ねじコレ第7回は、地下鉄高井田駅から西へ徒歩10分にある神山鉄工所。お話を伺ったのは、専務取締役の神山貴至さんです。今回は、高井田中学校の吉田理沙先生が週ひが探検隊見習いとしてレポートします。
■なりたち
創業は大正8年8月8日。縁起のよい語呂合わせは創業者が好んだんだそう。貴至さんの曽祖父・時蔵(ときぞう)さんが、大阪市東成区で創業され、昭和10年に現在の東大阪市(当時の布施市)高井田に移転。「プラスねじの特許が切れるらしい」という噂を聞きつけ、ねじの製造に踏み切りました。
現在製造の中心は、奈良県桜井市に。中小企業の町・高井田にもマンションや住宅が立ち並び、住工共生のまちづくりが進められています。
■イチ押しねじ「ドリルねじ」
神山鉄工所のイチ押しねじは「ドリルねじ」。
その名のとおり、先端がドリル状になっており、主に建築の現場で使われています。
厚みのある鉄板などには、あらかじめ下穴をあけてから、ボルトとナットで部材とともに留めるのが一般的。ですが、ドリルねじは、下穴不要!ねじが直接穴を開け、そのまま留めることができます。12mmの鉄板に対応する商品もあるのです。
昭和50年代までは、自動車部品などに重きをおいて製造していましたが、より付加価値の高いものを模索した結果、「ドリルねじ」に生産の軸足を移しました。
■貴至さんの生い立ち
お話をしてくださった貴至さんは、創始者の時蔵さんから数えて現在4代め。入社したのは2006年、大学卒業後にカメラマンとして活動された後でした。
歴史ある会社の子息として生まれましたが、お父さんから神山鉄工所を継ぐように言われたことは一度もないそう。しかしある日、「父と仕事の話になったんですよ。いろいろ考えた結果、今まで育ててもらった恩返しの意味もあって、自然と会社を継ごうと思ったんです。」と貴至さん。
■イチ押し社員「ROYさん」
また、神山鉄工所で忘れてはならないのは、ウガンダ人の営業マン、PAGA REX ROY(パガ・レックス・ロイ)さんの存在。訪問した際も、笑顔で出迎えてくれました。元は留学で来日。箱詰めのアルバイトでの丁寧でまじめな働きぶりから、3年前に営業で正式採用されました。「これから海外へ事業を拡大していくときがくれば、英語が喋れる人がいると強みになるかも」というのも採用の一つの理由。神山鉄工所の未来を担う存在です。
「実は僕、ウガンダには行ったことがあって。」と楽しそうに貴至さんは話します。なんと、入社を決意してから2年をかけて、世界中をバックパッカーと回ったそう。もともと旅好きで写真好き。世界を見て回るのが目的でしたが、どの国でも絶大な信頼を得ている日本車に、技術立国としての日本に誇りを感じたのだとか。その経験が、ROYさんとの出会いを後押ししたのかもしれません。
■会社の今後について
ねじの需要は減少しています。「それでも、低コストで強度を求められると、やはりねじは欠かせない。今まで大切にしてきた技術開発、特に、品質を安定させ信頼してもらえる製品づくりを今後も続けていきたい。」と貴至さん。
「モノづくりに携わる若者が減ってきている」と言われている昨今。地域の小学校の工場見学なども受け入れていらっしゃるそう。「機械を触ってもらうことはなかなか難しいですが、現場を見て興味を持ってもらえれば」とおっしゃっていました。ぜひ中学校の職場体験にもご協力いただきたい!
神山鉄工所は再来年100周年を迎えます。「そのときには記念に社員みんなで旅行にでも行けたら…」と笑顔で語る貴至さん。築き上げてきた技術を大切にしながら、未来を見つめる姿を見て、モノづくりのまち高井田の魅力を、東大阪の子どもたちにもっともっと伝えていきたいなと感じる取材になりました。
■株式会社神山鉄工所
住所 高井田西5丁目4番8号
TEL 06-6782-2255
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