東大阪のねじメーカーを紹介する「ねじコレ」。
第9回は1966年創業、今年で54年目を迎える「和光金属工業株式会社」をコレクション!
大阪市住之江区南港東に本社を置く企業です。
「え、東大阪じゃないけど…」って?週刊ひがしおおさかは、ねじとラグビーの仕事なら東大阪内外問わず、どこへでも行くのです。
和光金属工業は、小物めっき専業メーカー。主にめっき加工と金物のOEM生産を行っています。
国内拠点は住之江区の北加賀屋・南港、東京と3箇所。海外にも2拠点を構え、中国・青島はじめ2017年にはベトナム・ホーチミンにも工場が設立されました。ノリに乗ってる企業なのです。
■松原市で創業し、中国、ベトナムへ。
今回、北加賀屋の工場を案内してくれたのは、工場長の中村さんと営業部の山本さん。
「元々は松原市に工場がありましたが、輸出しやすいように海の近くの南港へと移転しました」と工場長の中村さん。
あらゆるニーズに応える企業に成長した和光金属工業。生産の幅とシェアを広げるため中国に工場を建て、さらにはベトナムにも進出…企業が目指す、お手本のような実績です。
■「我が社の1本」はコレ!
毎回「我が社の1本」では思い入れのあるねじを紹介してもらいますが、和光金属工業の得意分野は「溶融亜鉛めっき加工」。
その加工法にクローズアップしていきます!
って、「溶融亜鉛めっき加工」?…ななな、なんじゃそりゃ。
そもそも名称からして何がなんだかさっぱり分からない、ねじ初心者記者・ホッケー梶間。工場内を回ってその様子を見せてもらいました。
「『溶融亜鉛めっき加工』は、わかりやすく言うとねじ本体に薄い金属の膜をコーティングして、製品を錆びにくくすることです」と、わかりやすく教えてくれる山本さん。ありがとう女神。
例えば、電柱に付いてるボルトやフェンス、潮風に当たって侵食されやすい船のねじや部品など、サビが出やすいところには必須の加工です。別名「ドブめっき」とも言われ、槽に浸して加工することからドブに見立ててそう呼ぶのだとか。
もうちょっと何か良いネーミングはなかったのか…という気もしますが、それはそれで味わいがあります。
「めっき加工」にはユニクロめっきやクロメートめっきなど様々な種類がありますが、中でも亜鉛を使った「溶融亜鉛めっき加工」はほかのめっきと比較してもかなり錆びにくいのが特徴。
表面に亜鉛の膜をつくる加工=溶融亜鉛めっき加工と覚えよう。
工程はざっくり分けると以下の通り。
1、前処理工程(溶融亜鉛めっきを付きやすくするために油や汚れを取る)
2、溶融亜鉛めっき加工(500℃前後でアツアツの亜鉛の浴槽に浸けます)
3、検品(綺麗に溶融亜鉛めっきが出来てるか目視でチェック)の順で行われます。
はじめに見せてもらったのは、前処理の工程。汚れを落としたり、加工をしやすくします。全部書いてたら収集がつかないので飛ばしますが、6〜7工程あります。ひえっ。
前処理工程が終わると、2機のロボットアームで溶融亜鉛めっき加工。槽の中にねじ本体を浸し、表面に亜鉛の膜を作っていきます。この膜が、製品を錆びにくくするのです。
加工を終えた製品は、不良が無いか人の目で検品。
出来上がりは熱々。冷ますと加工完了です。
最近ではこの技術を活かし、「溶融亜鉛アルミニウム合金めっき加工」も行うようになりました。…また知らないワードが飛び出したぞ!
「先ほど見学してもらった亜鉛に加え、さらにもう1回アルミをコーティングして亜鉛とアルミを合金する加工です」と、すかさず女神。
亜鉛とアルミの2層の膜を作るので、ドブメッキより、より一層錆びにくくなる技術です。
なんと、小物めっき専業メーカーとしては初めての試みとのことでニュースにもなりました。「WAKO AZ GALVA LEO」というブランド名で展開し、さらなる飛躍を試みます。
■運ぶのは、末広がりな未来
最後に案内してもらったのは南港にある、「和光金属工業(株) 本社商品センター」。大阪営業所兼在庫商品の保管場所です。
中国工場で作られた製品はこの南港倉庫にコンテナとして輸送され、お客さんの元に届けられます。
出荷ミスを防ぐために表面処理ごとに色分けがしてあります。緑色が「溶融亜鉛めっき」、青色が「ユニクロめっき」、赤色が「生地」などなど。こうした工夫でミス無く確実にお客さんのもとへ届けられます。
取材が終わって車に戻ろうとしたとき、おもしろいものを見つけました。
漢字の八は末広がりで縁起が良いため、社用車のほとんどのナンバーには「8」が使われています。
溶融亜鉛めっきから金物製造、アルミニウム合金、そしてその先へ。和光金属工業には、末広がりな未来が待っているに違いない!
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