前回、カツロンの八尾工場でたっぷり押出成型を堪能。今回は技術力の先にある好奇心とチャレンジ精神を裏付けるものを探りに、東大阪の下小阪にある株式会社カツロン本社を訪問しました。司馬遼太郎記念館から徒歩3分にあるピンク色の建物が、記者を出迎えてくれます。
社内はなんとなくオシャレな装飾。その中でもひときわ目立つのが新商品のウェーブ手すりです。
「会長がこういった『面白いこと』が好きでして、社内に自社製品を使用してるんですよ」と笑いながら声をかけてくださったのは、株式会社カツロンの代表取締役社長・石川明一さん。
「祖父が創業して、父が大きくして、私が受け継ぎました。本社が東大阪、工場は八尾・奈良・栃木と4拠点。全部で120名ほど社員がいます」
65年続く老舗メーカーの3代目社長さんは失礼ながら、想像よりスマートな方です。
カツロンの創業は1949年。当初から押出成型を行っており、はじめに作っていたのはタバコ型のチョコレート。それからフラフープ、水まきホースなど、押出というキーワードにガンガン攻めて、電車のドアのクッション、前回登場したブラジャーのひも、自動車の窓わくなどを多品種小ロットで製造する押出界のオールラウンドプレイヤー。会社の規模も順調に大きくなりました。
「うちはなんでも面白がる会社で、『難しくても面白いと思ったらまずやってみよう』と言うスタイルなんです。これを僕たちはカツロンのDNAと呼んでるんですが」
石川さんは、2001年大手化学メーカー勤務を経て、満を持してカツロンに入社。在庫管理や人材育成などを強化していき「強い体質の会社にする」ことに注力します。
「私が入社した頃は無駄に作ってしまった商品を廃棄するのに1日かけたり、あと・・・仕事が忙しくなってから慌てて中途採用をしたり。ものづくりの中小企業の多くが抱える問題点を、当時のカツロンでも持っていました。」
ちょっとやそっとでは会社が傾かない、社内の仕組みを整え、現在社員が120人に達しようかという勢い。そして今では優良モノづくり中小企業のモデルケースです。
「社員数や規模は目標じゃないんですよ。働いている社員のために100年続く会社にしなければ。そう考えた結果が今の形なんです。それに『面白いこと』にチャレンジ出来る会社であるためには、組織として強くならないと」
と自信満々に答える姿は、強いリーダーそのもの。
3代続いても、100人を超える社員数に達しても変わらないのは「難しくても面白いと思ったらまずやってみよう」というカツロンのDNA。
「面白い」を是とする、そんな企業の躍進が、東大阪を楽しくするはず。そう感じた取材でした。
文・写真:前田寛文 @MaechanYK
会社データ
会社名:株式会社カツロン
住所:大阪府東大阪市下小阪3−8−6
TEL:06-6721−7115
公式サイト:http://www.katsulon.co.jp/
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