「キャリア教育」って最近よく耳にします。
布施高校の定時制課程では、昨年1月から取り入れているキャリア教育の活動があります。
「はい、じゃあ今日は『ユメブレ』をしよう!」と先生らしき人が、ホワイトボードに何やら書き出します。ユメブレってなんだ?ところで先生、めっちゃ若くない?と思っていると…
「どんな些細なことでもいいから、まずは将来やってみたいことを絵で描いて、発表しあってみよう」
そう、行われていたのはキャリア教育のプログラム。教壇に立っていたのは先生ではなく、認定NPO法人「D×P」(ディーピー)のスタッフ、金子さんです。
通信制・定時制高校に通う生徒を対象に、自分の将来に希望を持てるようになるためのプログラムを行う「D×P」。「人とのつながり」と「できた!という経験」の2つを得られる機会を高校生に届けることを目指し、14名のスタッフ・インターンが関西を中心に活動しています。
簡単に言うと、「生徒が将来を前向きに考えられるようお手伝いする、スーパーアシスト集団」。
「例えば通信制の生徒の4割は、進学や就職をしないまま卒業してしまうんです。定時制高校の場合は中退者も少なくない。そういった問題を解決し、将来への意欲を持ってもらうことが、D×Pの役目です」と金子さん。
確かに今、キャリア教育は大学や高校など各教育機関で重要視されています。例えば、布施北高校ではデュアル総合学科の1年生を対象に「ハローワークツアー」が行われたりと、「働くこととは」を考える活動=キャリア教育が東大阪に根付いてきました。
その中で、D×Pはどんな取り組みなのか。布施高校では4回目だという今日の活動。様子をしばらく伺ってみましょう。
自分の「ユメ」をイラストで表し発表し、感想を述べ合う「ユメブレ」(ユメのブレインストーミング)。この活動で強調されるのは、「ユメを否定しない」姿勢です。否定せずに、相手の考えを受け入れる。生徒と向き合ってじっくり話すその姿勢は、とにかく手厚い。D×Pはそこを徹底しています。
学生に混ざって一緒に話をするのは「コンポーザー」と呼ばれる社会人のボランティアスタッフ。
「ちょっとだけ先を歩いている人生の先輩」として、生徒の話を聞いたり、意見を交換したり、手助けをしたり。「アドバイス」なんてえらそうなことはしません。
コンポーザーと話すことで、自分の知らない世界や価値観を知り、刺激を受ける。そんな化学反応が起こるのが、このプログラムなのです。
今回は「ユメブレ」の回でしたが、D×Pでは毎回違った形式で授業が行われます。
コンポーザーの仕事の話や失敗談を聞いたり、生徒同士がお互いの印象を伝え合ったり…。他者を知り、自己の将来を見つめる機会をどんどん作っていくプログラムが、学校ごとに組まれます。
「生徒には、将来に希望をもってもらいたいんです。自分のユメを認めてくれる人がいるということを、感じてもらいたいですね」と金子さん。
この取り組みを通し、生徒からは「今まで将来のことって考えたことがなかったけど、少しイメージがわいた」という声も。
「定時制・通信制の高校で中退者を出さない」「将来を前向きに考えてもらう」といった個人レベルの問題を解決していくことで、多くの若者が意欲のある優秀な働き手となる。これって、みんなが幸せになるってことですよね。
未来ある若者に、選択可能な社会を。
漠然とした「将来」へ向かう手助けをするスーパーアシスト集団D×P。手を差し伸べ、自立する「きっかけ」をつくる、そんな活動が今、興っているのです。
■認定NPO法人D×P(ディーピー)
事業所:大阪市中央区天満橋京町1-27ファラン天満橋33号室
TEL・FAX:06-7222-3001
メール:info@dreampossibility.com
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