名監督作品にも関わらず、同作品は大手配給会社からの作品ではないため、6月以降全国各地順次公開となっている。6月18日現在、関西では布施ラインシネマと8月に京都で1館が上映を予定している。

「チラシがなくなるのも他作品より早い」と語る金本さん

試写会や先行上映での評判も上々であったことから、ぜひにと手を上げたのが布施ラインシネマ。「上映スケジュールは通常半年以上前から予定が決まっている。急きょスクリーンを確保するのはそれだけのこだわりがあってこそ」と同館の金本主任はこの作品に賭ける意気込みを語る。

上映が決定してから布施ラインシネマにはTwitterを中心に問い合わせが殺到。関西一円の映画ファンから注目される形となった。
通常、各作品ごとにTwitterアカウントが開設されるので、映画館に問い合わせすることは極めてまれ。今回は情報の少なさもあり、ツイートするたびに多く人からリツイート（拡散）されるほど注目を集めている。同館では当初、23日から1週間限定で1日1回のみの上映予定だったが、これを受けて2週間に延長が決定。29日までの1週間は1日3回の上映と大幅に拡充された。
また、30日には上映後に大林監督の舞台挨拶も行われる。関西の映画ファンが大注目する2週間。東大阪人はぜひとも布施ラインシネマに足を運んでもらいたい。

取材・文・写真：前田寛文@MaechanYK

〜あらすじ〜
市井の人々の”勇気と祈り”で平和を作り、何度でも蘇り復興を遂げてきた町、長岡。
ほとんどの登場人物は歴史の中の実在の人物たちであり、
歴史的事実を革新的なセミドキュメンタリィ・タッチの劇映画として綴る。
いま、ひとつの、とてつもなく壮大な物語世界(ワンダーランド)の花が夜空に咲く!!

＜ストーリー＞
天草の地方紙記者･遠藤玲子(松雪泰子)が長岡を訪れたことには幾つかの理由があった。ひとつは中越地震の体験を経て、 2011年３月11日に起きた東日本大震災に於いていち早く被災者を受け入れた長岡市を新聞記者として見詰めること。そしてもうひとつは、何年も音信が途絶えていたかつての恋人･片山健一(髙嶋政宏)からふいに届いた手紙に心惹かれたこと。山古志から届いた片山の手紙には、自分が教師を勤める高校で女子学生・元木花（猪股南）が書いた『まだ戦争には間に合う』という舞台を上演するので玲子に観て欲しいと書いてあり、更にはなによりも「長岡の花火を見て欲しい、長岡の花火はお祭りじゃない、空襲や地震で亡くなった人たちへの追悼の花火、復興への祈りの花火なんだ」という結びの言葉が強く胸に染み、導かれるように訪れたのだ。こうして2011年夏。長岡を旅する玲子は行く先々で出逢う人々と、数々の不思議な体験を重ねてゆく。そしてその不思議な体験のほとんどが、実際に起きた長岡の歴史と織り合わさっているのだと理解したとき、物語は過去、現在、未来へと時をまたぎ、誰も体験したことのない世界へと紡がれてゆく━━！
（作品資料より）