週ひが就活座談会前編 〜「就活」がイベント化するってどうなのよ〜
- 2016/6/1
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5大学を有する東大阪市では、今の時期リクルートスーツを来た若者たちが数多く見られます。そう、「就活」を行っているのです。今年は6月解禁ということで、週ひが編集部内でも話題に。でも世代や立場によって就活のイメージは全然違いますよね。
今回は「就活」の現場を知りかつ東大阪をキーワードに持つ方をゲストにお招きし、「東大阪就活座談会」と題して今の就活を大解剖しました!前後編の大作でもあります。
お集まりいただいたのは、東大阪出身でサンコーインダストリー株式会社代表取締役奥山淑英さん、近畿大学出身で株式会社バナナキャリア元取締役にして摂南大学キャリア教育担当の水野武さん。さらに数年前まで(あえて何年前かは明言しません)就活をしていた弊社スタッフmihorobotこと野口が参戦。進行は週刊ひがしおおさか代表前田です。
さて、どんな話が飛び出したのやら・・・。
- いきなりですが、いつから就職活動のことを「就活」を言うようになったんでしょうか。
水野 「就活」という言葉が出てきたのは2000年前後ですね。企業から送られてくるエントリー書類が、ナビサイトに変わっていった時です。
奥山 たぶん今の30代後半より上の人たちは就職合同説明会というと、IMPホールで開催されてるイメージですよね。
- 私は1996年入社ですからIMPでした。大阪城公園駅で降りて、並んだのを覚えています。
水野 今はハービスホールとかですから規模も大きいですし、ご覧になられるとかなり驚かれると思いますよ。
奥山 会場に入るとブースがあって、企業担当者が机の向こうに座っていて、学生が順番に話を聞いて、、、という就活以前の合同説明会を考えていると、相当違っていて。
- まさしく、私自身、IMPホールでそんな感じで出会った会社に新卒で就職しました(笑)
水野 就活と言い出してから、採用が「おかしくなった」と感じられるようになりましたね。合同説明会が、お祭りみたいな展示会になっているんです。
奥山 いつからか、主催者側がブースを売るんではなくてスペースを売るようになった。今は展示会です。大きな会社が広報費使って「どかーん!」とやってる。採用に広報費使っちゃイカンだろうと(笑)
野口 私には「どかーん!」が当たり前です。華やかですよね。
水野 例えばですが、自動車メーカーさんだと自社の車をスペース内に展示したりですね。広いスペースを借りて自社のPRをするんです。
野口 インテックス大阪で開かれている展示会と同じです。会社に入って自分の会社の展示会でPRしましたが「合同説明会みたいやな」と思いました。
奥山 私自身は「みんなが同じ服を着て…」というような一括採用には賛成なんです。ルールに乗らないといけない時は仕事なんだからいつかは来るので。しかし、就活そのものがイベントのようになってしまうのがおかしいと感じてもいます。
ー イベント化は本来の目的を見えなくしますので、健全ではありません。外から見る違和感はそこなんでしょうね。目的がぶれて手段が目的化していると感じます。では、なぜそうなったのでしょう。
水野 やはり、IT化によるものですね。それまでは、どういう人材がほしいのか企業はかなり考えていた。それがウェブになると、人が仕事に関わる過程が少なくなって、どんどん考える工程が少なくなった。
奥山 さらに長引く不況で、企業が採用活動にコストをかけたくなくなった。現実的にどこの企業も採用だけをしているスタッフはほとんどいなくて、総務などの兼業です。人手も時間もない。ナビ側から提案されたテンプレがあると「じゃあ、それ使います」となる。よって企業独自でどんな人物を採用したのか、そして採用担当者の功績を測る指標がなくなる。だから、どうしてもエントリー数を重視してしまうんですよ。
水野 そうですね。企業側は、学生と密に関わることがなくアカウント数、エントリー数をいくら稼ぐかという方向に変わりましたね。残念なことですが。
野口 就活うまく行かなかった、、、あ!就職には満足してますよ(笑)そんな私には、エントリー数を稼ぐ採用活動は企業側にとってもマイナスだと感じます。自分たちが求める人材を獲得するための採用基準が単純なエントリー数でいいんでしょうか。
奥山 学生を測る指標って、もうないんですよね。求める人物像をサラリーマンひとりひとりが言い出すと、結局バラバラの基準になってしまう。だからSPIなど用意された評価をして、採用担当者もエントリー数で上司から評価されるんですよ。
ー ここで整理しましょう。現在の大学生、いわゆる新卒が卒業後の就職先を探す行為を就職活動すなわち「就活」といいます。おおまかには理解しているのですが、実際にはどんな流れになっているのでしょうか。
水野 まずナビサイトと呼ばれる、企業と学生をマッチングするネットサービスが大前提になります。
野口 マイナビとかリクナビとかですよね。
水野 企業はそこに有料で自社の採用ページを設け、学生は無料でサイトに登録。自分が気になる企業をサイト内で探して、コンタクトをとる。その後、エントリーシート、SPI、面接といった様々なハードルを超えて、内定が出るまでに3ヶ月ほどを要する。と言った流れです。
奥山 エントリーシートって、どこも書いてもらってるんですか?うちは書いてもらってないんだけど。
水野 書かせる企業が多いみたいですよ。
野口 私も山ほど書きました(笑)
ー すいません、エントリーシートとは履歴書のようなものと思っていいんでしょうか?
水野 企業独自のフォーマットで用意された自己紹介シートです。多くの企業はエントリーシートを採用活動で学生さんに書いてもらって、合否判定の材料にします。
野口 エントリーシート通過者のみ説明会に参加できたり、説明会参加者のみエントリーシートを提出できたり。私はどれも惨敗だったんですけど。
ー 恨みがこもってるなぁ(笑)20年前の就職活動では「履歴書は本屋で売られているものでないと、人権侵害な判断が企業からされることがあります」と言われていたと思うのですが。
水野 そういった個人の出処などに関することではなく、経歴や自己アピールや志望動機を詳細に書くんですよ。
ー 企業がそれぞれ、自分とこのフォーマットで提出しろというわけですね。それは、数を応募しようとすると大変ですね。どうりで学生さんたちが「ES書かなきゃ」って必死に言うわけだ。
野口 なるほど、今まで話が噛み合わなかったのは、ここの認識に差があるからなんですね(笑)
団塊ジュニアと呼ばれた代表前田にとっては、あまりの変わりようにびっくりです。私自身は就職活動をとても楽しんでいたので…さて、次回はもうちょっと突っ込んだお話を聞いちゃいましょう。
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