バゲットやブールなど、ファンが多い、堅めのいわゆる「ハード系」パン。新石切の人気パン店「パンドウィッチ」には、みずみずしいハードパンが並んでいます。
堅いのにみずみずしい、って一体なんぞや?ということで、取材へ行ってきました。

旧外環沿いにある「パン ド ウィッチ」。
■もっちりハードな「パン・ド・ロデヴ」を知っているか
新石切から徒歩7分。魔女の看板が目印の「パンドウィッチ」は今年で創業15年目を迎えます。
出迎えてくれたのは店主の兼久さん。「とりあえず、おすすめ食べてみる?」と訪問早々、大試食会に。

店主の兼久さん。50歳の時独立し、奥さんの実家の近くで創業。
人気商品を聞くと、必ず固定ファンがいる食パンを上げるのがパン店取材の常。しかし、記者の前に出てきたのは、見たこともない濃い茶色の固まりです。
こちらは「パン・ド・ロデヴ」(チョコ・1個380円)。フランス南部、ラングドック・ルーション地方で作られている伝統的なハード系のパンです。

パッと見た感じ、ゴツゴツしてます。アメフトボールくらいの大きさ。
見た目は堅そうですが、まずは一口。
…なにこれ…おいしい!かんだ瞬間にわかる、しっとり・もっちり感。この「しっとり」、並の「しっとり」ではありません。

断面には、たくさんの空洞が。これがふんわり感を生み出すのか!
「例えばうちでフランスパンを作るときに、小麦粉に対して加える水の量(加水率)は68%なんですが、ロデブは90%。スープみたいなトロトロの生地を、こねて焼き上げるんですよ」と兼久さん。
90%って、もう、ほぼ水じゃないですか。それでこのみずみずしさ、弾力感!

店頭にはプレーン・チョコ・チーズの3種類が並びます。(すべて1個380円)
卵も牛乳も使用せず、小麦粉・酵母・塩・水が材料の「パン・ド・ロデヴ」。ほんのり酸味が効いており、チーズやバターなどをつけて食べるとおいしさが倍増すること間違いなし。
■パンを作るのが面白いから、作り続ける
店内を見渡すと、ほかにも様々なハード系のパンが。
もちろん日本人になじみ深いあんぱんやクリームパンも並び、おまけに、一度週ひがでも取り上げた「岡村製油」の綿実油まで売っています。

イチジクがたっぷり入った「イチジクスティック」(185円)や「ベーコンエピ」(165円)など堅めのパンがずらり。

商品棚に並ぶ岡村製油の綿実油。「パンドウィッチ」でも使っています。
「高齢の方が多いので、半分は日本人好みのパンやジャム、油なんかも置いてます。あとの半分は堅めのパン。僕自身、ハードなパンは作りがいがあるんですよ。色んな種類があった方が面白いでしょ。」と見せてもらったのは何種類もの天然酵母。パン生地を発酵させるのに必要不可欠な存在です。

こちらはライ麦パン用の酵母菌。「酵母には機嫌がいい時と悪い時、色んな表情がある」らしい。
天然酵母は、穀物や果物に付着した菌を採取して自然に発酵させたもの。「パンドウィッチ」では、なんと自家製。菌を育てています。
市販のイースト菌のみを使いパンを製造する店舗も多い中、3~4種をパンに合わせて使い分けるというから驚きです。

酵母を育てる室温や、どのパンとどの菌の相性がいいのか…パンを焼く傍らでも止まらない酵母トーク。
「色んな種類のパンを焼くには、それに合った酵母を。育成するのは難しいけど、楽しいですね。」
兼久さんをパン作りに駆り立てるのは、「酵母菌を育てて、パンを作るのが面白い」。ただそれだけの理由。だからこそ、シンプルな「パン・ド・ロデヴ」が生み出されるのかもしれません。
酵母の恵みたっぷりの、しっとりもっちりハードなパン。まずは「パンドウィッチ」でしか味わえない、こだわり抜いた”みずみずしい”ハード系パン「パン・ド・ロデヴ」をかみしめて!
■Pan de Witch (パン ド ウィッチ)
住所:東大阪市中石切1-8-32 アイプラザ1F
TEL:072-987-0035
営業日:9:00~18:00
定休日:日・月
アクセス:近鉄けいはんな線 新石切駅から徒歩7分
駐車場:あり
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