東大阪市内の中小が中心に「ギャルママ」向け製品開発でタッグ

   

大阪府東大阪市内の中小企業を中心とする異業種が集まり、消費者向け共同ブランドづくりに動き出した。ターゲットは「ギャルママ」と呼ばれる若い母親と その子供たち。アクセサリーやベビー用品などの開発を目指す。中小の経営環境は厳しさを増すばかり。企業向けの取引が中心だった中小が、経験と知恵を持ち 寄って自ら対消費者ビジネスの開拓で活路を開こうとしている。

プロジェクト名は「ギャルママ商品開発部」。現時点で7社が参加する。東大阪からは発起人である生活雑貨の企画・販売する株式会社カワキタ(荒川2-4-6)のほか、携帯電話向け装飾品の企画・販売の株式会社サンクレスト(南上小阪12-42)、紙製品製造のマツダ紙工業株式会社(衣摺5-14-24)の3社が名を連ねる。

さらに大阪市内からは三輪車など幼児向け乗り物製造のエム・アンド・エム、ジュエリーケース製造のツバサケース、デザイン会社のFBX、展示会の内装など手掛ける沖装が加わる。

ギャルママとは、歌手の安室奈美恵や浜崎あゆみに影響を受けた10代後半から20代後半の若い母親のこと。巻き髪や目元を強調したメークなどが特徴だ。見た目は派手だが、家事や子育てに対する意識も高いといわれる。

彼女らには大手メーカーも注目する。味の素の試算では、全国に約30万人のギャルママがおり、さらに彼女らに影響を受ける若い母親層が約120万人控えているという。携帯電話メールやブログを活用した情報交換に積極的で宣伝費を使わなくても、商品が口コミで一気に広がる傾向が強いのも魅力となっている。

プロジェクトの目的はギャルママと連携し、共通ブランド名を冠した新製品の開発・販売だ。異業種が手を組むことで、品ぞろえの多様化に加え、雑貨店やスーパー、玩具店など参加企業が得意とする流通経路の共有化で、販路の拡大を狙える。

目標は大手小売りチェーンに各社の商品を一堂に集めた専用コーナーの設置すること。第1弾として来春には、三輪車や子供向けのランチ用品、スマートフォンのケースなど最低20品目を発売を目指す。

カワキタの河北一朗社長は、プロジェクト立ち上げのきっかけを「うちはOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛けるが、コスト削減圧力がきつい。ならば独自ブランドを立ち上げてみようと思った」と語る。そのとき目をつけたのが、以前から気になっていた「ギャルママ」だった。

とはいえ「中小1社でやれることは限られる」(河北社長)。今年に入り、1業種1社を基本に東大阪を中心に関心を持ちそうな知り合いの中小に声掛けしていった。当初はサンクレストなど4社だった参加企業も今では7社にまで拡大。さらに現在、数社が参加を検討している。

マツダ紙工業は落書きや自分の好きな柄に印刷できる強化ダンボール製のたんすや幼児用の机などの商品化を目指す。「今は企業間取引だけだ が、国内空洞化で取引先は海外にいってしまう。生き残りのため消費者へのアプローチを考えていたとき、この計画を知った」と松田和人社長は参加理由を説明 する。

実はある大手メーカーも参加を希望したが、結局、断念せざるを得なかった。「中小の強みはオーナー社長が即断即決できること。月1回の会議の場で即決できない企業の回答を待っていたのではプロジェクトが進まない」(河北社長)。

連携を取るギャルママは総勢約150人に上る。8月には東大阪に約30人を招き、意見交換のための座談会を開いた。「ギャルママ商品開発部」との名称やプロジェクトのロゴマークも彼女らのアイデアを生かした。今は交流サイト(SNS)を使って意見を募るほか、試作品ができれば実際に評価してもらうために会社に足を運んでもらう予定だ。

宝飾店向けジュエリーケースを手掛けるツバサケースはギャルママとの意見交換の結果、ジュエリーケースにこだわるのをやめ、ヘアアクセサ リーの開発に方向転換した。同社の村上健社長は「彼女らの子育てが一段落したら、今度はジュエリーやジュエリーケースにも興味を持ってもらえるはず」と期 待する。

ギャルママを単なるモニター扱いせず、企業との一体感を高めようとの工夫にも知恵を絞る。彼女らに当事者意識があれば、口コミでの宣伝を期待できるからだ。例えば名刺。「ギャルママ商品開発部」と刷り込んだ名刺を企業側だけでなく、協力するママたちにも渡す予定だ。

彼女らのアイデアを基に商品化された製品については、一定の利益配分も検討する。幼い子供がいて働けない彼女らのために、スーパーのイベン トなどでワゴン販売してもらい、売り上げは彼女らの収入にしてもらう仕組みをつくる構想もある。サンクレストの植田実社長は「このプロジェクトが成功する には、協力してくれるママさんたちにもメリットがあるウィンウィンの関係にすることが不可欠」と強調する。

東大阪のものづくりといえば、人工衛星に代表されるように一般消費者には縁遠いものというイメージがあった。河北社長は「人工衛星の次はギャルママをアピールしたい」と意気込む。

技術力にはすでに定評のある東大阪。中小の弱点である消費者向けマーケティングを、3人どころか7社集まった「文殊の知恵」でいかに解決していくか。新たなビジネスモデルづくりを目指す共通ブランドの成否に他のものづくり企業も注目している。

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