大阪府柏原市のグラウンドに、燦然と輝く横断幕「大教大ラグビーカーニバル」の文字。
毎年3月中旬の土曜日に、大阪教育大学の人工芝グラウンドでは、関西一円から中学生ラガーマンが集い、試合を行うのです。今年は14チームが集まりました。

多くの中学生が集う、大教大ラグビーカーニバル。
東大阪にいるとピンと来ませんが、中学校のラグビー部というのは、メジャーなものではありません。野球、サッカー、バスケットボールに比べると部が少なく、試合も思うようにできません。
大阪教育大学ラグビー部出身の先生たちが声をかけあって、貴重な試合を行う日。それが大教大ラグビーカーニバルです。教育大学ならではのイベントで、選手スタッフ総出。「一年で1番忙しい日」と選手たちは言います。

集まる中学生のレベルも高い。
さて、本業?のラグビー部の立ち位置はと言うと、関西大学Bリーグの中位となります。2016年が10チーム中5位で、2015年が4位と入替戦に進める2位以内にあと一歩といったところです。Aリーグ経験のあるチームに勝てた年は上位に食い込み、勝てなければ中位に落ち着く。成績だけ見ると、わかりやすいチームです。が面白いのはチームスタンスです。

昨シーズンの最終戦、トライを奪った大阪教育大学。
大阪教育大学ラグビー部の愛称は「グリーンブレイブス」。公立大学でスポーツ推薦入部者はおらず、さらに監督やヘッドコーチもいません。スポットでコーチングが入ることはありますが、基本は全て選手が練習から試合のメンバーまでを考えます。部内の揉め事も、自分たちで解決するしかありません。
Bリーグ上位のチームが、元トップリーガーやプロコーチ、アスリート専門のトレーナーを迎え入れているのとは、対照的です。

片山キャプテンもケガのためこの日はレフリー役。
部員数もギリギリです。現在、4年生が卒部して19人。新入生が入って、やっとリザーブが全て(23人)埋まる。というのが現実です。過去には公式戦に23人に満たず出場したこともありました。
「1番怖いのが怪我です。すぐにチーム力に影響するので、練習はまず怪我をしない体づくりからです。」
と片山浩輔キャプテンははっきり言います。しかしそこに悲壮感はありません。

笑顔で受け答えしてくれる片山浩輔キャプテン。
「人数が少ないからこそ、わかりあえている部分がある。」
と少人数の利点を強調するのです。実際、前シーズンも花園経験者が多数出場するチームや、外国人留学生を擁するチームとも悪くない戦いをしています。2015年にはAリーグに在籍したこともある大阪産業大学にも勝利しました。
相手チームに明確に勝てている点は多くないなかで、円滑なコミュニケーションはチーム力の向上に大きく寄与しているのかもしれません。

この規模の大会の運営を部員30人ほどで行う。
大教大ラグビーカーニバルでは、正午ごろに紅白戦を行います。
現役とOBとがファーストジャージとセカンドジャージを着て戦う、大教大らしい試合です。
今年は残念ながら、怪我人が多く人数不足でタッチフットとなりましたが、それでもみな真剣にグラウンドを走り、しかも楽しそうにプレーします。

ビブスを着ているのが現役チーム。
楽しそうなプレースタイル、OBとのつながり、チーム内の密なコミュニケーション。そして、少人数だからこそ、個々の部員にかかる小さくない責任。
トップアスリートではなかった多くの人が、学生時代にクラブ活動を通して学んだ「普通の部活」が、ここにはあるんだと感じさせられます。
そんな普通の部活が、トライ&エラーを繰り返して強豪のトップアスリートたちに挑む。
そして勝ち負けを競う。
学生スポーツの一つの形が、しっかりと根付いていると感じさせられる1日でした。

昨年の紅白戦。グリーンのファーストジャージとホワイトのセカンドジャージ。
グリーンブレイブスの皆さん、くれぐれも怪我には気をつけて。
そして、すばらしいシーズンを!
大阪教育大学ラグビー部
〒583-8582 大阪府柏原市旭ヶ丘4-698-1
大阪教育大学多目的運動場(人工芝)
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