3月第5週、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
去る2016年3月13日(日)は、もしかすると東大阪とラグビーの歴史にとって重要な日になったかもしれません。
東大阪市花園ラグビー場で、野外ライブイベント「TAKENOKO!!!」が行われました。人気アーティストのきゃりーぱみゅぱみゅさんが参加することで、話題になっていたアレです。

市政だより最新号の1面でも取り上げられています。
私は残念ながら行けなかったのですが、アーティストのブログなどを見ると、なかなかに盛況だったよう。
しかしTwitterをはじめとするSNSには「聖地を馬鹿にするのか」「芝が痛む」など、否定的な意見も少なからずありました。
長く愛されるコンテンツが、新しいことに挑戦すると古くからのファンはどうしても反発する。
と思って観察していると、さにあらず。
嘆いているツイートの多くは、中高生のおそらく現役ラガーマンなのです。
そして共感を多く得ていた(リツイートといいねが多かった)ツイートは、
「甲子園でコンサートとかしたらどう思う?それと同じ」
というものでした。
おじさんたちは、このツイートを見るとみな違和感を感じます。
10代の方には馴染みがないかもしれませんが「甲子園でコンサート」はそんなに珍しいことではありません。
もっとも有名なのはTUBEの夏に行われるコンサートで、25年連続行われました。2015年を最後に終了しましたが、甲子園でのコンサートの代名詞。他にも国内外の大物アーティストが会場として使用していました。
ただ、この10年ほどは甲子園球場側が新規のコンサート利用をほぼ認めていないので、目にはつかなくなっています。
そんな甲子園球場ですが、実は全国高校ラグビー大会を開催したこともあるのです。
戦前の3回だけなので、ほぼ誰も覚えていませんが、もともと甲子園は設計段階でラグビーやサッカーを開催できるように考えられていたのです。
野球が好きな人なご存知かと思いますが、甲子園のグラウンドは他と比べると少し変わった形をしています。両翼95m、中堅118m、左右中間118m。特徴的なのは、左右中間の広さ。ぷっくりと扇が広がる形状です。これでホームランが出にくくなっているのです。あまりに出にくいので、外野にフェンスを設置して左右中間をわざと狭くしていた時期すらあります。
なぜこんないびつな形なのか。それはラグビーやサッカーなどのグラウンドのような長方形がすっぽりおさまるかたちにしたからです。
もちろんこの時の設計思想が、甲子園ボウル(全日本大学アメリカンフットボール選手権決勝)の開催を可能にしています。
ついでにと言ってはなんですが、甲子園のこけら落としは地元の児童運動会です。

阪神甲子園球場 上空からの撮影(1985年、ラッキーゾーンが確認できる)。国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成
このように野球の聖地は、開場から約90年にわたり貪欲なまでに野球以外の利用にトライし、認知度を上げてきました。
”聖地”というのは、それに関わる人やそこを目指す人達にとってのみ貴重な場であるからそう言われるのではありません。
野球に興味が無い人にも、野球を好きではない人にも場所や名を提供し、心に止めてもらうからこそ聖地の価値は上がるのです。
それは、日本野球という世界有数の有料コンテンツの聖地・甲子園がたどってきた歴史が証明しているのではないでしょうか。
東大阪出身の元日本代表大西将太郎さんも、以下のようなツイートをされています。
@w_higa ラグビーだけでお金のサイクルを作るのは不可能!地域の人が使えるジムを作ったり、音楽イベントしたりラグビー以外の時にどう使うのかバランスを考えながらやっていければもっと可能性も増え、地域に身近な存在になるのでは?大賛成!!
— 大西将太郎 Shotaro Onishi (@shotaroonishi) 2016年3月15日
花園がより大きな存在になる第一歩。今回のライブを実現した関係者の皆さんに、敬意を評したいと思います。
今週も、元気に勉強して成長していきましょう。
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