ジャパンラグビー・トップリーグ第2節で、パナソニックに後半逆転され悔しい敗北となった近鉄ライナーズ。リーグ上位に食い込むには、連敗するわけにいきません。
汗が出るほど快晴の中、11月28日(土)パロマ瑞穂ラグビー場にて、第3節近鉄ライナーズ対サントリーサンゴリアスの試合が行われました。

サントリーは昨シーズン5位の強豪。ライナーズがトップリーグで勝利したことはありません。

前節の反省から、80分間走る自分たちのラグビーができるかが勝負の分かれ目。この日のライナーズはスピース、デアリエンディの強力外国人選手が第1節から3戦続いてスタメン入り。前田、島、井波、浅岡、南藤など若手・新人選手が続々登場し、フレッシュな顔ぶれで挑む一戦です。

名古屋にもかかわらず、多くのライナーズファンが声援を送るホームな雰囲気の中、サントリーボールでキックオフ。ライナーズが風上です。

あれ？ここ、花園だっけ…というほどの大声援。

序盤から攻めの姿勢のライナーズは、相手にチャンスを与えないようボールをキープしにいきます。4分、8スピースがハイパントでキャッチしたボールを、15高、9金へ。10重光が外へ回し、島がタックルを受けるもステップでディフェンスラインの裏へ抜けると、万全を期してフォローに来ていた2樫本へ渡して先制トライ！Gも決まり、7-0とします。

華麗なステップでかわした11島。

2樫本、猛突進でトライ。

勢いづくライナーズ。7分には、ラックをめくって出たボールを、9金がターンオーバー。一気に相手陣に走りこむと、8スピースへ。確実にトライを決め、G成功で14-0に。
開始10分内に立て続けのトライを決め、好スタートを切ります。

パスと見せかけ、ターンオーバーする9金。

期待に胸が踊らせていると、12分、強いアタックを見せるサントリーにトライを奪われますが、深いキックを連発し、相手陣でプレーしようと試みます。
15分にはPGも決め、流れを自分たちのペースに。その後もサントリーの鉄壁のディフェンスを破ろうと総攻撃を仕掛け、30分に14田中がもう1トライ。
39分、必死に追い上げるサントリーにトライを奪われると、22-14で前半が終了。とにかくボールを奪われないよう、走り続けた前半となりました。

8スピースへボールが渡ると、もう止まらない！

後半に入るとじわじわと形勢逆転。サントリーの強いアタックを必死に食い止め、我慢し続けますが、両者激しすぎるプレーが目立ち苦しい時間に。
27分、必死のディフェンスを見せますが、タックルミスでトライを決められ22-19に。
しかし、嫌なムードにも負けず低いタックルでその後の攻撃を止めるライナーズ。31分には、サントリーのノットリリースザボールでPKのチャンスが到来。10重光が確実にGを決めて25-19とします。
大いに沸く会場。このまま我慢すれば、勝利も夢じゃない！ただ、油断はできません。1トライ1Gで逆転される瀬戸際です。

サントリーのアタックを、止めて！

残り10分、自陣でのプレー。突き刺すようなアタックで攻め入るサントリーを、果敢なタックルで食い止めるライナーズ。徐々に22mラインに近づきます。あと少しの我慢、耐えてくれ…！

そしてついに、終了のホイッスルが。最後まで持ちこたえたライナーズが、25-19で勝利を手にしました。

試合終了の瞬間、歓喜、涙する選手たち。

80分間走り切った戦士たちに、拍手喝采！

「選手たちが最後の最後までがんばってくれました。全員にありがとうと言いたいです」と前田監督。「タックルの時間が長く、我慢を続けるゲームでしたが、奪い返しやりきることができました」と勝因を振り返りました。

試合後、涙ながらに選手と握手する前田監督。

ライナーズがサントリーに勝利するのは、2000年1月9日に行われた全国社会人ラグビーフットボール大会予選プール以来、15年ぶり。トップリーグでは初めてです。2勝をあげたライナーズは勝点を9とし、上位トーナメント進出に一歩近づきました。

【週ひがMVP】金哲元(キム・チョルオン)選手(SH)

トライにつながる好プレーを見せた、金哲元選手が今回のMVP。「僕が入って9年目ですが、はじめてサントリーに勝てました。嬉しい、みんなの勝利、チーム全員の勝利です！」

第4節はクボタスピアーズとの対戦。12月6日(日)、東大阪市花園ラグビー場にて14:05キックオフです。
リーグ戦も折り返し。ホームグラウンドで錦を飾ることができるか、注目の一戦をお見逃しなく！