3月第4週、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
先日、某公共放送の深夜番組を見ていると、番組内セットを人力で移動させるために2人のラガーマンが登場しました。東京都市大学ラグビー部の方のようで、出演者が5人ほど乗ったセットを、右へ左へと押していました。もちろんファーストジャージで。「力持ち」という枠での出演です。
![東京都市大学ラグビー部のサイト。そう、このジャージでセットを押していました。](http://www.w-higa.com/wp-content/uploads/2016/03/TokyoCityRFC-500x361.png)
東京都市大学ラグビー部のサイト。そう、このジャージでセットを押していました。
昨年のワールドカップ以来、無意味にラガーマンを起用するテレビ番組が増えました。以前も、元近鉄ライナーズの選手が芸人さんを担ぐ役で、名前も紹介されることなく役割を全うしているのを目撃しています。
このように、新聞やテレビといったメディアから「自然に役割を与えられる」のはとても重要なことです。人々の生活の中に溶け込むことができるからです。
今ではすっかり「モノづくりのまち」として定着した東大阪も、10年前は全国的な認知度はほとんどありませんでした。2009年、まいど一号の打ち上げ成功で東大阪のモノづくり中小企業がメディアに大きな話題を提供し、関係者が引っ張りだこ。メディアに頻繁に登場します。それが落ち着くと、まいど一号とは直接関わりのなかった東大阪の中小企業の社長さんたちが「中小企業経営者」「モノづくり企業」の代表という役割をメディアに与えられて、登場することになります。例えば、経済指数が悪化した時に「経営は苦しい。なんとかして欲しい」と苦境を伝える役として、新聞に名を連ねたりです。
こうやって東大阪は全国の人々に「なんとなくモノづくりと言えば東大阪」と覚えてもらえました。出荷額で上回る八尾市や首都圏の大田区などよりも、東大阪は、今や地域経済を語る上で信頼性のある肩書きなのです。
このような「読者や視聴者にある程度の専門的立場から意見を提供する人」のことをコメンテーターと言い、現在メディアで数多く起用されています。
新聞記者は、テーマに応じてコメントしてくれる有識者をどれだけ知っているかが、仕事の質を左右します。テレビ番組の制作者は、意図に沿ったコメントをしてくれる著名人を常に探し求めています。しかし時間がない日々の仕事の中で、コメンテーター候補の肩書きを精査することはほぼありませんでした。先日のショーンK氏による学歴詐称などが起こったのはそういった背景があります。
今後、メディアは安易にサイトなどに掲載されてあるコメンテーター候補者のカタログスペックを、鵜呑みにすることはできなくなるでしょう。
1年ほど前に近畿大学を取材した際、広報さんに「近大コメンテーターガイド」なる冊子を見せてもらいました。分野別にどんな専門家が近畿大学に在籍するかを網羅したガイドブックです。これをメディア関係者に配布しているとのこと。
大学がお墨付きを与えてくれている人材であれば、これほど安心できることはありません。事実、テレビ番組には関西を中心に近畿大学の先生方が頻繁に登場されています。さらに出演すれば、公式サイトで出演情報をニュースとして発信し、メディアのと信頼関係を構築。「困った時の近畿大学」と各番組の担当者がガイドブックをめくる姿が目に浮かびます。
養殖マグロなどの研究成果でアドバルーンを打ち上げて、コメンテーターとして研究者を各メディアに送り込む。近畿大学の露出を大にも小にも増やし、受験生とその保護者の選択肢として近畿大学を刷り込ませる。先日、広報さんより「志願者数確定」なるプレスリリースが届きました。2016年度の志願者数31,825人。前年対比1,351人増、104.4%。過去最高、もちろん日本一。すべて必然だと感じてしまうほどの用意周到さです。
近畿大学が持つ広報力。われわれメディアはもっと勉強し、見習わねばならないと感じさせる破壊力があります。伝え方、情報の性質、目につくにはどうしたらいいか。考えぬかねばなりません。もちろん走りながらですが。
今週も、元気に勉強して成長していきましょう。
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