そこにラグビーがある日常 花園ラグビー酒場こそ、本当のレガシーだと思う
- 2020/2/9
- ラグビー
- 2 comments
「ワールドカップが終わったのに、前にも増してラグビーばっかじゃん。グルメとかやれよ」
と多方面からお叱りを受けている東大阪の総合情報サイト週刊ひがしおおさか。仕方ないじゃん、こっちのテンション上がってるんだもん。
と、愚痴ばかり多くなる繁忙期ですが、今日はグルメの話題。
ラグビーファンなら一度は聞いたことがあるでしょう「花園ラグビー酒場」というお店の存在を。
近鉄花園駅北の花園商店街入ってすぐ左。その名の通り、ラグビーをテーマとした立ち飲み屋さんです。
「最初は、雇われてやってましてね。花園やし、ラグビー好きな人も多いしとその時のオーナーが声をかけてくれはって」
と言うのは、常連さんから「お母さん」と呼ばれる東屋あさ子さん。平成8年2月のオープンから、ずっとこの場所でお店を守られています。
飲食店の運営は経験があったものの、ラグビーに関しては素人。
「テレビでチラッと見ることはありましたよ。でも、誰が有名とか、そういうのは全然」と笑う姿が、23年の誇りを感じさせます。
お客さんに教えてもらいながら、少しずつ覚えていったラグビー。常連さんの試合を見に行ったりしながら、ラグビーグッズを買い集めてお店の中に飾ります。もちろんお店を訪れる選手たちからもらったサインも収集。そのうち「お店に置いて」と珍しいグッズを持ってきてくれるお客さんまで現れます。
ビッグネームのサインや近鉄のあの選手との写真。自チームのPRにと持ち込まれたポスターや日程表。今やお店の壁は巨大な広告スペースです。その全てに東屋さんとお客さん、ラグビー選手たちの思いが込められて、昔のポスター1枚をつまみにビールを飲みあう光景も見られます。
と、壁にばかり気を取られていてはいけません。店名とラグビーな風貌ながらお客さんのほとんどはラグビーにライトな「普通のサラリーマン」。惹き付けるのは、普通においしい料理に、普通にうまい酒。そして安い。
メニューもラグビー色の強いものはほとんどなく、それっぽいのは揚げ餃子と揚げシュウマイの「スクラムセット(500円)」のみ。あとは、だし巻きやコロッケ、、、。作り置きせず、常に出来立てを提供することを基本にし、全ての料理を東屋さんが作ります。
お客さんは皆、普通に毎日仕事の疲れを取りにくる。
日常にラグビーがドンと横たわる。例えるなら、通勤路にあるやたら大きな岩みたいなもの。東大阪とラグビーの距離感を現しています。
営業は月曜日から土曜日の17時から22時。ただし近鉄ライナーズの遠征がある日はお休みです。
なぜなら、東屋さんも応援に行くから。もちろん2020年のシーズンも、練習試合を含む14試合全てに足を運びました。
「今シーズンは調子ええから楽しかったね。みんなかっこいい。がんばって、早く上に戻ってもらわんと」
という目は、常連さんを気遣う店主ではなく、好きなチームの勝利を願う女神のそれ。
過去の名選手、トップリーグ発足時の奇跡、前回の降格から復帰への道のり、あのベテランのかわいい姿、若手たちへの思い。そして、奮起を促す愛情。
取材も終盤、もうすぐお客さんがやってくる17時前。不躾な質問をしてしまいました。
「今まで近鉄で一番好きな選手は誰ですか?」
東屋さんは「みんな好き。誰がええとかないし、みんないい選手」としながら、しつこく聞く僕に
「強いて言うなら、私は監督もやらはった前田(隆介)さんやね。かっこよかった。」
と照れながら教えてくれました。
僕も好き。あの強気のプレーは忘れられない。でも僕の1番は豊田大樹かな。現役だから、まだまだ伝説を作ってくれるしね。
ワールドカップなんてやっちゃうと、みんな何かを期待しちゃう。仕事だったり、ステータスだったり、それをレガシーって言っちゃったり。後に残る何かがないとって、思っちゃう。
でも本当のレガシーって、花園ラグビー酒場のようなものだ。今までラグビーを愛して、ラグビーを作ってきた人たちが、ワールドカップを実現するまでにラグビーを日常にしたこと。それこそがレガシーなのだ。
もちろんワールドカップが終わり、予想を遥かに超える人がラグビー場に押し寄せる今も、花園ラグビー酒場にはお客さんたちがその日の疲れを拭いにやってくる。
また来ます、お母さん。その時もライナーズトークを!
■花園ラグビー酒場
住所:〒578-0924 大阪府東大阪市吉田1-2-22
営業時間:17:00〜22:00
定休日:日曜日・祝日およびライナーズの地方遠征の日
TEL:072−962−6171
アクセス:近鉄奈良線河内花園駅から徒歩1分
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
はじめまして。私は2年ちょっと前に奈良に転勤するまで年数回ですがラグ酒で仕事終わりに飲み会をしてました。おばちゃんの作った料理はおいしく、お酒も進みました。ただ飲み会に参加した人の中には調子に乗って飲みすぎて他の人の服に「マーライオン」した人もいました(^^;
ずっと変わらず愛される店、ラグ酒!