週ひがの本当に週刊なコラム第11回 関西ラグビーのあらたなる一歩に添い寝してきたって話
- 2016/5/17
- ラグビー, 本当に週刊なコラム
- 関西大学春季トーナメント
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今年の週刊ひがしおおさかは、春も大忙しです。もちろん、「東大阪 春のスイーツスクラム」を開催する準備ということもありますが、もう一つは関西のラグビー界が新たなる試みをはじめたからです。
関西ラグビーフットボール協会は5月15日(日)より、関西大学春季トーナメントを開催しました。昨年度のリーグ戦の順位に合わせてトーナメントを組み、春のナンバーワンを決める大会。今年は公式戦ではありませんが、来季からの公式戦移行を見据えての実施です。4会場で4試合。1回生の試合やBチームの試合も行われるため、弊社スタッフとボランティアカメラマンさんとで手分けをして、草津市(立命館大学)、天理市(天理大学)、西宮市(関西学院大学)、京都市北区(京都産業大学)の4箇所で取材を敢行しました。

京都産業大学神山球技場。東大阪からは片道2時間。
ラグビーは、他の競技と比べて、試合を多く組めません。体力の消耗を考慮して週1回の試合が精一杯。よって現行の公式戦は秋に行われる8チームのリーグ戦で7試合。プレシーズンにあたる大学選手権や入替戦に進んだとしても、2桁の試合をこなすのはほんの一握りのチームです。強豪ほど勝ち残って強いチームと多くの試合を経験して積み上げて強くなっていく。大学でも社会人でも、長期間連覇するチーム(新日鉄釜石、神戸製鋼、同志社大学、帝京大学など)が定期的に出現する図式は、こうやって確立されています。
そこにメスを入れたのは、トップリーグの発足でした。力の拮抗したレベルの高い試合を頻繁に行えるように。1995年W杯で日本代表がオールブラックスに145-17で大敗したことをきっかけに、2003年に社会人カテゴリーを改革。それまでの「数チームのよる地域リーグを戦った後に全国トーナメントを行うシステム」を見直します。全国の強豪が1つのリーグでシーズン通して戦うトップリーグが12チームがスタートし、力の拮抗した気の抜けない試合を、年に何回も行うことができるようになりました。
効果はてきめんでした。それまでなぜか韓国に弱かった日本代表が、絶対に負けなくなりました。緊迫した局面でのペナルティが激減し自分たちのペースで試合を行えるようになったのです。この改革が、2015年の南アフリカ戦の勝利への第一歩だったと言っても過言ではありません。このように、ラグビーでは緊迫した試合を数多く戦うことが重要であり、難しいことなのです。

立命館大学Bチーム対摂南大学Bチーム。立命館大学の圧勝に終わった。
関西大学春季トーナメントは、今まで各チームが秋の公式戦に向け準備期間にあてていた期間に行われます。春の予定は、各チームが独自に調整。伝統校同士が行う定期戦や、公式戦に出られないメンバーが戦う練習試合などを行っています。
この慣例に後から押し込んだ今回のトーナメントは、必ずしもチームから歓迎されてはいません。特に同志社大学はトーナメント開催決定前からすでに別の試合が組まれており、1回戦はおそらくBチームかもう少し落ちるメンバーが出場していました。

試合後の和やかな光景。同志社大学はCチームで挑んだとのウワサも。
また、会場も練習試合並みです。各大学のグラウンドで、練習試合と同じように当番チームが会場整備をし、駐車場の割当にまで気を使う。チームにとっては負担の大きい大会となりました。
トーナメントは2回戦を5月末から6月初旬に各大学のグラウンドで、最終戦を4試合すべて近畿大学グラウンドで行います。

トーナメント表。将来的にはこの大会の結果が秋のリーグ戦の日程に反映されれば言うことなしだ。
しかし、大きな一歩を踏み出したことは大きく評価しなければいけません。秋に比べてチームの都合が効くこの時期に、できることは多いはず。スポンサー獲得などでの資金面のクリアが前提となりますが、トーナメントにトップリーグのBチームが参加することも不可能ではありません。近畿以外のチームへも参加を促すことが可能になるかもしれません。強化はやはり、自分たちより少し強い相手と試合をしてこそなのですから。
関西のラグビーの新たな一歩が、2016年5月15日に踏み出されました。いつか関西の大学から再び最強チームが生まれ、日本代表を多数輩出する日が来た時、この小さな一歩に大きな意味があったと評価されるでしょう。
ということで、週刊ひがしおおさかも20年先を見据えて。今週も頑張ります。
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