突然ですが、みなさん「ふじや」と聞くと何をイメージしますか?
スイーツショップ?
いえいえ、東大阪には世界の「フジ矢」があるのです。もしかすると、みなさんも手にしたことがあるかもしれない、あれ。
ペンチやニッパーなど「握りもの」と呼ばれる工具を製造販売している会社。本社・工場があるのは東大阪市松原。花園ラグビー場のすぐ北です。
創業は1923年(大正12年)、今年で97年目を迎える老舗企業。
「もともと当時の社長・道本佐一朗氏がペンチメーカーに勤めていたんです。そこから独立する形で、生野区に道本鉄工所(1993年にフジ矢に名称変更)が誕生しました。当時はペンチやニッパーを作っている会社がたくさんあったらしいですよ」と話してくれたのは、マーケティング本部・設計部長の諸江道明さん。
1968年に現在の場所に本社と工場を移転。東京営業所とベトナムにも工場を持ちます。現在は創業者である道本佐一郎さんのお孫さん、野崎恭伸さんが3代目の社長。
会社のロゴは、「日本一高い富士山のように、日本一の技術力を目指し、富士山を貫くほどの心構え」という意味が込められています。
「今でこそ、ここまで大きな会社になりましたが、創業時はほぼ無名。機械化し、量産型を取るようになってから、現在の地位を築き上げました」。
機械化を取り入れつつ、組み立てや焼入れ、刃付け、研磨といった重要な作業は、一丁一丁職人さんが手作業で行っています。
この丁寧な作業が認められ、現在のペンチ類のJIS規格の基になりました。1956年にはペンチ業界を代表して天皇皇后両陛下が天覧に来られたことも。国内シェアトップまで上り詰めました。
工場内を、マーケティング本部デザイン部の西埜(にしの)太一さんに案内してもらいました。
ペンチやニッパーは、5種類ほどしか部品がありません。それでも、たくさんの作業工程に分かれています。
「ペンチとニッパーは友達みたいなもの。最後に刃をつけるかどうかで変わってきます」と、西埜さん。
ここまできたら、それぞれを機械で切り落とし。
こんな感じで、機械から出てきます。
その後は手作業で、左右バラバラのパーツを1つにくっつけます。
刃をつけて、最後に取っ手をつけると完成です。
ちなみに、ニッパーやペンチの数え方は1つ2つではなく、1丁2丁と数えます。
「現在はコロナ禍でのニーズ対応でSNSを積極的に取り入れたり、製品開発のクラウドファンディングにも挑戦中です」と諸江部長。
97年で培ってきた強固な地盤から、富士山のように高い志をもって次の時代を切り開いていく。こんなかっこいいメーカーが、東大阪にあったなんて!
これからも、「実はあの会社は東大阪が本社だった」っていう会社の取材に行ってみたいな。
■フジ矢株式会社
住所:大阪府東大阪市松原2-6-32
電話:072-963-0851
ホームページ:こちら
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