10月某日、週刊ひがしおおさかには高井田中学校から、NさんHさんの2人の中学生が職場体験にやってきました。
3日間という短い間でしたが、2人は撮影にライティングにと大活躍。その集大成として、最終日に若江本町の「菓匠庵白穂」の取材を敢行しました。
「若江岩田といえば白穂」と呼ばれるほどの名店。9月に店舗スペースを拡張し、新しいステージに入った店内で、たっぷりとお話を聞きました。
お店の奥にある喫茶スペースで、中学生にお話をしてくれたのは店長の新澤さん。
「2人と同じくらいのとき、まさか自分が親の跡を継いで今の仕事をするとは思っていませんでした。中学生のころは饅頭屋の息子と思われるのは恥ずかしくて」
と切り出し、2人の表情を緩ませます。
現在37歳の新澤さんは高校を卒業したあと、関東の和菓子店に就職します。
「将来のことを何も考えていなかったら『もうお前の就職先は決まってるから』と、父に言われましてね。就職というよりも修行です。」
そんな修行2年目に、お父さんが他界。まだまだ修行するつもりが、若干19歳でお店を継ぐことになります。
茨の道を駆け上った話を、失敗談も含めながら進んでいくと、中学生たちの目は徐々に真剣に。和菓子の世界に引き込まれていきます。
和菓子の技術を向上させ、展覧会に出品し、さらにお店を広げて、地域でその名前を高めていきます。
「作るだけじゃなくね、経営のことやお金のこと…、こんなチラシも自分で作れるように勉強して。なかなか、うまいもんでしょ(笑)」
と新澤さんが見せてくれたのは、和菓子の展覧会。これもご自身が中心となって開催されているのだとか。
お話が一段落すると、以前よりも広くなった店内に優しく並べられた和菓子から、中学生が「今食べたい逸品」を選び、撮影を行いました。
Nさんが選んだのは、白穂の新定番「あんドーナツ」です。「あんこが好きなので」というのがセレクトの理由。
一方、Hさんは「みたらし団子」をチョイス。「いつも食べているものと比べても、ふわふわ感が伝わってきたので」と、鋭い目で選んでくれました。もちろん、この2品に対する思いや、あんこに対するこだわりとみたらし団子がふわふわの理由、そして和菓子の単価についても包括的に説明してもらいます。
取材は最終盤。新しくお店の北向いにできた「工場」を見学します。普段、食べることはあっても見ることはない、和菓子作りの現場に入り、2人は大興奮。居並ぶ機械をたくさん撮影し、次々に作られる和菓子を目を丸くして見ていました。
「今の子供は、ちゃんと自分の意見が言えるのですごい。僕たちが子供の頃は、自分のやりたいことや好きなことを大人に言うことなんてできなかったですよ。まして取材なんて。」と新澤さん。
たしかに、こうやって取材ができる中学生なんて、30年前にはいませんでした。
取材を終えた2人は事務所に帰り、セレクトした和菓子を堪能。
「おいしい!」
という笑顔は取材の成果なのか、いつもより弾けて見えました。
たった3日間ですが、いろんなことを吸収し急成長してくれた2人。待っているぞ未来の週ひが探検隊!
優秀な人材を発掘し、さらに地元の和菓子店の奥深くまで取材ができ、週ひが的にも大収穫の職場体験でした。
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