第93回全国高等学校ラグビーフットボール大会(以下高校ラグビー大会)もいよいよ決勝戦。大阪府第一地区代表東海大仰星と神奈川県代表桐蔭学園が勝ちあがりました。初の大阪府と神奈川県での決勝戦。結果は19−14で東海大仰星の勝利。3回目の全国制覇を果たしました。
平日昼間にも関わらず、沢山の観客が席を埋めるスタンド。東大阪の年末年始を熱くした高校ラグビー大会最後の試合は、終了の笛がなるまで勝者の分からない白熱したナイスゲームでした。
お互い大型FWと要してゲインし、早さとスピードで相手を圧倒してきたチームは、キックオフから激しくぶつかり合います。桐蔭学園が自陣で近い距離のパスをつなげていた、開始1分。東海大仰星4西野がボールを手にかけて、そのままインターセプト!前はがら空きで、ゴールポスト下にトライし、7−0とします。
思わぬ形で先制されてしまった桐蔭学園ですが、全く慌てることはありませんでした。自陣からでもキックを全く使わず果敢に展開し、ディフェンスされても驚異的な推進力で徐々に前進して東海大仰星陣内に入ります。
対する東海大仰星も相手の好きにはさせません。しっかり前に出るディフェンスで、桐蔭学園がパスを出す先に必ず間を詰めて入ってきます。ボールを受けてからすぐに仰星の選手が詰めてくるため、ハンドリングエラーが増える桐蔭。今大会、桐蔭がアタック時に前に落とすのは珍しい出来事です。
一進一退の攻防が続いた前半24分。桐蔭がついに仰星のディフェンスを破ります。残り10mのラックから右にボールを回し、右中間に山田がトライ!7−7の同点で前半を終えます。
前半の後半、桐蔭にゲインされだした仰星。立て直せば仰星が優位に、立て直せなければ桐蔭が優位になります。
後半、どちらが先にトライを上げるのかスタンドが注視する中、取ってきたのは仰星でした。桐蔭陣内ゴールライン直前でペナルティを得た仰星はタップキックから左へ展開。12山田が持ち込むも抑えきれなかったボールが後方へ。これを4西野が左へ山なりのパスを出し、最後は11河野がトライし、14−7。再びリードします。
続けて11分、ハーフウェイライン付近の自陣で乱れた桐蔭ボールを、またも4西野が拾ってゴールライン着前までビッグゲイン。直前で止められるのラックから5永井が持ち込んでトライ!19−7、12点差まで引き離します。
後半たてつづけにトライを奪われ、このまま桐蔭が引き離されるのかと思った15分。22m付近のラックへ桐蔭7佐々木が走り込み、ディフェンスを突き抜けインゴールへ!そのままトライし19−12とします。
残り15分で5点差。おそらく次のトライを取ったほうが勝利します。もちろん、両チームの選手たちもここからが勝負どころであることは理解し、鬼気迫るアタックと気迫十分のディフェンスが続きます。
ライン際を抜きにかかる桐蔭学園、ラックから近場を攻める東海大仰星。しかし全てディフェンスされ、ロスタイムへ。最後は32分、仰星9米村が蹴りだして、試合終了。
強い仰星。それに引けをとらない桐蔭。ほとんど差のない勝負は、花園を弾けるように走った、東海大仰星に軍配が上がりました!!
東海大仰星 湯浅大智監督
―前半、徹底して桐蔭学園を止めていたのは意図があったのか
初めの10分、桐蔭学園のアタックをトリプルタックルで止めて流れをつかもうと、昨日も練習していた。
―ディフェンスなど、桐蔭対策があったのか
桐蔭学園が相手だからどうというわけではなく、引き出しの一つとして今日のディフェンスが有った。
―4西野が大活躍だったが
全国大会が始まる前、西野と山田をそれぞれ呼んで「今大会のキーマンだと思っている」と伝えた。3年間見てきて、高校代表候補などに名を連ねていないが、ラグビーへの理解が深いと感じていたから。
―前半崩れかけていたディフェンスが後半修正されていたが、ハーフタイムにどんなアドバイスをしたのか
セカンドタックラーが見ていることが多くなっていたので、それだけ伝えた。
―後半15分を過ぎてもキックを使わなかったが
春の選抜でも、キックで上げて逆転される経験をしている。残り15分の戦い方を年間通じて学び、準備することができた。
文:前田寛文 @MaechanYK
写真: @mihorobot
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