ラグビーワールドカップ2019まで、あともう少し。東大阪のまちはその瞬間を、今か今かと待ちかまえています。
そんな中、東大阪市立英田(あかだ)南小学校にラグビー日本代表キャップ25の山田章仁選手(NTTコミュニケーションズ)がやってきました。

まぎれもなく山田選手だ!もはや芸能人が来たような感覚。
山田選手といえば、記憶に新しい2015年のラグビーワールドカップにおいて、日の丸を背負ったひとり。
あの南アフリカ戦で勝利に貢献しました。
山田選手が発案した、小学生から大学生に向けたラグビー普及とチャレンジ動画サイトを運営する取り組み「TRY RUG BEE PROJECT」が今年7月4日から全国でスタートしました。その一環として講演会とタグラグビー教室を開催することになったのです。

聖地花園のお膝元、英田南小学校でやらないわけがない!
体育館には、元気いっぱいの4年生から6年生までの児童が大集合。
授業開始のチャイムが鳴った途端、話をやめピシッとした姿勢でその瞬間を待ちます。
そして、児童たちの大きなかけ声とともに、山田選手が登場しました。
大きな体と迫力のあるオーラに体育館は興奮の渦が沸き起こります。

司会のお兄さんと対談形式。スクリーンに画像を映し出しながら話します。
自己紹介のあと、さっそく講演がスタート。
小学生から社会人になるまでの自身のエピソードが紹介されました。
山田選手には歳の離れた姉が2人いたこともあり、おままごとをしたり、人形あそびをしていたんだとか。そんな時、両親から「激しいスポーツ」を勧められ、5歳からラグビーを始めます。
そして小学生の時、「もっと強いチームでラグビーがしたい」と、強豪のラグビースクールに移ることを決意。
「自分のことが大好きだったので、あまり周りの意見を気にしなかったです。自分がやりたいことに挑戦したかったので」と当時を振り返っていました。

小学生時代の自身の写真など、貴重な資料も。
そして中学生になると、仲間の大切さについて実感するように。
「つらく苦しい時に、仲間が助けてくれました。仲間とひとつになってラグビーすることが楽しくて大好きでしたね」。
高校に進むとラグビーと勉学との文武両道を貫きます。数学が得意だったそうで、「難しい問題が解けた時のうれしさ、ラグビーで勝てなかった相手に勝てた時のうれしさなど自分なりの楽しさを見つけていました」。
大学生の頃には、大きな経験を得ます。「オーストラリアに留学できるチャンスをもらい、周りのサポートもあったおかげでチャレンジすることができました」。今までとは違う環境での挑戦が、「チェンジ」のきっかけに。
「チャレンジするからチャンスに変わるのだと、気づきました」。
”チャレンジ”することの大切さを伝えていく中、山田選手から児童たちへの「最近チャレンジしたことは」の質問では、「バク転ができた」「ひとりでラジコンを作った」「ダンスをする時にヒールを履いて踊った」などの答えが。
それに対し山田選手は「みんなはチャレンジは絶対成功しないといけないと思っているでしょう?本当はそうじゃないんだよ。失敗してもいいんだよ」。
続けて、「チャレンジしてる時点で成長しているんだよ!」と伝えました。

胸には「TRY RUG BEE」のマーク。ジャージの柄と似た、ハチがモチーフ。群れで行動するハチを、みんなでラグビーをする子どもたち一人一人に例えています。
今度は児童からの質問タイムに。「山田選手でも乗り越えられない壁はありますか?」と聞かれ、「あります。見上げていた壁もありました。それでも乗り越えるなら大きい壁の方がいい。乗り越えた時の景色がきれいだろうと思ったから。その景色を見るためにはチャレンジし続けること大切です」と答えました。
また、ラグビーを習っている児童からは、「2015年のワールドカップの南アフリカ戦はどんな気持ちで挑みましたか?」との問いが。「ワールドカップで活躍することが目標でした。グローバルな世界で戦いたかった。応援してくれている人たちに勇気が与えられたらいいなと思って挑みました。はじめは、勝てないだろうという状況でしたが、終盤にチャンスが巡ってきて勝つことができました。最後まで諦めてはいけないと思いました」と快進撃の心境を語りました。
また、今後の目標について聞かれると、「海外のチームに行ってみたい。世界で戦いたいです」と答えました。
講演会のあとはタグラグビー教室。
「TRY RUG BEE PROJECT」に参画しているNTTドコモレッドハリケーンズから、衛藤陽介選手も参加しました。

子どもたちは体操服に着替え、準備万端。右はNTTドコモの衛藤陽介選手。
簡単なウォーミングアップのあと、タグラグビーが始まりました。
体育館を縦横無尽に走り回る子どもたちを見て、終始顔がほころぶ2人。

ところで、山田選手の靴が黄色なのはやはりハチを意識しているからでしょうか。
記者・お千はラグビー教室を初めて取材したのですが、選手はただ教えるだけではなく、心を子どもたちと目線を同じにし、一緒に楽しんでいるように思いました。

子どもたちと一緒になって楽しむ山田選手。写真奥にはうっすら編集長・前田が写っているのもポイント。
夢のようなひとときはあっという間に過ぎ、最後に全員で記念撮影。
いきいきとした子どもたちの笑顔に、こちらまで笑顔になりました。
山田選手の講演を聞き、忘れていた何かを思い出した気持ちになりました。
その何かとは、「挑戦する勇気」なのかもしれません。
勇敢に立ち向かうラガーマンが発する言葉は、力強く、心に響きます。
この一日を通して子どもたちは、ラグビーはスポーツとしてだけではなく、人生において大きな影響をもたらしてくれると気づいたのではないでしょうか。
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