年末年始の風物詩(ラグビー界は年末年始の風物詩だらけなんだけど)、大学選手権。なんと57回目です。今年は2020ムロオ関西大学ラグビーAリーグの上位3チームが出場します。トーナメント表など詳細はこちら↓。
※なんで「今年は」なのかというと、出場枠は前年度の成績によって増減するから。詳しくはググってください。
第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会(関西ラグビー協会公式サイト)
しかし、12月8日に同志社大学のラグビー部員から新型コロナウィルスの感染者が出たことで出場辞退に。今年は関西5連覇の天理大学とリーグ戦3位の京都産業大学が大学選手権で全国制覇を目指します。
今年は一筋縄では行かなかった。ただただ練習ができなかった春。
再開に向け動く中、誰よりも練習開始が遅れてしまった夏。
そして、伝統的にどんな状況でも名勝負を繰り広げていた積年のライバル同志社大学に力負けし、やはり順調ではないことが露呈してしまった京都産業大学。伊藤鐘史新監督が就任して、歴史的ストロングアイコンである「スクラム」「FWの強さ」「モールでの得点力」がこの状況でどこまで通用するのか。
同じくFWを強みとする、関東対抗戦3位の慶應義塾大学に対抗するポイントは間違いなくそこだとみんな思っていました。
スクラムで勝ち、相手の体力をFWで削って、願わくば関西の雄として関東の伝統校を撃破してほしかった。
しかし突きつけられた現実は
・試合不足による、ゲーム感の悪さ
・鍛え抜ききれていない個々の当たりの弱さ
・ディフェンスの精度が低く、必ず下げられてしまうディフェンスライン
に直面させられたのです。
そして、後半はスクラムでも負けてしまったという事実。
試合は常に京産大が後手に回りました。
先制点は慶應大です。敵陣深くに攻め込むと、強みであるラックからのピックゴー(FWでのラックサイド攻撃)を繰り返して押し込みトライを上げます。
京産大も密集にこだわります。すぐに8タモエフォラウが力で5mを押し込み、7-7。しかしここからは関東対抗戦の強さを見せつけられ、さらに関西大学リーグの甘さが顕著になります。
まずディフェンスのセットが遅さ。少し遅れて立つため、穴があるまま慶應大がアタックを初めて、たびたび「足らない」と感じさせられるシチュエーションが発生します。
21分、27分とその「足らない」を突かれてトライを奪われると、前半終了間際には再びラックからトライを献上し7-28で折り返します。
後半は京産大がゴール前の密集から9廣田のトライで先制。追い上げ開始といきたかったのですが、後半13分に慶應大陣内でのパスミスからボールを拾われて一気にトライを奪われるなど、いいところが見られません。
時間が進むにつれて、明らかに疲れが見える京産大。対して表情に余裕が見えてくる慶應大。ついに17分、京産大ボールのスクラムを慶應大にターンオーバーされ唯一の強みだったポイントまで消されてしまいます。
ここからは、慶應大の展開についていくのがやっと。さらに2トライを上げた慶應大が、コロナ禍でもチームをしっかり作ってきた関東対抗戦の強さを突きつけられた試合でした。
8月に活動を開始し、短い期間でここまで来た京産大。変則日程になった関西大学リーグを乗り切ることはできたものの、全国への道では及びませんでした。関西からのもう1チーム、天理大学は12月19日(日)に準々決勝を戦います。対するは、関東リーグ戦2位の流通経済大学。
過去に幾度となく、何十年も繰り返し言われている「関東との差」。関西のラグビー関係者が口を添える埋めたい差。いつの時代の関西のチャンピオンも異口同音に「関西で接戦が出来ないので全国で関東のチームと接戦すると負けてしまう」と言います。また、関西の有力高校生が関東の大学に流れていくからだという人もいます。
それが事実なら、その現実を具体的にどう変えようとしているのでしょうか。私にはわかりません。
具体的に何が足りないのか。何から解決して行くべきなのか。関西のラグビーがどうありたいのか。どこを向いて何をするのか。
感染症の拡大とは別の次元で、誰かが今決めなければ30年先にも「埋まらない差」と言い続けることになるでしょう。それまでに、偉大な誰かが作ってくれた「関西大学ラグビー」という枠組みが残っているという保証はありません。関西が強くなるための足がかりが、天理大学対流通経済大学で少しでも得られますように。
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