関西ラグビーにおける天理大学の立ち位置は、一強の王者でただいま関西大学リーグを5連覇。
腹が立つくらい強いとはこのことです。もう、接戦できないって苦情が出るんすよ。そんなん知らんやん(笑)
しかし、そんな天理も全国に行くと勝手が違う。ハッキリ言って大学ラグビーは関東の方がレベルが高い。花園を沸かせたスター選手はこぞって早稲田とか明治とかに行く。最近は帝京がむちゃんこ強い(強かった)し、東海、筑波、流経も全国の常連。
で、関西のチャンピオンは、だいたいこの次の日体とか法政とかといい勝負をしていた。天理が強くなるまでは。
天理が初めて全国に名を馳せたのは、2012年。日本代表で活躍する立川理道が司令塔でキャプテンをし、両センターは留学生のアイセア・ハベアとトニシオ・バイフ。他にも塚本や松井など、のちのトップリーガーがぞろぞろいて、決勝で連覇中の帝京にあと一歩まで迫った。
次に2017年、同志社大学とともに関西から2チームがベスト4に残った年。こないだまでライナーズにいた山口知貴がキャプテンで、スーパーエースのジョシュア・ケレビが活躍したけど帝京には敵わなかった。でもこのあたりから天理は本当に強くなる。
立川理道のころは、バックス一辺倒だったのがスクラムも、ブレイクダウンも強くなり、今いる多くの選手は「かっこいい天理ラグビーの一員になりたい」と憧れを持ってやってくる。
一昨年の2019年は7大会ぶりの決勝へ。準決勝で最強帝京の10連覇を阻んだ試合は、天理が強すぎで秩父宮が静まりかえった。天理が日本一になるもんだと思った。でも、明治には勝てなかった。自分たちの戦いをすればと挑んだが、ほんの少し届かなかった。
昨年、2020年は岡山仙治キャプテンのもと昨年より強力な布陣で挑むも、準決勝で早稲田にまさかの大敗。
全国で初めて悔しいと思った2012年。国立競技場で負けた帝京には、2019年に勝った。優勝確実と見られたあの日に敗れた明治には、今年リベンジを果たせた。
先制トライから天理の持ち味であるテンポの速いアタックが、明治のディフェンスを戸惑わせた。戦後明治の箸本キャプテンは「セットが早くてなす術がなかった」と言った。関東対抗戦の覇者に完敗を認めさせた。
SH藤原の生み出す早いアタック。冷静で正確なSO松永のプレー選択。この日はエースのCTBフィフィタを駒にして、チームを活かす。
後半にはスクラムでも明治を圧倒。関西のチームが、全国でスクラムで勝つ。少し前なら信じられなかった光景だ。
相手に自由にさせなかった。攻められても、追い上げられてもその後は修正した。勝利の瞬間、いやその前から天理の面々は大きな声を出していた。明治はおそらく、日本ラグビーでもっともファンの多いチームの一つ。それを倒した事実は、優勝に匹敵するほどうれしいだろう。しかし、この歓喜は、見ていて少し心配になる。達成感を得すぎではないかと、外野から少し不安になる。
次はあの早稲田。しっかりこちらを見て、何をすべきか準備を入念に行っている。どこよりも強く、誰よりもラグビーを知っている。
昨年のあの悔しさを忘れるな。
頼んだぞ、関西勢として36大会ぶりの優勝を。そして何より、自分たちのために。
1月11日、決勝の舞台は新国立競技場。13時15分キックオフ。
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