年齢とともにオタク歴を重ねてきた記者ミホロボット。
好きな作品のフィギュアを保管しているものの、ズボラな性格ゆえに裸のまま飾りっぱなしにして埃が積もることもしばしば。
そんな時出会ったのが、編集長からもらったプラスチックケース「ミノルキューブ」でした。

小さいものは特に裸のまま飾りづらいし掃除しづらいので、ケース必須。
コの字型のケースを2つスライドさせて組み合わせる仕組み。
中身を保護してくれて、全面プラスチックでどの角度からも楽しめるのです(重要)。ありがてぇありがてぇ…!
そんな愛用中のミノルキューブを熱弁したく、製造元へ。
場所は衣摺、1959年に創業のミノル化学工業。
プラスチック製品の企画・開発・製造販売をする東大阪の企業です。

JR長瀬駅から北八尾街道をずーっと南下すると現れる社屋。
カプセルトイやフィギュア、模型、アーティストの作品展示など大切なものを美しく飾りながら守ることができる、ロングセラーの「ミノルキューブ」。
今やロフトなどの雑貨店、文房具店などでも行けば普通に売っている定番品として棚を獲得していますが、「開発当初は販売に苦労しました」と、2代目社長の押川新一さんは振り返ります。

押川社長。しばしばメディアに取り上げられることも。
開発したものの思うように売れ行きが伸びず悩んでいたとき、目にしたのは「海洋堂のチョコエッグ」の新聞記事だったと言います。
チョコレートの中に玩具が入った「チョコエッグ」。1990年代後半から爆発的に人気を博し、特に海洋堂製の精密なフィギュアはコレクターたちの間で注目を集めていました。

編集長自宅から出てきた大量のチョコエッグの中身。チョコQも混じっていて、当時の熱狂ぶりがよくわかる。
そこに目をつけた押川社長は、フィギュアショップ(海洋堂ホビーロビー心斎橋)を訪問し営業。玩具を展示するケースとしてのルートを確立します。

5cmくらいの小さなフィギュアにも対応。キューブに入れてずらっと並べると、圧巻なんだよなぁ。
製品を企業向けにダイレクトメールとして送るという独自の販促手法で印象付け、2004年には『全国DM大賞』銅賞を獲得。
そこからはもう止まりません。「東大阪ブランド」に認定されるほか、「きんぼし東大阪」への選出など、発想と技術が認められ注目度もアップ。
昆虫の標本展示の観点からも高い評価を受け、大阪府経営革新計画に承認されました。

ミノルキューブなら正面から裏側まで360度観察できる。
六面すべてが透明で中を全方向から観察できるため、新しい形の標本ケースとして2024年度の「大阪製ブランド製品」に認定されるなど、同社の看板商品としてのし上がっていきました。
「色々な展示や使い方があるのがミノルキューブの良いところです。今は観葉植物を飾る使い方を広めたいと思っていて…」と、出てくる出てくる。取材に行ったのに、展示会に来たような圧倒的な物量。

苔などを使って小さな庭を再現する「MOSS CUBE」。
2024年春には、満を辞してUV加工品の販売を開始しました。
UV加工を施すことで、中身を紫外線から守るオタク大歓喜の仕様です。
嗚呼10年前にうちにこれがあれば…守れたフィギュアがどれだけあったか…!
あらゆる方面で、展示のあり方に革命を起こす可能性をもつ製品なのです。

従来のミノルキューブ(左)と、UVカット品(右)。
ミノルキューブにとどまらず、同社の製品はユニークなものばかり。
あえて食べにくくする形にし、ゆっくり食べることを推奨した箸「痩せ箸」や、コロナ禍に医療現場で活躍したフェイスシールドなど多岐にわたります。

製品や試作をどんどん出してくださる押川社長。手にしているのは医療用の感染防止カバー。
OEMもすれば、自社開発もする。成形方法も射出に押出、真空、アクリル切削加工…プラスチックならなんでもやる、そんな気概を感じました。
社内にはたくさんの3Dプリンターや試作品が並び、ずっとチャレンジャーとして挑戦し続けている痕跡が。
これがミノル化学が走り続ける筋肉か…。
プラスチックでアイデアを形に。受け継がれるミノル化学工業の合言葉です。
良いよ、ミノルキューブ。一回使ってみて!
■ミノル化学工業株式会社
大阪府東大阪市衣摺1丁目5-22
06-6728-3222
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