FC大阪 最終節は鈴鹿アンリミテッドFCと引き分け 和田監督が残したものとは
2019年12月1日(日)JFL(日本フットボールリーグ)第30節が行われ、9位・FC大阪はホーム・服部緑地陸上競技場で12位・鈴鹿アンリミテッドFC(以下、鈴鹿)と対戦し、2-2の引き分け。和田治雄監督最後の試合を勝利で飾ることはできませんでした。

今季最終戦には、1603名の観客が集まりました。
今シーズン限りで退任が決まっているFC大阪の和田監督。何としても勝利で締めくくりたいFC大阪は、前半31分に先制したものの、直後に同点に追いつかれます。後半38分にはPKを与え逆転を許しますが、試合終了間際に得点し、何とか同点に。

試合終了後、スタッフの全員と握手する和田監督。
試合終了後、「攻めている中で得点が取れない。今シーズンを象徴する試合内容でした」と、和田監督は話します。
この言葉の通り今シーズンのFC大阪は、試合を支配し相手よりもシュート数は多いものの決定力を欠き、勝ち切れないという試合が多くありました。その結果が順位にも現れています。
昨年度は18勝3分9敗で2位、今年度は10勝10分10敗で8位。負け数は昨年とほぼ変わりありませんが、引き分けが多くなっています。
しかし和田監督は、「ゲーム運びや攻撃のパターンなど、ある程度のところまでは成長している。来年は点を決めて勝つこと、さらなる成長をしてくれることを信じています」と、期待を込めます。
いつもながら、前半から試合を支配するFC大阪。この日の攻撃にはリズムがあり、いつ得点が入ってもおかしくない内容でした。
さらに、DF陣も安定感があり、シュートを打たせる前にクリアするなど、ピンチがほとんどありませんでした。

何度もディフェンスで貢献した、DF・池永航。
最初のチャンスを迎えたのはFC大阪。
前半10分、ゴール前でFW・濱野雄太がヘディングで繋いで、最後はFW・横野純貴がヘディングシュート。

ヘディングで競り勝つ濱野。
しかし、これは惜しくもオフサイドの判定でノーゴールとなります。
その後もチャンスを作るFC大阪は、前半31分。中央でFW・須ノ又諭がドリブルで持ち込み、ペナルティーエリア内にいた濱野へパス。

パスを出す須ノ又。シーズン終了後に行われるJFL選抜にも選出されています。
濱野はダイレクトでゴール前にループパスを出します。
このボールを走り込んできたMF・江郷下奨がダイビングヘッド。そのままゴールに吸い込まれて1-0とします。

ルーキー濱野からルーキー江郷下へ。若手が結果を出せたのも、和田監督のレガシー。
しかし、1分後の前半32分でした。FC大阪のゴール前までボールを運ばれ、MF・田路大樹(鈴鹿)にシュートを打たれます。一度はGK・永井文也が弾きましたが、この弾いたボールをFW・エフライン・リンタロウ(鈴鹿)に決められてしまい、すぐに同点に。
このまま1-1で前半は終了します。
後半の立ち上がりは鈴鹿に攻め込まれるシーンが続きますが、DF陣が踏ん張り、徐々にFC大阪ペースに。
江郷下や舘野がシュートを打ちますが、なかなか決定機は訪れません。

シュートを打つ舘野。今日も攻守で貢献しました。
次にスコアが動いたのは後半38分でした。FC大阪のクリアミスからエフライン(鈴鹿)にペナルティーエリア内に侵入を許してしまいます。その直後、DF・岩本知幸がエフラインを倒してしまい、PKの判定。
このPKを決められ、1-2と逆転されてしまいます。

コースは読んでいたのに…。惜しかった。
和田監督の最終戦を黒星で終われないFC大阪はその後も果敢に攻め込みます。
追加点を奪えないまま時間だけが過ぎ、後半のアディショナルタイムは5分。その2分が過ぎたときでした。
FC大阪ボールの右サイドのスローインからDF・齊藤隆成へ。そのまま齊藤が右サイドを持ち上がり、センタリング。
このボールをゴール前にいた途中出場のFW・塚田卓が頭で繋ぎ、舘野が左足で豪快にシュート。

左足を振り抜いた!
これがゴール右隅に決まって、土壇場で同点に追いつきます。

決まった瞬間、鳥肌が立った!
さらに、終了間際にはゴール正面約20mの位置で直接フリーキックを獲得します。

キッカーは舘野。
スタジアムは逆転のムードが漂いましたが、惜しくもディフェンスに当たり、得点とはなりませんでした。
そしてこのまま2-2で試合終了。
FC大阪の2019年シーズンが終わり、和田監督の4年間に終止符が打たれました。

試合終了後、選手全員と握手をする和田監督。
これまでのFC大阪は、JFL1年めは8位(前任の森岡監督)、2年めが5位、3年めは4位、そして昨年は2位と着々と順位を上げてきました。「今年こそは優勝を!」と臨んだ5年めのシーズンでしたが、6連敗などもあり、終わってみれば8位。それでも5年連続の1桁順位です。
先日、FC大阪はJ3リーグに参入するための条件である「百年構想クラブ」を提出しました。これが承認されれば、来年度の順位次第(4位以内)では再来年からJリーグに入ることができます。
最後に和田監督は「今年までは結果が残せなくても、Jリーグに上がる環境が整っていないからと言い訳ができた。でも、来年からはJリーグ入りという目標が明確にある。クラブ運営側が頑張って環境を整えてくれた。来年は選手のみんながそれに応えなければいけません」と、檄を飛ばしました。

シーズン最終節ということで、試合終了後にセレモニーが行われました。
今年はホームタウンである東大阪で1試合しか試合がありませんでした。来年はJリーグ入りがかかる年でもあり、多くの試合が東大阪で開催されるはず。今年は服部緑地での試合が多かったので、サッカーチームがあることを身近に感じなかったかもしれません。1クラブチームがJリーグに参入するためには、チーム関係者だけでなく、ホームタウンである東大阪のみなさんの力が必要です。今年スタジアムに行けなかった人は、来年はぜひ応援へ!
週刊ひがしおおさかは、もちろん来年もFC大阪を追いかけ続けます。
試合後の声
和田治雄監督
ー試合を振り返って。
和田 終盤は押し込んでいて、シュートもたくさん打って。チャンスはあるけどなかなか点が取れない、勝ち切れないという、今季を象徴するゲーム内容でした。ただ、ゲーム運びや攻撃のパターンなどは、ある程度のところまでは成長しているので、来年は点を決めて勝つこと、さらなる成長をしてくれることを信じています。
ー今日は最終節。どのような準備をしたのか。
和田 どの試合も勝つということが第1目標。勝つためには内容のあるゲーム運びをしなければなりません。このことに関しては、選手たちは内容のある試合をしてくれたので、満足しています。偶然ではなく、点を取る努力をしてくれました。
ー今シーズンを振り返って。
和田 来年大きく飛躍するための必要な1年間でした。勝てなくて苦しんだシーズンでしたが、その中で後半盛り返してくれました。高くジャンプするには、低く沈まなければいけない。今年の苦しみは来年以降に必ず活きてきます。最終的には結果を出した上での話ですが、良いシーズンだったと後で振り返ったときに思えるシーズンになると信じています。今年はそういうシーズンでした。
ー来年以降のFC大阪にメッセージを。
和田 クラブが頑張ってこのような(Jリーグに参入できる)環境を整えてくれましたから、恵まれた環境に甘えるのではなく、自分たちが何ができるのかということを考えてプレーしてもらいたいです。
舘野俊祐ゲームキャプテン
ー今日は最終節。いつもの試合よりも「勝つ」という気持ちは大きかったか。
舘野 1年間を締めくくる試合ですし、たくさんのサポーターが来ることはわかっていました。特に今年はホームであまり勝てていなかったので、最終戦は勝って良い形で締めくくりたいという思いはありました。
ー今日の試合も引き分け。勝ち切れなかった要因は。
舘野 今年を象徴した試合。僕もそうですが、決め切るところでしっかり決め切らなければいけません。これは来季の課題。ここ最近、岩本キャプテンが復帰してから複数失点は少なかったですが、今日2失点したのは、鈴鹿の脅威でした。
ー同点ゴールのシーンを振り返って。
舘野 2失点目をしたときに、残りがまだ10分以上あるとわかっていたので、チャンスがあれば決め切りたいと思っていました。クロスが上がって、塚田選手がヘディングをした瞬間にここに来るなと予測して、あとは左足を振り抜きました。ジャストミートしませんでしたが、気持ちで押し込みました。
ー来シーズンに向けて。
舘野 僕たちもですが、他のチームも年々力をつけてきています。厳しい戦いが続き、1プレーで試合が決まったりすることも。それが自分たちの勝ちに結びつくように戦います。来シーズンは明確な目標もあるので、内容よりも結果にこだわって、Jリーグに参入できるように頑張ります!
岩本知幸キャプテン
ー今日の試合には、どのような気持ちで臨んだか。
岩本 やはりホームであまり勝てていなかったので、勝って締めくくりたかったというのが、みんなの気持ちです。みんなで話す機会はありませんでしたが、和田監督が最後ということもあったので、絶対に勝ちたかった。勝てなくて悔しいです。
ー今年はどのようなシーズンだったか。
岩本 色々と問題点が出たシーズンだったんですが、このまま終わるのではなく、先に繋げていかなければならない。
ー来シーズンに向けて。
岩本 来季は監督が変わるので、チームを見直す良い機会。レベルアップして戦えるシーズンにしていきたいです。上位とはまだまだ差があるので、まずはその差を埋めて、優勝を目指して戦っていきます。
MF・江郷下奨選手
ー今シーズンを振り返って。
江郷下 最初はトップチームで試合に出ることができなくて、サブ組みでずっとプレーしていました。なかなか試合に出るチャンスがなく、コンディションを作ることが難しかったです。自分としてはいつ試合に出ても良い準備をしていました。チームが連敗続きのときに、スタメンで使ってもらえて、そのときは結果を残すことしか考えていませんでした。そこで結果を残し、7試合連続で使ってもらえて、僕が出てからは負けなしだったので、少しは貢献できたのかなと思います。ただボールを蹴るだけではなく、繋ぐサッカーをして、来年以降に向けたプレーができました。
ーゴールシーンを振り返って。
江郷下 来い来い来いって思ってました(笑)。でも、点を取るのではなく、チームが勝つために貢献したいと思ってプレーをしています。今後も続けていきます。
ー来シーズンに向けて。
江郷下 僕よりも若い選手が出てこないとダメだと思います。ベテランの選手と若手がうまく融合して、蹴っても強い、回しても強い、相手がボールを持っていても守備から得点が取れる、といった色んなサッカーをして勝ち切れるチームになります。
吉澤正登会長
ー今シーズンを振り返って。
吉澤 結果だけをみると昨年は2位で今年は8位。順位こそは落としてしまいましたが、Jリーグに向けて成長した1年で、良い年でした。
ー来シーズンに向けて。
吉澤 結果と内容にこだわって、1度見に来てくださったお客さんが、「FC大阪の試合をまた見に来たいな」「また応援したいな」と、思ってもらえる1年にしていきたいです。
ーホームタウンである東大阪のみなさんに向けて。
吉澤 今年は東大阪での試合が1試合だけでした。それでも服部緑地まで来てくださってり、中にはアウェーの試合にも来てくださった方もいました。来年は、今年以上に東大阪での試合が開催できると思うので、会場に足を運んでいただいて、サッカーって良いなって思ってもらえるような戦いをします。
■FC大阪公式ホームページ:FC大阪公式ウェブサイト
■公式記録:JFL公式
フォトギャラリー
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。