7月2日(土)スーパーラグビー第13節にしてサンウルブズ国内最終戦の対戦相手は、一昨年の覇者にして現在オーストラリアカンファレンスで首位争いをするワラターズ。「ほぼワラビーズ(オーストラリア代表)」と言われるのが納得できるほどの豪華メンバーでやって来ました。フォラウ、フーパー、フォーリー、ホーン、ナイヤラボロ。メンバー表にきらびやかな名が並びます。

スーパースター中のスーパースター、13フォラウ。異次元の動きを見せていた。
我らがサンウルブズはキャプテン堀江、司令塔ピシを怪我で欠き、山田とデュルタロがオリンピックのため離脱しているという苦しい布陣。代表のスコットランド戦で活躍した木津、田村、小瀧などがどこまで穴を埋められるのか。
ワラターズはこの暑さには対応できないだろう。ワラビーズメンバーはイングランド3連戦3連敗で疲れきっているはず。など、試合前はなんとか勝ち目を見つけようとマスコミやファンが井戸端会議を繰り広げましたが、結果は12-57。サンウルブズはノートライ、後半はスコアすることすらできずワールドクラスのラグビーの厳しさを再認識させられました。

国内最終戦。よくやったとも、まだまだこれからとも言える戦い。
試合の入りは上々でした。キックオフからエンジン全開で攻めるサンウルブズに、ワラターズはミスが出ます。ほぼ互角か、サンウルブズが優勢な展開でした。10分に先制トライを許し0-7とされますが、臆すること無くどのエリアからでも展開。敵陣で何度もペナルティを得ます。この日のサンウルブズは、確実にスコアするゲームプラン。10田村が2本のPGを、15フィルヨーンは50mを超えるであろうロングPGを決めて9-7とすると、ほぼ満員となったスタンドは大興奮でした。

キックでもゲームコントロールでも攻めた10田村。
しかし、ここからワラターズのラグビーが炸裂しました。スター選手たちがルーズボールに確実に反応してゲインすると、長くて早いパスにサンウルブズのディフェンスはついていけません。
ワンタッチパスを続けて外にスペースを作る。ダミーを使ってディフェンスにギャップを作る。強いランナーが3つ続けてタックルを弾き飛ばす。作ったチャンスは必ずものにする。4トライ3ゴールを決めたワラターズは26点を奪って前半が終了します。

早い球出しで成長を見せた9茂野。
後半はさらにこの流れが加速します。サンウルブズはスクラム・ラインアウトのセットプレーでも押されます。後ろに下がりながらのディフェンスを余儀なくされ、BKのアタックにたじたじ。5トライ3ゴールを許したのに対し、敵陣22m内に入ることすらほぼ出来ずに12-57で試合終了しました。
先週のスコットランド戦で大活躍し、今回スタメンで出場した9茂野は「ワラターズの方がテンポが早い」と言います。3垣永はスクラムについて「重さと長さ。南ア勢との違いを感じた」とセットプレーでの劣勢を語ります。
自分たちのやりたいことが明確で、攻めだせば確実にトライを奪う。この日久々のスタメンだった2木津は「ラグビーがうまい」と話し、スター軍団の能力の高さを振り返りました。

悔しさをにじませながら、記者からの質問に答える2堀江。
サンウルブズ側が期待した、ワラターズの激戦の連戦と天候による疲れについても、フーパーキャプテンは「高温多湿は折り込み済み。試合が進むにつれて気温が下がること、それにともなって自分たちのワークレートがどう変化するかを予測し、ゲームプランを組み立て実行した。」と話し、全ての面でプロフェッショナルな準備ができていたことをうかがわせました。

日本にも、熱烈なファンが居るほどフォラウのパフォーマンスは別格。
一方、サンウルブズはどうだったのでしょう。せめてのハンドリングエラーやスコアした直後のリスタートでのミスが目立ったことに対し、15フィルヨーンは「ミスが多すぎた。対ワラターズではなくスーパーラグビーのどのチームに対しても、こんなプレーをしては勝てない。」と振り返ります。今季での退任が決定しているハメットHCは「今後の課題はハイボール。相手ボールのセットプレー。WTBの主力がいなくなったあと、外の攻撃が機能しなくなった。」と話し、「ファン、スタッフ、スポンサー、メディアを含め1つのチームだった。いい仕事ができた。」としめくくりました。

ゲームキャプテンを務めた12立川。山田がいない中、BKの切り札的存在でもあった。
国内最終戦ということもあって、今回も満員に近いファンで埋まった秩父宮のスタンド。そこから発せられる大歓声に対し試合後、「すばらしい雰囲気の中でラグビーができた。日本のラグビー熱の高まりを実感した。」とワラターズの面々はみな口にします。

今季での退任が決定しているハメットHC。ナイスガイだ。
現役時代4回スーパーラグビーを制しているワラターズのギブソンヘッドコーチは「サンウルブズは予想していたとおりクリエイティブで継続したラグビーをしようとしてきた。経験し慣れてくればもっと成長する。成長すると安定する。重要なのは日本の中でいかにコーディネートされているかです。」と記者会見の最終盤に話します。

13カーペンターはフォラウにも負けないパフォーマンスを示した。
スーパーラグビー参戦という、日本ラグビーにとって前代未聞の破天荒な試み。ワールドカップの風を受け、不安と期待が充満して始まったサンウルブズの挑戦は、確実に日本ラグビーをレベルアップさせながら、数々の課題も明確化し次なるステップへと駒を進めようとしています。
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