東大阪市民に権利は全くないけど、大阪市・都構想の住民投票について簡単にまとめてみた
- 2015/5/16
- 暮らし
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大阪が熱く燃えている!
何がって、大阪都構想。テレビ、街宣車、SNSで大宣伝合戦。FacebookやTwitterでは友人が政治家のように懸命に主張する。
あれ?ここはノンポリ日本じゃなかったの?
と戸惑いのあなた!週刊ひがしおおさかがマルっと都構想を解説します。東大阪を見限って大阪市民になった人、東大阪に縁かゆかりがあった大阪市の人、東大阪市民だから参加できなくて苦々しく思ってる人。
みんなまとめて「私、市内です」と言う大阪市在住の人に軽くイラつく東大阪の情報サイトの意見を参考にしてください。間違っても都構想の前に「いわゆる」なんてつけてやるもんか!
5月17日に決めること
議題は1つ。大阪市を廃止し、替わりに5つの特別区を設置する。
これに、是か非か。
あれ?大阪都は?これ、単純なのですが複雑なのです。周知の通り、今回の住民投票でYESとなっても大阪都にはなりません。スケジュールは
1大阪市をなくす
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2大阪府の知事が旧大阪市地区の親分になる
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3周りの自治体(東大阪市とか)も市をやめて区になる
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4大阪が大きな都区部とその他一部の市になって、大阪都完成。
だいたいこんな感じ。順調に行けば、2年後に大阪都へ移行です。
早い話が、17日に決めるのは
「こんな計画進めたいねんけど、はじめの第一歩を踏み出すか?」
ということです。
都構想の夢と現実
大阪都構想自体は、太田房江知事時代からたびたび話題になりました。大阪府と大阪市が合併し、大きな権限を持ったリーダーが東京に負けない、世界で戦う大阪をひっぱっていく。「みんなが商売したくなる大阪にしましょう」が大阪維新の会の合言葉です。経済都市大阪の復活は、大阪に住む多くの人の夢であるはずです。
ところが、夢は必ず現実と対比されます。今週に入って、大阪青年会議所が都構想についてまとめた資料をリリースしました。大阪市の廃止に伴うデメリットが的確に指摘されています。
詳細はこちら
まとめると
・市を廃止して特別区をつくるときに莫大な初期費用とランニングコストが発生する
・コストに見合ったリターンが得られる保証がない
・現在大阪市民が受けている住民サービスが維持されない可能性が高い
のだいたい3点。クリスタ長堀やWTCができるときも、おそらく夢は語られたはずで、失敗したということは、現実との対比がうまく行っていなかったということでしょう。専門家でも予測困難な事象ですが「夢と現実は違うんやで」は大阪都構想でも同じなのです。
保証はあるのか
東大阪や周辺都市に住んでいると、大阪市の市民や企業に対するサービスの充実は羨ましく思えます。新婚補助からはじまり、格安の水道料金、生活保護、起業支援など大阪市に籍を置くことで得られるメリットは多数。「そりゃ人口流出するわ」と思ってしまうきらびやかな厚遇です。
それが大阪都構想の実現の過程で失われるのではないか。賛成派は「確保される」とは言いますが、
「そんな保証、どこにもないやろ!」
というのが反対派の意見。
そうなんです。大阪都構想の協定書(設計図)を読んでみると、住民サービスの財源は確保されることになっていますが「保証」とはいきません。細かいルールを作り込む際に「やっぱり減らします」となることもあるでしょう。今まで大阪市で発生した税金が大阪市以外にも使われるのですから、将来住民サービスに当てる予算が減ることも否定はできません。
なんぼ儲かるんや
かかった経費以上の効果が期待される。基本的に事業はこの構造で行われます。リスクのない事業はありません。重要なのは「で、なんぼ儲かるんや」ということ。この試算が、賛成派と反対派で大きく異なります。
賛成派は4000億円。
反対派は1億円。
ここまで違うと検証するのも馬鹿らしくなってきますね。
反対派の主張は「地下鉄民営化など大阪市を廃止分割しなくても得られる効果ばかり宣伝している」というもの。
対して賛成派の議員さんは大阪府市統合本部が作成した
このような資料
を提示。大阪駅周辺開発からなにわ筋線を始め、大規模な都市整備事業の数々です。この全てが都構想が実現しないと実現不可能だと。
ここに両者に食い違いがあります。
単純に大阪市を無くし5つの特別区にするだけでは効率アップによる効果は大したものではない。が、意思決定が一本化されれば都市整備事業が迅速に行われ効果を発揮する。というのが賛成派の主張。
着地点が全く違う議論なので、絶対に平行線です。結局、実施する人を信用するかどうかという話になります。
じゃどうするんですか
橋下徹大阪市長が記者会見などでたびたび口にするのが「じゃどうするんですか、対案出してくださいよ」という言葉です。ビジネスをする際には「対案なき反論はNG」は大原則。目標を設定しリスクを想定した上で、素早い意思決定を行い、都度修正しながら事業を行う。これは組織運営の定石です。
投票が差し迫ってきた頃「イレブンプラン」という対案が出てきましたが、事実はどうあれとってつけた感は否めません。
反対派の一番の泣き所はこの「じゃどうするの」に明確に答えられないことです。対して賛成派の意見には「ホンマに〜??」と言う疑問が常につきまといます。
「大阪」に何を求めていくのか
以上のように、多くの論点が「不確定要素が多すぎてある程度目をつぶらないと判断できない」のが現状なのです。というか、総論を行う賛成派と各論を行う反対派という構図で、噛み合いようがありません。
一つだけはっきりしているのは都構想は、大阪に強力な権限を持つリーダーが必要だと言っていることです。
その逆の概念は、「自分の生活により近いところで、できるだけたくさんのことを決定しよう」となります。自治という考え方がこれにあたります。
選挙や政治というのは正解がありません。どれくらいの利益が期待されるかを自分で考えて、投票するしかありません。
「反対する理由がない」も「変える必要がない」も一種の思考停止。自分の好みとは対局にある意見を聞き、最終判断してください。
「大阪」ってどこまで?
最後に。よく若いころ「大阪ってどこまで?」という話を友人としました。「布施は・・・大阪かな」「小阪は?んー…八戸ノ里はもう奈良や」といったような。行政区分としての大阪ではなくて、感覚としての大阪。皆さんはどこまで大阪でしょう。
週刊ひがしおおさかのスタッフも、大阪市の大きな施設に遊びに行ったり、大阪市の繁華街で食事をします。大阪市の出来事は東大阪市に大きな影響を与えますが、その逆はあまりありません。
つい我々は、大阪市に住んではいないので「やったらええやん」や「利権が絡んでるんやろ」「うさんくせ」など好き勝手に言ってしまいます。でも、大阪都構想、最初は東大阪市も含まれた再編計画だったはず。東大阪の行く末に大きく影響するであろう出来事に傍観するしかないなんて。なんて言ったら大阪市の人に怒られちゃいますかね(笑)
行政区分って、ホントにもどかしい。
ということで、今回もやります。勝手に特別区設置住民投票。こんな楽しそうなこと、指を咥えてみていられるか!
大阪市民も東大阪市民もそうじゃない人も。この記事を読んでいても読んでいなくても、なんでもいいので投票してください。
投票はこちらから。
結果は、18日以降にボチボチまとめてアップします。ご協力よろしくお願いします!
文:前田寛文 @MaechanYK
コメント
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私も東大阪市民ですが大阪都構想には興味があります。
都構想に関する議論ではじめて素晴らしい記事が読めて感謝しています。
大体、大阪都構想の記事は賛成!反対!の極論一方で
両者の主張をうまくまとめてあるの記事が無くて困ってました。
ほんとに分かりやすかったです!
「着地点が全く違う議論なので、絶対に平行線です。結局、実施する人を信用するかどうかという話になります。」
ほんとにこれがすべてですね!
週刊ひがしおおさかの前田ことMaechanYKです。
コメントありがとうございます。
賛成にも反対にも汲みしない記事が全くないので、投票日前日ですが書いてみました。
明日は、注目の投票日。一緒に楽しみましょう。
あ、アンケートに参加いただければ幸いです。