10月4日(火)、週刊ひがしおおさかの一つの事業が終了しました。東大阪市花園セントラルスタジアムを本拠地にする独立リーグの野球チーム「06BULLS」がシーズン最終戦を終え、週刊ひがしおおさかが担っていたホームゲームのライブ配信が完了したのです。
今シーズンのホームゲーム全24試合。配信チャンネルは公式YouTubeの「ゼロロクTV」でしたが、週ひがスタッフ(主にホッケー梶間と隣の栗田さん)が担当し、さまざまなチャレンジをしました。
ラグビーやサッカーなど主に野外での配信を得意にする週刊ひがしおおさかも、当初は慣れない野球に大苦戦。カウントやスコアを表示したり、カメラをたくさん用意したり。1番難儀だったのは、やっぱりセンターからのカメラの実現です。
ちょっとお高い機材をレンタルして、仲良しのお店にスポンサーになってもらって、他は持ち出しで実施しました。そう、この事業はチームからも予算は発生していません。その経緯は、めんどくさいんでまた後日。
収益以上に寂しいのは、やはり閲覧数です。同時接続はピークでも30人程度で、アーカイブを含める再生回数も1000人を超えることは稀。
これは、ライナーズや大学ラグビーの1/20程度。大幅なテコ入れが必要なのは間違いないでしょう。
配信と同様に、スタンドもさみしい状態です。結果的にホーム全試合の会場にいた僕たちの目視では、平日昼間の開催では多くて20人。それも選手の家族やスポンサー関連など、広義の関係者だと感じられます。
原因はハッキリしています。まずは、圧倒的な知名度不足。
2012年のリーグ戦参加から10年が経過した06BULLSですが、今も多くの読者(週ひがのファン)から「野球チームがあったんですね!」と言われる状況です。地域イベントに参加したり、駅でチラシを配布したり、ちゃんと地域へのアピールはしていますがなんせマスメディアでの露出がない。野球の世界から外に情報が出ない。
リーグの力不足も否めません。毎年のようにNPB(いわゆるプロ野球)ドラフトを賑わす四国アイランドリーグやBCリーグと違い、関西独立リーグからはほぼ誰もドラフトで名を呼ばれません。リーグ名である「さわかみ関西独立リーグ」は、野球村の中でも知名度で負けているのです。
10年経った今も、06BULLSはまだNPBに選手を送り込めていません。選手にとって、NPBに行くために実力を向上させる場所が独立リーグ。だとしたら、その実績がないリーグやチームは選手からも選ばれにくい。
行政からの支援も引き出せているとは言えず、ホームにしている花園セントラルスタジアムの優先使用権は得られていません。他の団体と同じように、数ヶ月前に実施される抽選に参加するのです。アマチュア球界で貴重な「硬式野球ができるスタジアム」でもある花園は激戦で、集客のしやすい土日は年に数えるくらいしか試合を実施できません。
さらにナイター設備がないので、平日昼間の試合開催が基本。集客での大きなハンデを背負っています。
「独立リーグのチームなんて誰が応援するんだ」という意見も根強いでしょう。
・テレビへの露出がないスポーツ選手を好きになれない
・著名人でなければ利用価値がない
と、昭和のスポーツ感を持っている市民も多く、それも間違いとは言い切れない面もあります。
その一方で、四国アイランドリーグはある程度の地位を得ています。所属選手からロッテの角中勝也のような侍ジャパンまで排出していて「目の前の選手がいつかスターに」という流れができています。
しかし、関西でスポーツビジネスに携わる多くの人たちから聞こえてくるのは
「阪神タイガース以外に人々が興味を示さない」
という事実です。
ライナーズやFC大阪はまだしも、同じ競技の06BULLSにとって、NPBの超人気球団と比較されてはたまりません。タイガースファンが来てくれるのか、NPBのファンが来てくれるのか。見込み客がどこにいるのかを本気で考えず、ただ野球の試合をしているなら競合は阪神ってこと。勝ち筋が見えない商売です。
そうは言っても、やっぱり野球は力がある。ラグビーの配信をいくらがんばっても、配信しているチームそのもののファンの人たちからしか興味を持ってもらえませんが
「野球の配信をやっている」
というだけで、多くの人から褒めてもらえます。
ラグビーの配信は「ありがとう」と言ってもらえますが、
野球の配信は「すごいね」と言われるのです。
来季からチーム名も大阪ゼロロクブルズへと変更。阪神タイガースOBの桜井広大監督も辞任し、チームの顔でもあった孫入優希キャプテンもスタッフに転向します。
次の監督人事などは不明ですが、事業としての岐路であることは間違いありません。ビジネスになるか、夢のままで終わるのか。
偶然のNPB入りに期待するのは、タイガースがいない場所でこそ成り立つスキームである。
そう定義し、考え、独立リーグらしくないチームとして脱皮できた時、ゼロロクブルズは大きく飛躍し多くのファンを獲得できるでしょう。
スポーツビジネスの楽しさとは、ファンを作る過程や満員のスタンドにつながる小さな努力の積み重ねだ。
がんばれゼロロクブルズ。我々も力を惜しまない。ともに、野球の底力を見に行こう。臆することはない。だってみんながやってるのは、野球なのだから。
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