「週ひがの好きな本をただ紹介する」。早くも再び編集長前田が再登場。前回と変わらず、ダラダラ紹介できたらと思います。
今回おすすめするのは山川出版社「世界史B用語集」です。
皆さん、受験の社会は何を選択されていましたか?私は世界史でした。
司馬遼太郎先生の大ファンだった父の影響もあって、小学生の頃から偉人の伝記をよく読んでいた私。学校の科目で一番点数が良かったのはもちろん社会科で、なかでも歴史が大好きでした。
子供の頃は、物語としての歴史が好き。好きだったのは、豊臣秀吉とか織田信長とか。小学校の6年生になると、歴史を教わるようになり大化の改新から始まる「出来事」に興味が出てくるようになる。前後関係を知るようになる。
中学の歴史はもう少し広げて、四代文明(この言い方には反対だけど)を始めとして自分たちのルーツを知るようになる。日本は特に中国の歴史や文化の影響を大きく受けていることを学び、世界や歴史は憧れとなる。
そこから、時間軸の必然性や正しさの違いなど「善と悪」を脱した
それぞれの正しさ
を知るようになると、歴史は一気に「好き」から「自分の一部」になる。外からうちに入ってくる。
すなわち、歴史を知ることは自分を知ることになる。この「自分を知る」を助けてくれたのが
「山川出版社 世界史B用語集」
なのだ。
私が学習塾の講師時代に重要視したのは、歴史のつながり。知識はまず、必然性から学ぶ。年号を語呂合わせで覚える前に
大化の改新には、渡来人の増加と技術革新、宗教的背景があったから。
と筋道を立てないと記憶はできない。
しかし、より歴史=自分を知ろうとするとまず言葉を知って暗記して、1つ1つの知識に正しく前後関係を付けていく作業が必要になる。
章ごとに受験に必要な言葉が並べられ、短い解説が書かれている。
例えば、「第9章ヨーロッパ世界の形成と発展」にある「3西ヨーロッパ中世世界の変化」に「自由都市」の項目にはこう書かれている。
地方領主からは独立し、皇帝・国王に直属する都市。中世ドイツに14C以降出現。
これだけの解説だが、無駄のない非常に的を射る解説になっている。このような小さな知識をたくさん知り、連携することによって歴史はできていく。1つ2つの言葉をしらなくても問題はないが、総量の大きさが知見を作っていく。他人の経験を自分のものにする作業が、世界史B用語集には詰め込まれていて、受験勉強はその練度を上げていく作業なんだと知ることができる。
まさに「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」であり、その基礎を叩き込んでくれた。
逆に、目の前にある常識を疑うには、自分の知識と思考の練度を高く持っていないといけない。
自分が嫌だと思う社会からの圧力に対抗するには、言葉を知らなきゃいけない。言葉を知り、矛盾なく自分たちに思考を確立しなきゃいけない。
歴史とは、言葉。知識とは、言葉。思考とは、言葉。それに気づかせてくれた。
人類が歩んだ道程を知る上でも、社会から自分を守るためにも、最良の一冊であると信じている。
次回、紹介するのはミホロボット。さて、どんな本を紹介してくれるのか。
楽しみ楽しみ。
【ほかの本紹介はこちらから】
01 オールザットウルトラ科学 鹿野司
02 愛するということ エーリッヒ・フロム
03 山川出版社 世界史B用語集
04 誰も戦争を教えてくれなかった 古市憲寿
05 マンガは今どうなっておるのか? 夏目房之介
06 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっぴりブルー ブレディみかこ
07 中国五千年 陳舜臣
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