照明士って何?光のプロフェッショナル・水馬弘策さんに聞く、東大阪の景観

   

夜の街って、なんとなく好きだ。
近鉄奈良線の額田〜枚岡あたりから見える夜景に、花園ラグビー場のライトアップ。
光が灯るって、街が動いている証拠だ。

東大阪では荒本のジャンクションから見える夜景が日本夜景遺産に選ばれ、「景観まちづくりセミナー」が開催されました。

そこで講師として招かれたのが、東大阪市公共景観アドバイザーの水馬弘策(すいま こうさく)さん。
東大阪出身で「照明士」を職業とする光のプロフェッショナルです。

光を仕事にするって、なんだろう?街と光の良い関係ってなんだろう?水馬さんに聞きました。

照明プロフェッショナルって何?水馬さんの仕事

まずは水馬さんのプロフィールを。
石切で育ち、花園高校・京都市立芸術大学 美術学部、同大学院 美術研究科出身。
現在は個人事業「D.C.Works Project Lighting」を主宰し、アイリスオーヤマのLED事業本部顧問を務めています。
「照明のプロ」として関西を中心に活躍中です。

1956年生まれの64歳。野田義和東大阪市長と花園高校で同級生だったという。

…とは言っても、照明士ってどんな職業なのか。
こちらをご覧いただこう!

花博 日本美術博物館
神戸市長会館、須磨離宮公園
六甲アイランドシェラトン
ハイアットリージェンシー大阪
京都ホテルオークラ
ホテル日航奈良
ホテル阪急インターナショナル
神戸ファッション美術館
海遊館

これでもほんの一部です。知ってるところばっかりだ!!
こうした施設やホテルの照明計画・デザインを手掛けることが水馬さんの仕事。
例えば東大阪人にとって親しみ深い海遊館。写真中央、イルカの外壁オブジェを担当したことも。風が吹くとオブジェがカーテンのようにユラユラ揺れて、光が反射する仕掛けです。なんとも幻想的。

写真提供©海遊館 ※現在は30周年の装飾に変更されているため、見ることはできません。

ほかにも神戸ファッション美術館では、ロビーと貸館「オルビスホール」を担当。
424席のイベントスペースで、UFOをイメージした円形のホールです。

写真提供©神戸ファッション美術館

古きを踏まえ新しきを見つめるというコンセプトを、光で表現しています。
こういった、光による風景を作り出し演出するプロなのです。

ランプに魅せられて 照明士としてのあゆみ

「昔からものを作ることが好きだったんです。ぼく下の名前が弘策(こうさく)なので、小学生のときのあだ名は『図画工作』でした。」
石切で育ち花園高校出身。東大阪的に言うと決して珍しくはない出自の少年が選んだのは、芸術家・草間彌生などを輩出する京都市立芸術大学でした。
木工での作品作りに勤しむ中、ある時訪れた展覧会で鮮烈な出会いを果たします。
「マイクロランプという『ヤマギワ』の展示がとてもきれいで。円筒の中にキラキラと光の層ができていて…この道に進もうと決めました」。
LDヤマギワ研究所(現・株式会社YAMAGIWA)。照明やデザイナーズ家具の製造販売で全国屈指の企業です。
当時みんながあこがれた企業に、競争率が高い新卒採用で関西から唯一入社しました。
その後は建築事務所や照明企業での経験を積み、独立に至ります。

ヤマギワのマイクロランプに出会ったときの感動を、昨日のことのように話す水馬さん。

芸術畑にいた1人の少年が、照明というプロダクト品に目覚め、極めて行く。
魅せられたのは、芸術品ではなく商業品。アートではなく、デザインでした。
水馬さんにとってその分岐点は「日常に落とし込めるものに好奇心が湧きました。アジアのどこかの国で、たくさんの子供とビニール袋を引っさげてバイクで走るおばちゃんとか、そういう人たちに届くものが作りたかったんです。」
「日常」をつくることが、水馬さんの照明士としての軸となっています。

手掛けた事業を1つずつ紹介してくれる水馬さん。

東大阪と照明 光は日常をつくるもの

水馬さんはアドバイザーとして、花園ラグビー場リニューアルの際、照明部分に携わりました。
「ぼくが関わったのはスタジアムがほぼ完成してから。最後の仕上げの段階だったのですが、噴水広場含め、あの辺りはまだまだライトアップで展開できる余地があります」と、次のイメージをもっています。

日本代表戦のナイターがあったこけら落とし。「あー、こんなかっこよくなったんや」とジーンときたことを覚えてる。

そう、東大阪は動いている街。約50万人が暮らし、つくられていく景観。
照明士は決して私達と遠く離れた存在ではありません。
「照明は、人の生活に溶け込むものです。ヨーロッパなんかは日照時間が少なくて外に出られる時間がない分、家で楽しめる食器や雑貨なんかが発達していますよね。照明も同じ。最近はこのコロナ禍で、日本でも人の関心が自分の身の周りのものにグッと傾いています。これからもっとそうなると思います」。
なるほど、身の回りへの関心。

特に東大阪は、工場や住宅街が入り混じった街。
そんな土地でうまく光を取り入れ街の景観を作っていくには、住宅と工場が馴染むような景観づくりが必要です。
例えば街灯は明るさだけに焦点がいきがちですが、明るければ良いってもんじゃない。
「風景になったときにどうなるか。住宅や道路と一緒に見て、調和が取れているかです。LEDが登場し、それまで明るければ良しとされてきたものが、心地よさを考えたり、環境を守る方向に変わってきました。」
照明というと美しさや幻想的な風景を想像しがちですが、水馬さんが信じるものは、生活に落とし込まれた利便性。
「モノレールが近い将来通りますが、かっこよさや美しさだけで判断してはいけません。街の中を走るので、目隠しをして街に馴染む景観をつくることが議題でしょう。」

東大阪には、日本夜景遺産に認定された東大阪ジャンクションもある。身近なところに景観を考えるきっかけがあるのだ。

2018年、水馬さんは東大阪市公共景観アドバイザーに就任しました。
「何か市から指針が出たらコメントするとか、その程度ですが(笑)」とご本人は言いますが、景観を通してどうやって安心で便利な街にしていくかを考える重要な役割です。

東大阪が市街化するにあたり、光と街の切っても切れない関係は続いていきます。
光で街を作っていく。その一歩は、私達が自分たちの街に、身の回りに興味を持っていくことなのかもしれません。
明日から、あなたがいつも利用する駅や、公園の照明に目を向けてみてください。いつもと少し見方が変わるかも。

【関連動画】
ウメダFM789「情報ノーサイド」にて水馬さんにご出演いただきました。

 
mihorobot

mihorobot東大阪探検隊・記者

投稿者プロフィール

生粋の八戸ノ里っ子。人気の八戸ノ里東小・小阪中学校校区に住んでいる。
取材へ行けば、同級生のお父さんがやってるお店だった・・・ということが多々あり。
尊敬する人は藤子・F・不二雄先生。

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