衝撃の60点差 もう誰のせいにもしない、近鉄ライナーズが示した進化と試練

   

「強い相手と試合ができる」
試合前、ワクワクとドキドキが混在していたコカ・コーラ戦。終わってみれば、71-11。60点差の大勝でした。今季1番のゲームを新型コロナ下で最もタイトな試合で見せ、明らかにライナーズが1つ階段を登ったと感じさせました。

ライナーズとともにドンドン成長するジョシュア。

トップチャレンジ降格後、コカ・コーラとの対戦は3度め。1度めは2019年10月のワールドカップ真っ只中にアウェー(福岡)で行われた練習試合でした。前半にリードをしながら、後半にペナルティを連発して21−31で逆転負け。

2度めは同じ年の公式戦。12月21日に福岡レベルファイブスタジアムで43-26と雪辱を果たしました。それでも後半の半ばまでは「ひょっとすると」と思わせる展開での17点差でした。

そして迎えた3度めが、60点差の快勝です。

後半はBKが6トライ!走りまくった。

11トライ71得点に目を奪われがちですが、注目すべきはコカ・コーラを前半8分の1トライに抑えたディフェンスです。
伝統的に
「取ったらその分取られる」
がチームカラーだったムラッ気チーム。トライラッシュのなか、ファンからも「いつ取られるのかとヒヤヒヤしていたらずっと取られなかった」と聞こえてきました。ディフェンスラインが乱れることも少なく、空虚に響きがちだった「ディシプリン(規律)」という合言葉も、説得力を増しています。

全員が規律だってディフェンスできた後半。

ゲームの入りは褒められたものではありません。8分に先制トライを奪われたあとに、連続2トライで逆転。しかしペナルティを連発して2本のPGを決められ、12-11に迫られたのが前半31分です。トライは取れているが自分たちのペースではない。

しかしここからが新生ライナーズでした。得意のラインアウトからモールでトライを奪えば、14ジョシュア、12ステイリン、13片岡など能力の高いBKプレーヤーたちが積極的にボールを足にかけてコカ・コーラを翻弄。その動きにFWも応えます。

トライを奪った9ゲニアに、ラストパスの15竹田が駆け寄る。

1田中が相手ボールをセービングし、9ゲニアがボックスキックを上げ、8ロロがそのボールを体を張ってキープする。
FWの動きにBKが反応し、BKが選択したプレーを全員が遂行する。トライを奪うという最適解に向けて一直線を引き続ける。

8ロロの気迫のセービング。大型選手がこのプレーをするのが今のライナーズの強み。

事前の想定とは違い、思い通りに試合が運ばなかったとき。決まりごとに終止するのではなく、決まりごとの中で状況を打開する「しんどい選択」を全員が続ける。
その成果が11トライの猛攻であり、70分以上に渡ってトライを許さなかった、60点差という衝撃的な結果です。

モールでのトライも、チーム全体が1つになった証。

ライナーズは茨の道を選びました。強くなることをあきらめる選択肢も与えられながら、今まで共に暮らした仲間と別れを告げ日本一のチームになると誓い、新しい伝統を作る旅に出ました。

降格を機に、チームを任された有水ヘッドコーチは初年度からチームスローガンを「主体性」としチームを変革し続けます。
コカ・コーラ戦で選手全員が見せた
「勝利を最適解として、そこまでの一直線を個々が判断する」
姿は自主性とはレベルの違う、誰も他人のせいにせず自分の行動に責任を持つ「主体性」が結実した結果と言えるでしょう。

2年前、日野との入替戦に敗北しライナーズはワールドカップイヤーをトップリーグで過ごせませんでした。

しかし、これからが正念場です。この勝利を、日本中のライバルたちが見ていたのですから。
2週間後にトップチャレンジリーグ1位を賭けて戦う豊田自動織機はもちろんライナーズを丸裸にして臨んでくるでしょう。トップリーグのチームも「これが新しい近鉄か」と対戦を視野に入れてくるでしょう。
対策をされて、弱点を突かれて、それでも勝利をもぎ取ることができるチーム。それこそがライナーズが大目標にする「日本一のチーム」の必須条件です。

豊田自動織機も清水建設相手に83点の快勝。

今シーズン、絶対に勝たなければならない試合はあと3つ。
4月3日(土)に豊田自動織機と争う滋賀県・布引グリーンスタジアムでのトップチャレンジの1位決定戦。
4月17日(土)2年連続のトップチャレンジ王者として挑む、花園でのトップリーグとのプレーオフトーナメント。
1回戦を勝利して、4月24日(土)にトップリーグ・レッドカンファレンス1位チームと東京・秩父宮で戦う2回戦。
この3つに勝利すれば8強。今シーズンの目標である「トップ8」を達成することができます。

期待の大物ルーキーの出場解禁はあるのか、あの変幻自在のトライゲッターの復帰はあるのか、昨シーズンブレイクしたあのバックローを見ることはできるのか。興味は尽きません。

みんな大好きセミシ・マシレワ。

日本一を目指すとは、こんなにも厳しいものか。勝つごとに、課題をクリアするたびに新たな試練がライナーズの前に立ちはだかります。
その困難さから、目をそらしたくなることもあるでしょう。かつてのように想定外の事態を言い訳にすることもできるでしょう。
しかし残念ながら私達ファンは、その試練をともに歩む楽しさを知ってしまいました。

またここを満員にしたい!

厳しい選択を、誰のせいにもしないプレーを、今の苦しみを超えた先にある見たことのない景色を。見せてくれライナーズ。日本一のチームになって、みんなで喜びを分かち合うために。その過程を精一杯楽しむために。

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編集長 前田

編集長 前田東大阪探検隊隊長・編集長

投稿者プロフィール

特定非営利活動法人週刊ひがしおおさか代表編集長兼東大阪探検隊隊長。
ふとした思いつきからはじめたWEBサイトが、13年。
これからは地域に嵐を呼びます。覚悟しろ!

好きなモノ:花園近鉄ライナーズ、阪神タイガース、競馬、ゲーム、プラモデル、楽でお金になる仕事。
嫌いなモノ:愛、本物

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