私の仕事着は、ポロシャツにジーンズ。上は定期的に買い足しますが、下は長く履きます。
膝をつき、自転車で疾走し、他社の記者陣にもまれながら取材をしていると、知らないうちにジーンズが破けてしまうこともしばしば。
そんな時の強い味方が、産業道路沿い、新家にあるジーンズ専門リペアーショップ、「ジーンズ・ホスピタル」です。
持ち込んだのは、ある日の取材で引っ掛けてしまい、ポケット脇が縦に裂けてしまったもの。このまま履くと、下着が見えてしまいます。
安物なので、少し気恥ずかしさもありながら持ち込んだのですが…。
「なかなか難しい場所ですが、直せばまだ履けますよ」
と、まずは記者の相棒を褒めてくれたのは、仙入(せんにゅう)文子さん。ジーンスをかっこよく履きこなし、受付から修理まで一人でお店を切り盛りします。
まず傷口の状態をチェック。破れや穴の構造を見ます。同じような穴に見えても、周りの薄れや位置など状態は様々なんだとか。
「『きれいになります』とは言えません」
と厳しい顔で話す、仙入さん。
「直接会って、丁寧に説明して、仕上がった別のものを見せたりして。お客様がどういった仕上がりを期待しているのかも違いますからね」
安請け合いはしない。これは仕事に自信があるからこそ。お客さんとしっかり話をして、信頼を作ってから仕事にかかるのです。
そんな仙入さんですが、昔はジーンズどころかズボンを履いたことがなかったんだそう。偶然手伝うことになったお店がジーンズショップで、店長さんと結婚し、生き残るために猛勉強。ラスベガスやニューヨークへ視察に行って、東大阪どころか大阪でもそうない「リーバイス専門店」を、今と同じ場所で30年以上されていました。
「お店をやめたあとも、昔のお客様から電話があったんです。直してくれないかって。ジーンズは長く履くものですから、信用できるとこに任せたいって」
そんな声に後押しされて、2010年に「ジーンズ・ホスピタル」をオープン。おそらく東大阪唯一のジーンズ専門リペアーショップが誕生しました。
はじめのお客さんは昔の常連さんが主。ところが徐々に口コミやネットで評判を呼び、今は30代以下の若いお客さんも多いそう。知人の出来上がりを見て「こんなにきれいに仕上げてもらったことはない!」と驚いて、自分のものを持ってこられる方もいるほどです。
そうこうしているうちに、記者の股の穴も修復完了。
これはもう、修復とかお直しではなく、新しい味。記者のジーンズは、生まれ変わったのです。
気になるお値段は、丈直しが500円。つぎあては1か所100円から。状態によって差があるので、現物を見た上で判断になります。気軽に相談してみましょう。
みんなが憧れていた、アメリカ文化の象徴”ジーンズ”を日本にローカライズさせた生き証人。経験と技術で日本文化へと昇華する。鋭い目と正確な指先はその心意気を静かに語っていました。
■ジーンズ・ホスピタル
住所:大阪府東大阪市御厨6-3-26
電話:06-6781-7301
時間:月〜金10:00〜17:00 土10:00〜15:00
休業日:日・祝
駐車場:なし(近くにコインパークあり)
アクセス:近鉄八戸ノ里駅から北へ徒歩15分 地下鉄長田駅から南へ徒歩15分
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