24-21、ギリギリの勝ち。
4月1日(金)花園近鉄ライナーズはNTTジャパンラグビーリーグワン第9節で日野レッドドルフィンズと対戦し、逆転勝利を収めた。
ホーム花園の最終戦で、チーム初のナイター。ライナーズのために用意されたといっても過言ではない舞台で、最後の最後ファンの期待に応えることができた。
前半を7-14で終え、後半終盤まで相手にリードを許していたライナーズ。「あぁ今日はもうダメかな」というムードが漂う中、迎えた後半21分。密集から5ワクァがオフロードパスで11木村へ。

毎試合期待通りのアタックを見せてくれるワクァ。この日はPlayer Of the Matchを獲得した。
後半29分にはリザーブから入った22吉本が大きくゲインすると、13フィフィタへ渡ってトライ。17-21と追い上げる。
そして迎えた後半36分。
密集からワクァがオフロードパスへ11木村へ。テンポよくボールをつなぎ、もう一度木村に渡ると、ハーフウェイラインから走り切ってトライ。吉本のゴールも成功。24-21とし、ついに逆転した。

前半のファーストトライと合わせて、2トライをあげた木村。フェラーリのような走力で会場を沸かせた。
今節はオーストラリア代表のゲニアもクーパーもいない。加入して間もない3シラや17高橋、18ラタが入ったり、木村が左WTBで出場するなど、かなり実験的な要素の多い試合でもあった。
ベストメンバーではないが、それでも勝ち切ることができたという意味で、価値のあるゲームとなった。

デビュー戦となった、3シラ。トンガ代表キャップ数28のスクラムはやはり強かった。
野中キャプテンは「どのエリアからでも攻めていくというライナーズスタイルを振り切って出すことができ、勝利に繋がった」と振り返る。
一昔前のライナーズは、良くない流れのままズルズルと負けてしまうということが多々あった。
しかし今シーズンになってから、こうした接戦を多く乗り越えられるようになってきた。
前節の三重ホンダヒートでも後半20分を過ぎてから逆転勝利するなど、競り合いの勝負どころで勝てるようになってきたのだ。

ホスト最終戦セレモニーで、キャプテンとしてあいさつを務めた野中。最後の「お気をつけておかえりください」が、近鉄っぽかった。
悪い流れでも断ち切り、勝ち切れるようになったのは、今シーズンでチームが作り上げてきた「ボールを動かすラグビー」への意識だ。
どの選手も、長くて速いパスを出せるようになった。アタックのオプションも増えた。
ずっと言い続けてきた「どの選手が出てもスタンダードの高いチーム」の理想に近づいている。
ブレイクダウンでの弱さとラインアウトディフェンスなど課題は多いが、着実に進歩はしている。

後半29分、トライにつながるブレイクスルーで存在感を見せつけた吉本。さらなる成長に期待。
リーグ戦の順位は2位で確定。
残りのリーグ戦1試合、そして順位決定戦を勝ちきるとDivision1はもう手の届くところに。
経験を積み、準備は整った。
さあ行こうライナーズ、未来は目の前にある。そんな兆しが見えたレッドドルフィンズ戦。夜桜で華やかに彩られた花園が、ライナーズの門出を祝福しているような夜だった。

試合後、静まり返った夜の花園で勝利に酔いしれた。
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