こっくりとしたえんじ色の壁に、木目のテーブル。所々に置かれた観葉植物が店内を彩り、それを縫うかのようにささやくようなおしゃべりが聞こえてきます。広いのに、なんとも落ち着く空感。
若江岩田のシンボルタワー「希来里」の一角に溶け込む赤文字の屋号は、2000年に創業のカフェベーカリー「パセオ・カフェ」です。
店内に魅せられていると、厨房から現れたのは店長の中谷さん。
「パセオは、若江岩田で初のカフェベーカリーだったんですよ。その前は、私がここで『田園』という喫茶店をしていました」
そ、そうだったのかー!
中谷さんは『田園』を開く前は専業主婦で、パン作りの経験が全くなかったとのこと。
「これからはカフェ併設ベーカリーの時代がやってくる」と業界の知人から聞き、とにかくやってみようと猛勉強。
1年半の修行を経て、同店を開きました。
現在、お店のパンはすべて手作り。
丁寧に包装されたパンが編みかごの中にディスプレイされ、温かな雰囲気を醸し出しています。
生クリームが飛び出さんばかりのチョコホイップパン、ケーキのようにおめかししたフルーツデニッシュなど、形や見た目に工夫が凝らされているパンばかり。
中でも、「東大阪カレーパン会」に登録されている「ラガーカレーフランス」は特徴的です。
ラグビーボール型のパン生地にマヨネーズで描かれた「Passeio」の文字。カレーフィリング、ポテトサラダ、ハムを包み、マイルドな味わい。
こんな可愛いカレーパンだったら、思わず手が伸びてしまいますよね。
こういったパン作りの発想は、中谷さんの行動力の賜物なんです。
地方都市のベーカリーに自ら足を運んで、どのような商品があるのかを日々研究しているのだそう。
「昔は天からのお告げで『こんなパンを作ろう!』ってインスピレーションが湧いてましたけど、今は一人で考えていても浮かばない。だから、色んなお店のパンを見て、学ぶんです」と、他者から学び取る姿勢を語ってくださいました。
カレーパン会イベントへの積極的な参加や、毎月第1月曜日に行うパンの110円均一も、情熱の現れなのかもしれません。
お客さんが楽しめる仕掛けがいっぱいな「パセオ・カフェ」。
「量も質も、これからもっとボリュームアップしていきたい」と言う中谷さんにとって、パンは意欲の魂(かたまり)なんだな、と感じた取材でした。
店舗データ
店名:パセオ・カフェ
住所:大阪府東大阪市岩田町4丁目3−26
TEL:072-961-7760
公式サイト:なし
定休日:年中無休
営業時間:7:00〜21:00
文・写真:@mihorobot
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