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- 統悦、終了間際にトライで近鉄の成長を体現 トップリーグ100試合で
今シーズン、坪井新監督は「打倒トップ4」が掲げ、シーズンをスタートさせました。
パナソニックは昨シーズンまでトップリーグを三連覇しているチーム。トップ4どころかチャンピオン中のチャンピオンです。
入場する選手たちも、覚悟を決めた表情。今年最初のターゲットに、、、
あれ?
あの人は?
あの人がいませんよ?
13に入っていたアンドレ・テイラーが見当たりません。
どうやら、試合前の練習でけがをしたよう。急遽リザーブの吉川が13に入り、23に井波が。試合開始前から、不穏な空気が漂います。
キックオフからすぐ、トライを奪ったのはパナソニックでした。3分に3三上がゴールライン前でフェーズを重ねてトライ。コンバージョンを蹴る10バーンズも、当然のように決めて0-7。
いきなり先制を許します。
これで目が覚めたのか、ライナーズは動きがよくなります。高かったディフェンスも修正。テンポよくボールを動かすと、後手に回るパナソニックから続けてペナルティを得ることに成功。PGを2本決めて、6-7と追いすがります。

テイラーのけがで急遽スタメンに入った13吉川。前節に続き、絶好調。
お互いに、ボールを持って攻め出すと敵陣深くに入り込む展開。スタンドのファンも、大きな声で声援を送ります。力が拮抗するかに見える展開でも、パナソニックはジワジワと点差を広げます。
23分にゴール前ラックのサイドを走り込んで来た8ツポウがトライを奪うと、その後も近鉄のペナルティーに乗じてPGを2つ追加。
前半32分を過ぎて、気がつけば6-20と2トライ2ゴール差です。
これ以上離されてはいけない。

10重光からのオフロードパスをキープする2樫本。
しかし、パナソニックのプレッシャーが厳しい。
そんな前半終了間際、中盤で乱れたボールをパナソニックが確保しそのまま右サイドへ回すと、外に完全に1人余ります。
あとパス一つでトライを奪われる!
そんな時に、飛び出してタックルを決めたのが、テイラーに変わって13に入った吉川でした。
相手の動きを止めると、他のライナーズのプレイヤーもサポートに入ります。
パナソニックからペナルティーを奪い、そのまま前半終了。ピンチをしのいだのです。
少し点差は広がりましたが、スクラムもラインアウトも勝っています。後半は一気に逆転だ!
そんなファンの願いが届いたのか、後半早々にヤングライナーズが魅せてくれました。
2分、自陣深くの苦しい位置から、ボールを回すと15宮田の短いパスに、11南藤が角度を変えて走りこみます。虚をつかれたパナソニックディフェンスを切り裂いて、一気に敵陣へ。サポートで、外を走っているのは再び15宮田です。2人のコンビネーションで、22mライン付近まで持っていくと、パナソニックのペナルティーを誘います。

11南藤のスピードが、8ラトゥイラのトライを演出した。
そして、当たり前のようにクイックで攻めると、8ラトゥイラがフィニッシュ、トライ!!10重光のコンバージョンも決まると、13-20と7点差に迫ります。

やったっぜ!やったぜラトゥイラ!
まさにMOVE FIRST!!
重要な局面で、やらなければいけないプレーを個々が理解し遂行する。
シンプルで、明確な意図が15人から感じられるのです。
ライナーズは、成長している!心にブレがない!
さらに後半16分に、19統悦が入るとボルテージは最高潮。トップリーグ100キャップを達成することになった男に、勝利をもたらしたい。
グラウンドとスタンドが一つになった瞬間でした。
しかし、そんな流れをライナーズは自ら手放します。
後半20分に敵陣22m付近のラインアウトを奪われると、リスタートになったハーフウェイライン付近のラインアウトを再びミス。奪われたボールを、パナソニック・10バーンズがハイパントを上げると、走り込んだのは今シーズンの補強の目玉13ナイヤラボロ。190cmを超える巨大なCTBは、ハイボールを奪うと、近鉄陣深くへ。近鉄のディフェンスがナイヤラボロに集まると見るや、中央へ返し12森谷がトライ。コンバージョンも当然のように決めて13-27。

12ファインガのタックルがピンチの芽を摘み続けた。
さらに27分、13ナイヤラボロにルーズボールを奪われると、今度は自ら右隅を走りぬきトライ。13-32。残り10分あまりで19点差と、逆転はかなり厳しい時間に差し掛かります。
トップ4の壁は、やっぱり分厚い。個々のプレーでは勝っていた。この点差はなんの差なのか。
そんな意気消沈したスタンドに、喝を入れたのが、タウファ統悦でした。
勝ちがなくなった後半のロスタイム。ラストワンプレーでなんとかトライをと攻めるライナーズですが、なかなか鉄壁のパナソニックディフェンスを崩せません。それを統悦はこじ開けます。トライを奪い取ったのが統悦でした。

獲った!統悦が自らの手で100試合を祝います。
最終スコアは20-32。必要ない被トライもありました。ミスで自らの首を絞めたこともありました。
「セットピースもディフェンスも負けていない。でも、パナソニックさんは要所でプレッシャーをかけ、こちらのミスを誘うことができる。」
試合後、豊田キャプテンは答えます。
2013年の金鳥スタジアムでの開幕戦で、試合開始から攻め続けられ0-46で負けたこと。
昨年、西京極では前半リードして折り返すも後半に逆転されて27-47で負けたこと。
数々の敗北を乗り越えて、ライナーズは、一つずつ階段を上っています。課題を解決し、できることを増やして、トップ4に勝つための途上に今いるのです。
絶対、来年は勝つぞ!
今週の週ひがMVPは、そんなライナーズの成長を、最後のトライで体現したタウファ統悦選手です。今日で、トップリーグ100試合出場でもあります。
「近鉄でプレーできて、本当にうれしい。みんなにおめでとうって言ってもらえた。今日は負けたし、まだ優勝をしたことはないけど、僕はこのメンバーでいつか優勝できると思ってるんだ」

100試合の胴上げ。ウェスト時代を合わせればもっと行ってます。
統悦選手が近鉄に入団したころ、ライナーズは下部リーグのトップウェストでした。なかなか上がれずに苦しいシーズンを過ごしました。なんとかトップリーグに復帰し、少しずつチーム力をつけて、今王者パナソニックと対等に戦える位置にいます。
「前半の問題点も試合中に修正できていました。状況に対応できていますし、MOVE FIRSTもできています。次のNTTコミュニケーションズ戦にしっかり準備して挑みます。」
と坪井監督の試合後のコメントも、チームの成長と充実を感じさせるものです。
さあライナーズ、次なるステージへ。来週はユアテックスタジアム仙台で、NTTコミュニケーションズ戦!
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