今日は真面目なお話を少し。最近、メディアで話題となった「東大阪市 かかりつけ薬局制度」。なんか難しそうな単語が並んでいますが、ざっくり言うと、生活保護を受けている人が薬を受け取る薬局を原則、1カ所に限定するという制度です。東大阪市が初の試みなのだとか。え、それって、他の薬局に行けなくなったり、指定した薬局にほしい薬が置いてなかったりして、けっこう不便なんじゃ・・・?いろんな疑問や不安が出てきますよね。そこで今回は、東大阪市役所福祉部でかかりつけ薬局制度についてお話を聞いてきました。
インタビューに応えてくださったのは、福祉部生活福祉室室長の平田さんと主査の後藤さん。
-かかりつけ薬局。たまに耳にする言葉ですが、どんな制度なんでしょうか?
「かかりつけのお医者さんって、よく言いますよね。なんでも体のことを相談に載ってくれる、近所のお医者さんです。かかりつけ薬局はその薬局版。自分の薬局を1ヶ所に決めておけば、いろいろ相談もでき、飲み合わせのアドバイスなどもしてくれる。そんな薬局を作りましょうという試みですね」
-それって、東大阪に住んでいる人みんなが薬局を1ヶ所に決めるっていうことですか?
「いえ、登録が必要なのは生活保護を受けている人だけです」
-あ、そうなんですね。でも、なぜ生活保護の人だけを対象にするんでしょうか。
「生活保護受給者へのかかりつけ薬局制度が必要だという声は、全国で上がっているんです。特に東大阪市は歳出に占める生活保護費の割合が大阪府下第3位。受給者は2万人の受給者がいて、今も増え続けています」
-2万人!東大阪市の人口は50万人ですから、大変な数ですね。
「はい。生活保護費は市の歳出の5分の1です。さらに生活保護費の約半分が医療扶助に当てられていますから、生活保護者の医療扶助は東大阪市が1年で使うお金の10分の1になっています」
-医療扶助ってお医者さんに行ったり、お薬をもらったりってことですよね。それが半分ですか?!それは・・・なんとかしなきゃってなりますよね。
「2年前、野田市長の特命で『生活保護行政適正化推進本部』が発足しました。今回の制度もそのプロジェクトの一環です」
-そうだったんですか!一連の流れがあったんですね。でもその制度がどれくらい、生活保護費の抑制につながるんでしょうか。お薬をもらう薬局が1ヶ所になるだけですよね。
「複数の医療機関に通って、別々の薬局で同じ薬を受け取っている方がいるのです。ほとんどの受給者の方はそんなことはないのですが。制度にすれば薬の管理を薬局で行えるようになりますので、無駄な薬は処方されなくなります」
-なるほど~。でも薬局を1ヶ所に限定しちゃうと、他の薬局に行けないってことですか?
「例外は当然あるので、絶対にこの薬局でもらってください、というようなことはありません。そこのところは、個人単位で柔軟に対応をしていきます」
-個人単位、となると大変なことになりますよね。なにせ2万人です。
「ケースワーカーさんからしっかり受給者のみなさんに説明して、ご理解をいただきながら進めて行かなければ意味がありませんから。あと、大変だからといって放おっておくこともできません。地道な仕事ですが、私たちができることを少しずつやっていかないと!」
-ひとりひとりに合った対応をしてくださるんですね。それにしても、お二人からすごい熱意を感じます。
「全国でも例がないのに東大阪市が声を上げたのは、法律で定められた範囲の中でもできることをして、市民のみなさんの生活をより良い方向に持っていかなければならない、という使命感があったからです。いろいろな声があるのは確かですが、その声に耳を傾け、みなさんが暮らしやすい東大阪にしていくのが、私たちの仕事です! 」
職員さんの思いが熱く燃え上がる8月、かかりつけ薬局の制度は順次スタートします。
市役所だからこそできる大きな改革。関係おおありなあなたも、自分には関係ないと思っているあなたも、東大阪の一員として「みんなが暮らしやすいまち」って何なのか、考えてみませんか?
撮影・図:mihorobot
文:mihorobot、前田寛文@MaechanYK
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