俊徳道、好きですか?
そうあの俊徳道です。布施と長瀬の間の地域。
好きも嫌いもないと思いますが、体験した後はなんだかちょっと特に用事のないあの地域に興味が湧いてくる…そんな企画展が、東大阪市民美術センターで開催中です。
東大阪出身アーティスト、中野裕介さんの個展「中野裕介/パラモデル展 よろぼう少年、かなたの道をゆく▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ」。
タイトルだけ見るとちょっととっつきにくい?
こういう企画展って「アートを分かってなきゃ」って少し身構えちゃうけど、分からなくてもノープロブレム。
館内へ一歩入ると音と光と物体が融合し、空間全体でアートのシャワーを浴びることになります。
今回の主人公は「よろぼう少年」こと俊徳丸。盲目でヨロヨロ流浪する1人の少年の伝説がモチーフです。
地名の「俊徳道」は、俊徳丸が通った高安の里から四天王寺への道筋だったことに由来するんだって。東大阪に住んで三十余年、初めて知りました。
日本で古くから伝えられてきた伝説で、能や歌舞伎、舞台、映画なんかの題材になることもしばしば。文化にアンテナを張る人ならどこかで聞いたことがある、そんな話です。
大学時代を社会学部で過ごした超文系の記者ミホロボットは知らなかったのが悔くて仕方ありません。
捨てられた俊徳丸が人と出会ったりなんやかんやあって目が見えるようになる、というのが大筋。
物語によってはストーリーが少しずつ違い、「しんとくまる」や「よろぼう」などさまざまな呼び方をされています。
造詣が深い人や伝説を知る人はその世界観に浸れるし、初心者なら五感でアートに触れて「すげー!」ってなること間違いなし。
スーパーマリオみたいなゲームをプレイできたり、単純にイラストが可愛かったり。
知識がなくても入りやすいところから楽しめます。
そんなプロフェッショナルな仕事をやってのけるのが、アーティストの中野裕介さん。
「ぼく、ずっと遊んでるようなものなんで」と、芸術家の背景にあるであろう苦労や辛さを微塵も感じさせない軽快さで話します。
楽しさを極めようとしている人だからこそ作れる、この空間。一見の価値ありです。
地元での個展は初めてだという中野さん。現在も東大阪在住で、近畿大学の図書館でアルバイトしていた経験もあるというガチ東大阪人なのです。
俊徳丸伝説は地元でも知る人は少なく、「大学の図書館や郷土資料を読んだりして自分の作品に落とし込んできました。俊徳道はよく自転車でウロウロするし、難波に行く時に通ったりと馴染みがあります。色んなニュアンスで語れる地域。」フラフラと俊徳道を歩く姿が、俊徳丸とシンクロします。
今回の個展にあたって、俊徳道で街の雑音や話し声を拾い音声作品に昇華させたといいます。
彼に一番シンパシーを感じたのは、内覧会に着てこられた服がなぜか楳図かずおTシャツだったところ。
ミホロボット、その藤子不二雄A版持ってます。
と取材に全然関係ない話をふると、「ちょうど息子とAさんの漫画を読んでいた時に訃報が入って・・・」と、めっちゃお話ししてくださいました。
パラモデルの十八番、プラレールの展示がここにも。「完成」がない、つないで遊べるアート。
「基本的にはぼくは遊んでるだけです。見に来られた方も、展示で一緒に遊んでもらえたら良いかなと思います」
究極の東大阪在住趣味人が、俊徳丸で遊んだらめっちゃおもろかった。そんな個展。
ちょっとでも興味があれば、めちゃくちゃ楽しめるって保証します。5月12日(日)まで。ふれあい祭りの日が最終日です。行ってみてね。
■中野裕介/パラモデル展 よろぼう少年、かなたの道をゆく▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ
開催日時:2024年4月25日(木)~5月12日(日)10:00〜17:00
会場:東大阪市民美術センター
住所:東大阪市吉田6丁目7-22
観覧料:無料
お問い合わせ:東大阪市民美術センター 072-964-1313
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