調べてみよう、花園競馬場は本当にあったのか

   

現在、2019年のラグビーワールドカップに向けて改修中の花園ラグビー場。
万単位の人を集めることができる、東大阪市随一の観光資源としても、さらに重要になっています。

改修に入った花園。2年後はどんな姿を見せてくれるのだろう。

改修に入った花園。2年後はどんな姿を見せてくれるのだろう。

そんな花園
「ラグビー場ができる前は競馬場があった」
と言うのは、ラグビーファンや郷土史マニアの間では有名な話です。

Wikipediaを見てみると、
1926年 – 大阪府中河内郡英田村(当時)の大阪電気軌道(大軌)社用地に花園競馬場が開場するも、数回の開催を行ったのみで閉鎖。
とあります。大阪電気軌道とは現在の近鉄の前身。
しかし、実はあまりしっかりした論拠がありません。

4月某日、大阪府内の喫茶店で「花園競馬場の謎」について、記者に資料を見せ説明してくれた人がいます。
おそらく、上記Wikipediaの記述の元になった記事を書いたブロガーsakataishizukaさん。
ライナーズファンにはおなじみの「sakataishizukaのブログ」を運営されています。
近鉄ラグビーのファンを続けて50余年。花園ラグビー場やライナーズの歴史について、過去の新聞記事や資料を紐解き、成果をブログに掲載されています。
近鉄ラグビー研究の第一人者と言っていいでしょう。

ブログ名は伝説のプレイヤーから。

ブログ名は伝説のプレイヤーから。

「ネット等の定説によれば、1926年2月に3日間の開催となっているのですが、その論拠となる資料がまだ見つからないんです。」

と話すsakataishizukaさん。
実は記者も以前、花園競馬場に関して少し調査したことがありました。しかし、松原地区の郷土史書にも記述はありませんし、地元の老人たち(100歳近いみなさん)に話を聞いても、みな記憶にないと言います。
だから私は、花園競馬場の話は論拠なしと結論づけていました。

この日、sakataishizukaさんが見せてくれたのはある大阪朝日新聞の記事。
1926年11月に「小作人と競馬場施設工事業者との間でトラブルが」とあります。

1926年11月17日の記事で「解決した」とあります。

1926年11月17日の大阪朝日新聞の記事で「解決した」とあります。

このトラブルは東大阪市史にも記載が。
となると、少なくとも競馬場を建てようとしていたことは事実のようです。
しかし、1926年2月に開催があったとする定説と食い違います。数日の開催で終了した競馬場の工事に関し、9ヶ月後にトラブルがあるのは不自然です。
「その他の資料によると、1927年夏にはラグビー場の話が大軌の社内で出てきている。1926年2月という定説は誤りで、1926年12月か1927年2月あたりに開催されたと見るのが自然ではないでしょうか」

90年以上の長い年月で、少しずつ食い違いが出た結果、事実と違う歴史ができてしまうのはよくあること。
当時、競馬の開催は大流行していた事業。1904年の日露戦争や1914年の第一次大戦を機に、有能種馬を選定するため政府が奨励していた時期とも重なります。比較的近い場所で、同じような時期に開催された八尾競馬場は2週間で認可が降りています。この例からも、競馬場建設の目処が立てば許可が降り、すぐに開催できたようです。
11月に花園でのトラブルが解決し、簡易的な客席を突貫でつくれば。いや、トラブルの段階ではほぼできていたのかもしれません。
簡易的な客席と草競馬のようなトラックで、12月や翌年の2月に競馬を行うことも可能でしょう。

「残念ながら、私の調査も今はここまでです」

とコーヒーを飲みながら、話すsakataishizukaさん。
これは、週刊ひがしおおさかの力の見せ所でしょう。

まずは、競馬開催の根拠となるものを調査します。
・競馬開催の写真
・競馬開催を知らせる新聞記事
が出てくれば最高。
その他、競馬開催について知っておられる方への聞き取りなど、少し時間はかかるでしょうが、sakataishizukaさんとともに調べていきたいと思います。

この記事を読んだ方。何か気になることがある方は
info@w-higa.com
までメールをお寄せください。
どんな些細なことでもかまいません。小さな情報が、真相の解明につながります。

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編集長 前田

編集長 前田東大阪探検隊隊長・編集長

投稿者プロフィール

特定非営利活動法人週刊ひがしおおさか代表編集長兼東大阪探検隊隊長。
ふとした思いつきからはじめたWEBサイトが、13年。
これからは地域に嵐を呼びます。覚悟しろ!

好きなモノ:花園近鉄ライナーズ、阪神タイガース、競馬、ゲーム、プラモデル、楽でお金になる仕事。
嫌いなモノ:愛、本物

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コメント

    • 藤本貴司
    • 2022年 9月 30日

    『河内どんこう』120号にも何か書いてあったような…。

    • 編集長 前田
      • 編集長 前田
      • 2022年 10月 09日

      なにそれ?

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