イオン東大阪店が3月31日で閉店して、1週間。巨大ショッピングモールの閉店は、オープンした〇〇年前からの予定事項だってとしても地域社会に衝撃を与えています。特に今は新型コロナ禍。不確定要素は平時よりもたくさんある。
そんな見通しが悪いなかで、不確かな状況をチャンスに捉える動きがあります。
まず、市役所敷地内で実施されるキッチンカー。3ヶ月の期間限定ですが、毎日日替わりでやってくるキッチンカーに今は「行列が長くて大変」という盛況っぷりです。
個人店も負けてはいません。イオン東大阪跡地の南に位置する中華そば九兵衛本店は、朝7時30分に開店し朝からラーメンを提供。今一部でブームになりつつある「朝ラー」に打って出ています。
その真意とは。
「狙いはイオンの解体工事です」
と即答するのは店主の小野寺さん。FC店を含め、東大阪内外に4店舗と拡大させ、今一番勢いに乗っているラーメン店でしょう。
「当初は解体作業のあと、夜の居酒屋っぽい需要を狙っていたんです。でも、工事は昼間だけ。1年以上をかけてと聞いて方針を転換しました。少しずつですが認知いただければと思っています」
朝ラーを開始したのは3月の中旬。4月にいきなり始めるのではなく、周知期間を考慮して早めに動いたといいます。
ネットやSNSが情報発信ツールとして重宝される時代ですが、店頭での「見た」というお客様の経験も重要だと捉え「やってるんだ」と生活の流れの変化を促します。
小野寺さんは毎日朝4時から、本店で麺とスープを仕込みます。
「どうせ僕は店にいるんです。大した負担にはなりません」
と笑いますが、朝といえど一切手抜きはなし。それどころか、朝限定メニューまで用意して来店したくなる工夫をします。
力仕事をする人の始業前、通勤途中にラーメンを食べる体験をしたいマニア、もしかすると市役所に通う人がふらっと入ってくれるかも。
闇雲のように見えますが、ショッピングモールの閉店という人の流れの変化はみんなにとって平等に未知の世界を持ってきます。今、何かしたものしかチャンスをものにできない。
新型コロナ禍のなか、テイクアウトやデリバリーも実験しながら「質を落とすことのないように」と慎重に大胆に。
変化することを厭わない姿勢こそ、次の時代に必要とされるのではないかと思わせてくれます。
「さっさとやめたらそういうことやと思ってください」
と、取材中に笑う小野寺さん。飲食店受難の事態に失敗の数は知れず、それでもやるしかない。
朝ラーという新しい生活スタイルは、九兵衛とともに東大阪で受け入れられるのか。
じっくりと、見学したいと思います。おいしいラーメンを食べながら。
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