花園のグラウンドキーパー東興産業さんに話を聞いてきた 〜花園のハト編〜

   

ジャパンラグビーリーグワンのディビジョン1に所属する花園近鉄ライナーズだけでなく、今季よりJ3リーグに参入するFC大阪のホームスタジアムである東大阪市花園ラグビー場。
現在はリーグワン真っ只中で、ライナーズのホストゲームが毎週のように行われています。

夜にはライトアップされる花園。

そんな花園ですがこの冬、競技以外の部分でも話題になったことが…。

おそらくラグビーを見ている人ならもうこの話題は知っているでしょう。試合中にも関わらずグラウンドにたくさんのハトが留まっているのです。

試合中でもお構いなしに居座るハト。

選手やボールが来たら逃げていきますが、またスペースができると舞い戻ってきます。
しかもこの光景は1グラだけでなく、2グラや3グラでも。

ライナーズのみならずFC大阪の試合でも花園に訪れ、おそらく誰よりも今年花園の取材をしてきたホッケー梶間の感覚では、夏の間はこんな光景はありませんでした。

夏の花園第1。ハトは一匹もいません。

週ひが読者からも「なぜこの冬はこんなにハトが多いのか」「試合中なぜ逃げていかないのか」など、たくさんのコメントが。
そこで、花園のグラウンドキーパーを務める東興産業株式会社さんの扇誠課長に話を聞いてきました。ついに花園のハトの謎が明らかに!?
前編ではハトのことを、後編ではラグビーとサッカーの芝の両立について記事にします。

花園の一角に事務所があります。2022年3月までは近鉄レジャーサービスが入っていました。

まずは東興産業さんの紹介を少し。
本社は東京で、グラウンドやゴルフ場の整備、工業用ギアポンプの販売を行っている会社で、全国に支店や営業所があります。東京オリンピックの際には国立競技場の芝メンテナンスのサポートをしたことも。2022年4月から同社が花園のグラウンドキーパーを務めています。

東扇産業の扇課長。

ーいきなりおじゃましてすみません。よろしくお願いします。

 いえいえ、よろしくお願いします。

ーさっそくなのですが、花園のハトが話題になっていることはご存知でしたか?

 はい。高校ラグビーの時だったと思います。J SPORTSさんのTwitterで見かけて。正直、こんなにも反応があるとは思っていませんでした。

ーかなりの反応でしたよね。

 これだけの反応があるのはやはり聖地だからかなと思います。こんなスタジアムの管理を任せてもらえて光栄です。

ー対策などはとられていますか?

 もちろん、他のグラウンドでの経験もあり、カラスの模型を置いたりしています。が、今のところ試合の日など模型を置けない日にはやってきます。

同社が同じく管理する服部緑地陸上競技場は、カラスの模型を置いたら全くハトが来なくなったらしい。

ー夏の時期にはいなかったような…。

 そうなんですよ。冬になって急に増えたのでびっくりしています。

ーSNSなどでは肥料をエサにしているという方もいますね。

 それはないと思います。花園で使っている固形肥料は夏芝の時期です。今は冬芝の時期で、液体の肥料を使用。ハトが食べられるものではありません。冬になって増えているので、肥料を目当てに集まっているわけではないでしょう。

ー肥料ではないということは、芝にいる昆虫やクモなどを食べに?

 その可能も考えましたが、好んでは食べないようです。それに寒い冬の芝の中に昆虫などがいるとも考えづらいです。

ーその他に冬になって変化したことが原因ということですよね。

 私たちは、冬芝の種を食べに来ているのではないか、と考えています。

※編集部注)花園の芝は夏芝を一旦張り巡らせてその上に冬芝の種を蒔き、夏芝に冬芝の根が引っかかって成長して、強くふかふかの芝生のグラウンドを実現しています。

「下の茶色い芝が夏芝で、その上に冬芝が生えています」と扇さん。

 冬芝の種を蒔く始めた頃(秋)に、たまたま種を食べ味を覚えたハトが仲間を呼んで来たんじゃないか、と。

ーハト仲間のなかで、口コミが広がったってことですね。ありそうありそう。

 養生などでグラウンドをシートで覆っている日はハトは来ませんが、外すと翌日などには戻ってくる。よっぽど気に入っているんだなと思います。

養生時には、芝にシートを被せて温度と湿度を保つ。

ーそれにしても、去年まではこれほど居ませんでした。

 それも種ではないかと考えている要因です。弊社が管理し始めたのが昨年の4月からなので。今年から使っている種がハトを呼ぶ原因になっているんじゃないかと。

ーあと、びっくりしたのは、花園のハトは試合中でも平然と芝の上にいることです。人がいないときに飛来してのんびり種を食べるのならわかるんですが、逆にハトの心配をしてしまうくらいギリギリまで逃げません。

 花園周辺は住宅街ですし公園も近くにあるので、人に慣れてしまっているのかも。グラウンド整備中に近づいても全然逃げていきません。

ーそれだと整備のお仕事にも影響しそうですね。

 普段は必要に応じて追い払っています。でも試合中は追い払うこともできず、整備中よりもハトが多かったりします。

ー選手やスタッフ、お客さんからクレームがあったりはないんでしょうか。

 今のところはありません。でも、やはり選手には集中できる環境でプレーしてほしいですし、お客さんにも選手のプレーを集中して見てもらえる花園にしたいですね。

「ハトが来ない日もある。日によって数も違うので、いつ来るか予測が難しい」と扇さん。

ー対策などは考えられているんですか。

 カラスの模型をグラウンドにおいたのが、高校ラグビー大会が終わったあと。一時は来なくなっても、2〜3日経ったらまた戻って来るの繰り返し。なので、専門家に話を聞いたり、様々な検証をしている段階です。

ーもう少し具体的にお考えのことはありますか。

 ドローンを使って追い払うことができないかという話もしています。あと、以前は鷹匠を使っていた歴史もあるので、それも検討しています。今季中に改善するかはわかりませんが、来年の冬にはなくしたいですね。

ー来年を楽しみにしています。ありがとうございました。

ということで、花園に飛来するハトはおそらく冬芝の種を食べに来ているようです。
来季に向けて改善中とのことですので、温かく見守っていきましょう。

後編では花園ラグビー場のラグビーとサッカーの両立の話などを中心に記事にします。お楽しみに。

後編はこちら

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ホッケー 梶間

ホッケー 梶間

投稿者プロフィール

山口県出身。
大学生のときに大阪にやってきました。
高校からホッケーを始め、現在もやっています。
なのでホッケー梶間です。
10chとYouTubeを見て生きています。
食べに行ったお店の中で1番カロリーが高そうなものをだいたい注文します。

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