串かつちとせ10周年おいしくて楽しい人気店の秘密に迫るラブレター

10年ひと昔って、なんとなーくみんな言いますよね。
何か新しいことを始める時に「まず10年がんばろう」と思う人も多いはず。

東大阪に数ある名店の中で、この5月で10周年を迎えるお店があります。
本場新世界の味を受け継ぐ「串かつちとせ」。八戸ノ里にやってきてちょうど10年です。

10年変わらぬ店構え。ビリケンさんはちとせの誇り。

新世界1949年にオープンし人気店だったちとせは、2008年に現店主の田中裕之さんに代替わり。地元である東大阪・八戸ノ里に移転しました。串かつの定番「二度づけ禁止！」と素材・衣・ソースが三位一体となった本場の味を、東大阪に持ち込んだのです。

ちとせの串かつは独特です。ふわっとした、厚みと食べ応えのある衣は、カリ！ではなくサクッ！としたオンリーワンの逸品。甘めのソースにドボッとつけていただくスタイルが、何十年もファンの心をつかんで離さない秘訣です。

ウィ〜！ちとせの串かつは世界一！！(当社比)

「僕もいろいろあって40歳を過ぎてから父の串かつ屋を継いだけど、それがまあまあ性に合ってたみたいやわ」と串かつを揚げながら笑顔で話す田中さん。
前職(と言ってももちろん10年以上前のキャリア)である大手アパレル商社マンだった経験を活かし、毎年周年記念グッズはデザイン性にも優れ楽しいノベルティを用意しています。

7周年時のステッカーのデザインはミホロボット！めっちゃ鍛えていただきました（笑）

ちとせのある八戸ノ里は、今大きな動きの中にあります。先月にはライフ八戸ノ里店が誕生し、人の流れは一変。近鉄奈良線高架下の旧中央環状線の歩道は拡幅工事がなされ、近畿大学の学生たちの通学路としての整備も進行中です。
さらに2019年9月には駅北に東大阪市文化創造館もオープン予定。近鉄奈良線沿いの大阪瓢箪山線も中央環状線を横断して東へ接続する予定で、同時にほかの再開発も進められています。
それも手伝ってか、八戸ノ里には個性的で面白いお店が集まります。

ちとせには、仲間たちとの活動の様子も。

5月15日(火)から、ちとせは10周年感謝セールを実施。お祝いを兼ねて、週刊ひがしおおさかも訪問して来ました。通常2000円の10本コースが「3日間限定で1000円！」とあって、店内はいつも以上にごった返します。
また飲食代が1人3000円を超えればトードバッグのプレゼントも。セットが半額で、3000円以上食べるのは至難の業ですが、みなさんまあまあ獲得して帰ります。田中さん、これ赤字ですよね（笑）

女性3人組で各々獲得！どんだけ食べてるの…（笑）

「10年商売やらせてもらったからね。でもホンマに最初、八戸ノ里に移転して来たときはお客さんが来なくて。新世界の頃の常連さんにも十分お知らせできずに代替わりしたから」

10年前、田中さんは未経験の飲食業に挑戦。東大阪市内の焼鳥店で修行をしながら、昼間は調理師免許を取るために学校へ通いました。きれい事だけではない、人にはなかなか言えない経験をたくさんしたあと、自分にはこれしかないと執念で実現した出店。しかし、お客さんは来ない。そんなときに、テレビ局の取材が入ったのです。

一番右がお父さん。元近鉄のラグビー選手。

「『ちとせさんて、あの新世界のちとせですか！』ってテレビ局の人が来てね。放送日はどんな感じになるか店のテレビで営業中に見てたんですよ。そしたらテレビ画面に電話番号が出た瞬間から予約の電話がジャンジャン（笑）それからしばらくは、連日満員でした。」

お父さんがコツコツと積み上げたものが、引き継がれた瞬間と言っていいでしょう。
先代に会いに来る人、ちとせの串かつを懐かしく食べていく人、新しいちとせに驚きそしてさらにファンになっていく人。
あっという間に評判店となり、新しい顧客も着々と開拓。10年で、全国から人が集う名店へと成長したのです。

10周年を記念してと、お客さんの子どもからプレゼント。愛されすぎっす。

お店が軌道に乗ると、次々に「今風の人気店」として新しい活動を展開します。
2013年には「小阪・八戸ノ里なのはなバル」の立ち上げメンバーとして活躍し、次に八戸ノ里商店街のブランディングにも尽力。さらに2015年にはソースのボトリング販売を開始し、今年の4月からは正社員を雇用。ランチもはじめました。
伝統を守りつつ時代の流れを読み、その伝統に新たな価値を与えていく。
10年を走った過程と成果は、間違いなく田中さんの努力とそれまでの人生が結実したもの。挑戦をしながら、時には失敗もしながら。