東大阪のねじを紹介する「ねじコレ」。
今回は、府道173号線・大阪八尾線の西。住宅街に佇む「川端ネジ製作所」のねじをコレクションします。

衣摺4丁目。左手の灰色の建物が川端ネジ製作所。周りは住宅だらけ。
1953年創業。工業用ねじの製造からはじまり、現在は工業用ミシンやレントゲン精密ねじのほか、デザイン性をもたせた「アートねじ」を製造し、メディアで引っ張りだこです。
■ねじを主役に。「アートねじ」誕生までの道のり
低い天井、木の柱、油のにおい、所狭しと並ぶ工作機械。「東大阪の町工場」を体現したかのような光景が、目の前に広がります。

みんなが想像する東大阪の工場って、川端ネジのことだと思う。柱には貼られた「整理整頓」の標語が渋い。
「良かったら缶コーヒーでもどうぞ」と案内してくれたのは2代目社長の川端謙二さん。
缶コーヒーに現場っぽさを感じつつ、工場内を見学します。

社長の川端さん。躊躇なく油に素手を入れる姿がかっこいい。工業用ミシンを製造中。
奥には、展示スペースが。
これまでに製造したねじをはじめ、工場の写真、自社が掲載された雑誌まで置いている。この一角だけちょっとしたミュージアムのようです。

わー!見たことがない形のねじがたくさん。
箱詰めされたアートねじも。

名刺など紙を挟めるねじも。1つから注文受付。どの製品も工場から直売しています。
家具の取っ手にしたり、バレンタインデーに贈ったり…枠を越えたねじの使い方を提唱する川端さん。
「家業を手伝っていくなかで、業界の浮き沈みをたくさん見てきました。同じことをやり続けるのではなく、何かこう、誰もやっていないことをしていかないとなとずっと思っていたんです」。

形、カラー、個性的なアートねじがずらり。
代替わりした平成初期、ねじを少しずつ表舞台へ出しはじめます。
不良品にカラースプレーをつけてみたところどんどん想像が膨らみ、デザイン性のあるねじの製造に着手。アートねじが誕生します。
「受け入れられるのに20年かかったなぁ」
我が子を大事にするように、思い入れを話してくれました。

イタリア・ミラノで製造されたソファに使用されたねじ(左端)。
■我社の1本!原点は工業用ミシンねじ
では、自社製品の中から1本を選ぶとしたら、やっぱりアートねじ?と思いきや。
社長が持ってきたのは、創業当初からの主力商品・ミシン用ねじ。1〜 2mm程度と極小で、ミシンの針板(針が通る台)に使用されています。

押しピンと比べてもこの小ささ!
ねじ頭はマイナス。
「プラスは、ドライバーで締めたときに最後のひと締めが留まりにくいんです。マイナスやとしっかり締めることができるし、あと掃除しやすいからね。」
ほほー!マイナスの利点が、そんなところにあったとは。
ミシン用ねじを「我社の1本」に選んだ理由は、
「やっぱり、工業用があってこそのアートねじですから。」
主力があるから、遊び心もできる。真面目にコツコツやってきた過去があるから、角度を変えてトガことができる。
この絶妙なバランスが川端ネジをつくっているのです。
目指すは、アートねじをきっかけにねじを知ってもらうこと。川端ネジの挑戦は止まらない。

展示スペース、所さんの世田谷ベースみたいだ。
■川端ネジ製作所
大阪府東大阪市衣摺4-9-11
06-6728-7570
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