東大阪のねじメーカーを紹介する「ねじコレ」。
が、今回は東大阪ではありません。
ねじと聞けば飛んでいくのが週刊ひがしおおさか。ラグビーと同様に、近畿圏、いや全国におもしろいねじがあればどこでも行きます。
第8回は東大阪のお隣、八尾・老原の八尾空港北に位置する「春日鋲螺製作所」をコレクション!
ということでやってきた春日鋲螺製作所。1968年創業、今年で51年目を迎えます。
「うちは元々東大阪の高井田で創業したんです」と話してくれたのは、3代目社長の田中秀和さん。お父さんの田中達雄会長と一緒に社内を案内してくれます。
■高井田で創業し、八尾空港の近くへ。
前身の釘メーカー「田中製鋲」として高井田で創業。田中社長のひいおじいさんが始めました。戦時中に工場が解体し、戦後はねじ生産にシフト。親戚のねじ工場が近かったことから1968年に八尾へ引っ越し、春日鋲螺が誕生します。
■「ここ、1mmだけ短くして」もお任せ。
現在、六角ボルトや根角(ねかく)ボルトを中心としたボルトメーカーに成長。
基本的には「ヘッダー(ねじの頭を成形)」「トリーマ(余分な部分を切り落とす)」「ローリング(螺旋状のねじ山を作る)」の3工程を、それぞれの機械で行います。
「大企業ならすべてを一度に製造できる機械を持っているかもしれませんが、うちは10人くらいの工場やから小規模です」と田中社長は言いますが、その工程に秘密と魅力が。
それぞれの機械で、規格外の加工が可能なのです。
ねじには規格…つまりサイズや長さに世界共通のルールがありますが、例外も多くあります。春日鋲螺ではその例外に細かく対応。例えば、「ここを1mmだけ薄くしてほしい」という要望にも対応できるのです。
田中社長はこう続けます。「マクドナルドで言うたら、単品売りやね。普通はセットで頼むでしょう。でも中にはポテトだけ、ナゲットだけ頼みたい人もいます。よく出るセットの方が需要が高いけど、単品をほしい人も必ずいる。そういうお客さんに向けた製品を作っているんです」って、なるほど。
■「我が社の1本」はコレ!
そんな春日鋲螺の1本は、根角ボルト。ねじ頭の裏面(根)が四角形のボルトを指します。
固定したい材料の角に四角形が引っかかり、滑り止めに。
頭部が丸く、十字穴やマイナス形の溝がないことも特徴です。
肌に触れても角がないので傷つかず、ガードレールはじめ本棚や椅子などの家具によく取り付けられている製品です。
「根角ボルトは金型の持ちが悪いんです。積極的に製造しているメーカーは少ないですが、うちはこういうところで生き残っていかないと」と田中社長。
合わせて、細かな要望に応えるその姿勢。根角で規格外のものを作り続けていたら、「もう何種類製造しているかなんて覚えてないなぁ(笑)」って、そりゃそうですよね。
大規模な工場に対抗するのではなく、ニーズに応えて規格のねじとはちょっと異なる製品を作り続ける春日鋲螺。
明日のねじ界を作るのは、そんな「はみ出し者」たちかもしれない。
■株式会社春日鋲螺製作所
住所:大阪府八尾市老原9丁目130番地
TEL:072-991-2171
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。