東大阪に古くから店舗を構えるヒバリヤ書店。東大阪に住んでいる人なら、一度は足を運んだことがあるのではないでしょうか。私は物心がつくころには、週に何度も立ち読みをしに通っていました(笑)。今でも、西友八戸ノ里店の立ち読みコーナーでこっそり漫画を読んでいますが、それ以上にもちろんちゃんと本も買っていますよ。
ヒバリヤ書店は本年で創業94年を迎える、とても歴史のある書店です。今回は本店に勤務する大内斉さんに、ヒバリヤ書店の歴史・特徴・今後の展開についてお話を伺いました。
1918(大正7)創業、初代社長は森川茂太郎さん。現在は孫の森川泰秀さんが3代目の社長として陣頭指揮を執っておられます。
現在、東大阪市内に6店舗(本店・ロンモール布施店・コミックランド店・西友八戸ノ里店・イオン布施駅前店・たまりや店)、八尾に1店舗(山本店)の計7店舗を展開、近鉄沿線に集中しています。中河内郡布施町足代(現在のなか卯布施店がある場所)に一号店を構えました。
創業当時、本店の周囲は田畑や林が広がっており、ヒバリがさえずっていたことからヒバリヤ書店と命名されたそうです。
お話の中で特に面白いと感じたのが、各店舗の建物の構造です。まず本店ビルですが、昭和40年に建築され、一号店から移転しました。その時、隣接のビルも買い増したそうで、実は本店ビルは隣同士だったビルをつなげたものなんです。2階と3階にスロープがある理由は、フロアの高さに微妙なズレがあったためなんです。
次に、八戸ノ里西友店はスーパー西友の2階にありますが、同スーパーの前身はボーリング場で、西友店は受付だった場所。店舗入り口にある2、3段の段差を下りると、レーンがあったそうです。段差はその名残なんですね。
また、現在はない小阪店は、社長の自宅の一部を店にしていたとのこと。庭の見える書店だったようです。建物の構造に注目してヒバリヤ書店を見ると、新たな発見があるかもしれませんよ!
それぞれの店舗に個性があるヒバリヤ書店ですが、私が特に注目するのはえんじ色のブックカバーです。何やら古文のような字が書き込まれたデザイン。電車で同じ柄のブックカバーの本を読んでいる人を見た日は「ああ、この人も東大阪っ子なんだな…ふふふ」と妙に親近感が湧くのは私だけでしょうか? 渋い柄で目立つこのブックカバーにも、隠された秘密があります。
「この文字は、夏目漱石に関係しているのだと聞いています。数軒の書店が集まって考えたデザインだそうです」と大内さん。ちなみに、鶴橋駅前の高坂書店(大阪市生野区)は色違いの紺色ブックカバーが使われています。「本屋の顔」とも言えるブックカバーにも、様々な思いや歴史があると知って驚きました。
最後に会社の特徴としては、店舗ごとに独自のカラーがあること。「布施駅周辺にある店舗では、本店は比較的年配のお客様、ロンモール店は女性層、イオン布施駅前店ではファミリー層が多いです」と、同じ布施にあっても客層が違うことを大内さんは強調します。また「本店では学習参考書・絵本に力を入れるなど、常に模索を続けています」とのこと。大内さんはTwitterで定期的に新刊発売のツイートをし、時代に合った形で情報を発信されています。特に、雑誌の発売情報がTwitterユーザーのお客様に喜ばれているそうです。
地元ながらのエピソードもあります。お昼過ぎに本店で勤務していた大内さんの元に一人のお客さんが現れ、「さっきテレビでやってた本ちょうだい!」と題名の分からない書籍を尋ねられたそうです。「ずっとレジにいたのでちょっと分からないですね・・・」と苦笑しつつも調べたそうですが、難波や梅田にあるような大規模な書店ではなかなか尋ねにくいことも、「街の本屋さん」では自然に尋ねられてしまうようです。
冒頭、「私は幼いころからヒバリヤ書店に通っている」と書きましたが、店員さんはその頃からほとんど変わっていません。なじみの店員さんがずっといるという安心感もヒバリヤ書店の大きな特徴で、私の好きな所でもあります。
東大阪、特に布施の歴史の生き証人となっているヒバリヤ書店。各店舗の顧客の要望に合わせた品ぞろえを展開し、独自の路線で地元のお客さんに親しまれています。100周年まであと少し。大内さんに今後の展開について尋ねると、「地元の方に愛される書店を目指して、更に地元密着を目指していきたい」と力強く語ってくださいました。これからも、東大阪市民の知を支えて続けてください!
ヒバリヤ書店データ
住所:577-0841 大阪府東大阪市足代2-5-24(本店)
TEL:06-6722-1121(本店)
WEB:http://www.hibariya.net/
Twitter:https://twitter.com/hibariyahonten
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