この10年、メガネの価格は劇的に下がりました。ショッピングモールなどに大型眼鏡店が増え、5,000円を切る低価格で購入できることも。しかし、東大阪・布施には全国からお客さんが押しよせる、小さな眼鏡店があります。
お店の名前は「グラステーラー」。お客さんにあわせて一つ一つ作る、全国でも珍しいオーダーメイドの眼鏡店です。しかし、メガネのオーダーメイドってどういうこっちゃ。ということで、取材してきました。
布施駅から南西へ徒歩7分。商店街から脇道に入ったところに「グラステーラー」はコッソリとたたずんでいます。

旧ラインシネマ南館から西へ入ってすぐ。
待ち構えてくれていたのは、店主の吉田直樹さん41才。圧倒的な存在感です。何がって、顔が大きい。男前のキリッとした、劇団俳優のような、大迫力のイケメンさんです。
「僕、昔から顔が大きくて。昔から帽子選びには苦労しました。」
なるほど!そこからメガネのオーダーなんですね!

吉田さんは、演劇の舞台に立っていても違和感のない、迫力のあるオトコマエ
と会って2分後に軽快なボケとツッコミに付き合ってくださる吉田さんは、布施で生まれ布施で育った、正真正銘の布施人。三ノ瀬小学校出身というから、筋金入りです。
店内には、色のついた板(生地)とメガネのフレームがズラッと。色や形を見ながら自分の作りたいメガネをイメージすることからオーダーは始まります。次にどんなメガネを作りたいか、吉田さんと相談。ヒアリングが完了すると、測定です。顔の大きさや目の位置などを細かく測定し、形を決めていきます。

上の段がフレーム状。下の段が生地見本。
既製品では対応できない、顔の個性と自己主張にあわせたフレーム作り。顔が大きい人や耳の位置が後ろにある人など、それぞれの事情に合わせます。正真正銘のオーダーメイドです。
「出版業だからペンのアイコンが入ったメガネを」「タイガースファンなので黄と黒で仕上げてもらいたい」「頭の横幅が人より出っ張っていて」など、要望は多岐にわたり、それに答えていくのです。日本ではここでしか作れない、メガネのフレームが38,000円(レンズ代別)から。

鼻にかけられない人用のメガネ。
大学を卒業後、大手旅行代理店勤務をへて、稼業の眼鏡店に入社したころ「メガネの価格の暴落がはじまった」と吉田さんはいいます。これからの小売は苦しい。そんな不安のなか出会ったのが、メガネのメッカ福井県鯖江市でのメガネ作り体験でした。メガネのフレームを自分で作るので、大きな顔にあったメガネが作れたのです。
「他にないし、いけるんじゃないかと思ったんです。」
修行の末、布施で開業。内装はDIYで整えました。効果を発揮したのは、毎日書いているブログです。製作過程や完成品を毎日アップすると、徐々に話題を呼び今では半年待ち。なかには近畿圏以外の遠方から、とても切迫した事情でやってきます。
耳の位置が多くの人とは違う人、事故で鼻に物を当てられなくなった人、その他、人それぞれの。
「一人ひとりに向き合って、その思いを受け止めて僕が作ります。」
多大な精神力、想像力そして手間がかかってしまうことは、容易に想像できます。だからこそ、吉田さんにしかできない仕事が、グラステーラーにはあるのです。

映画「バクマン。」で主人公シュージンがかけるメガネも作ったんだって!
そんな吉田さんは、いまやメガネの専門学校でも講師を務め、業界の第一人者。教えて欲しいと押しかけてくる若者もいるんだとか。
しかし「まだまだメガネのオーダーメイドはマイナーですよ」と満足していない様子。今やりたいことを聞いてみると、
「遠方からわざわざ来ていただくこと、お待たせしていることが今は心苦しいので、ワーゲンバスで全国を回りたいですね。1周目で受付をして、作りながら各地へ飛び、2周目でお届けする。たまにこんな妄想するんですよ。」
吉田さん、どこまでも自分でやるつもりです。グラステーラーの旅は、今始まったばかりなのかもしれません。
■グラステーラー
住所:〒577-0841 大阪府東大阪市足代1-9-3
TEL:06-6727-8879
営業時間:10:00〜19:00 ※訪問時は要連絡
定休日:水(不定休)
駐車場:なし
アクセス:近鉄布施駅駅より南西へ徒歩7分
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